表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
三部・第二章 雪山へ行く準備をしよう!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

139/432

雪山用の装備はどこにある?

 一応、店内を見て回ったが、毛皮の靴下すら置いていない。


「王都はそこまで寒くないから、防寒道具が必要ないのよ!」


 思わず頭を抱えてしまう。

 気づくのが遅すぎて、実家から取り寄せるわけにもいかない。

 私達はしょんぼりしながら、店を出ることとなった。


「はあ……。まさか王都一の品揃えの雑貨店にすら売っていないなんて」


 私が落ち込む様子を見せていたからか、アリーセとエアが励ましてくれた。


「ミシャ、気にしないでくださいませ。最低限の装備は学校側が用意するはずですから」

「そうだ、そうだ。もしも寒いときは、俺のリザードが暖めてくれるから」


 エアの使い魔であるリザードは、火を噴けるようになったらしい。

 体はポカポカで温かいらしく、寒い日はリザードを抱いて眠っていたようだ。


「もしものときは、俺とレナのテントに泊まったらいい。なあアリーセ」

「あ――」


 話を振られたアリーセは、顔を真っ赤にしていた。

 エアに下心なんてあるわけがなく、心配して言ってくれたのだろうが、年頃の男女が一緒のテントで一夜を明かすことなど、あってはならないことである。

 エアはそれに気づいていないようで、不思議そうに小首を傾げていた。


 そういえば、エアは女性であるレナ殿下と一緒に寝泊まりするようになっているのだ。

 もちろん、エアはレナ殿下が女性だと知らない。

 事情を話して、ノアとレナ殿下を交代したほうがいいのではないか、と思ってしまう。

 その辺について、一度レナ殿下と話をしなければならないだろう。


 アリーセは恥ずかしそうにもじもじしているし、エアは意味がわからなくてキョトンとしているし、なんだか気まずくなってしまう。

 そんな中で、私は毛皮の帽子を鞄にぶら下げた男性を発見した。


「あ、あの人、毛皮の帽子を持っているわ! どこで買ったか聞いてみましょう!」


 私が走りだすと、エアとアリーセもあとに続いてくれた。


「あの、すみません! その毛皮の帽子、どちらで購入した物ですか!?」


 魔法学校の生徒が三名、駆け寄ってきたので、男性は驚いていた。


「え、これ? ギルドの隣にある、道具屋だけど」

「道具屋!!」


 ギルドというのは冒険者や傭兵などが登録し、仕事の受注などを行う組合である。

 依頼は主に簡単な薬草探しから、魔物の討伐など、多岐にわたる。

 ギルドから仕事を受けた者達が利用するお店が、ギルドの隣にある道具屋と呼ばれる商店のようだ。


 雪山用の装備が冒険者向けに販売されているなんて、うっかり見落としていた。


「ありがとうございました」


 三人でぺこりと頭を下げたのちに、私達はギルドを目印に道具屋を目指したのだった。


「おい、ミシャ、あそこじゃないか?」

「ええ、そうみたい」


 王立総合ギルド――そこは国内最大のギルドで、国王陛下の援助を得て作られた組織でもあるという。

 見上げるほど大きな建物には、多くの冒険者や傭兵が行き来していた。 

 その隣に道具屋はあった。

 雑貨店よりは規模が小さいようだが、雪山用の装備は充実しているだろう。

 しかしながら、入店前に問題が発生する。

 それは、道具屋はギルドに登録した者しか利用できない、という注意書きだった。


「そ、そんな!」


 まさかの、一般客お断りの店舗だった。

 雪山用の装備はおそらく、ここでしか手に入れられないだろう。


「ど、どうする?」

「ギルドに登録すればいいんじゃないか?」

「わたくしは別に構いませんわよ」

「うーーーーん」


 魔法学校の校則に、ギルドに登録してはいけない、というものはなかったはず。


「わかったわ。ギルドの登録をしてみましょう」


 目的をギルドの登録に方向転換し、私達は隣の建物に向かった。

 ギルドの建物内には、大勢の人達でごった返していた。

 その様子は前世の銀行に似ていて、カウンターがたくさんあって、そこで受付をしているようだ。

 初心者丸出しの私達のもとに、猫耳を生やした三十歳前後の女性が話しかけてくる。


「ようこそギルドへ! 何かご用ですか?」

「あの、ギルドの登録にやってきたのですが」

「ありがとうございます! 登録はこちらです!」


 年齢制限があるのでは? などと心配していたものの、あっさり案内してもらえた。


「魔法学校の生徒さん達ですね!」

「はい。その、何か問題でも?」

「いいえ、珍しかったものですから、つい」


 なんでもギルドは年齢、所属、性別など問わず、登録は大歓迎らしい。

 案内されたカウンターには、熊みたいな体格の初老の男性が、値踏みするようにじろりと私達を見つめる。


「冷やかしではないだろうな?」


 そう言われ、ドキッとしてしまう。

 道具屋でお買い物をするために、ギルドの登録にやってきました! なんて今更言えるような雰囲気ではなかった。


「本登録の前に、まず仮登録となる。そのさいに一度、依頼を受けてもらわなければならない。依頼を遂行できた者だけが、正式に登録となるのだ」


 どうやら、無条件に登録できるわけではなさそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ