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母親を殺したい。  作者: 天馬要
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家庭環境

 機能不全家族、という専門用語がある。以下はWikipediaより引用。


 機能不全家族(きのうふぜんかぞく、英: Dysfunctional family)は、家庭内に対立や不法行為、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト等が恒常的に存在する家庭を指す。機能不全家庭きのうふぜんかていとも称され、その状態を家庭崩壊かていほうかいもしくは家族崩壊かぞくほうかいと言われている。


 主な原因は、親のアルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症、親の浮気、両親の離婚、両親の再婚、育児放棄(ネグレクト)、親の自死、親の死亡、子どもへの心理的虐待、肉体的虐待、性的な虐待、兄弟姉妹間での扱いの差、多額の借金、家庭内暴力、夫婦仲の悪さなど、多岐に渡る。


 お察しかもしれないが、我が家は典型的な機能不全家族だった。

 分かりやすく時系列に沿ってまとめていくと、こうだ。


 父親の浮気が発覚⇒夫婦間で絶えず喧嘩をしている場面を目撃⇒両親の離婚


 小学校に上がる前から、様々なライフイベント()をジェットコースターのように一気に体験した幼少期である。

 親の浮気、夫婦仲の悪さ、両親の離婚とこの時点で3つの要因が見受けられる。

 だが、これらはまだ序の口。小学校時代になってから、上記の通りの原因が増えてくる。というか、このあたりから母親への憎しみが溜まってきたのだろう。


 親権を得て私を引き取った母は、私に過度な期待を寄せて様々な習い事をさせはじめた。バレエ教室、習字教室、ピアノ教室、新体操のクラブ、チアダンス教室、英会話教室。そのうち、フルートと塾も追加された。

 学校が休みの日には、朝から晩まで習い事が詰まっていた。平日だって放課後は友達と遊ぶこともできずに、やりたくもない習い事をやらされる。

 小学生にして、早くも人生に疲労感を覚えていた。こんな生活が永遠に続くのか。私はお腹の中に大きな石でも抱えているような気分で、日々のタスクを懸命にこなしていた。


「お母さん、わたし、習い事やめたい」


 そんなわがままは許されなかった。ヒステリックに喚き散らした後、冷静さを取り戻したように、あれこれ理屈を並べて最終的には「あなたのためなの」の一点張り。

 まあこれはいつも通り。母は基本的に、私の話を聞こうとしないのだから。私の気持を分かろうともしないのだから。


 バレエ、習字、チアダンスはすぐに辞めることになったが、他の習い事は嫌でも続けさせられた。今更ながら思い出しても憂鬱になってくる。

 小学三年生の時「お母さん死ね」という文字列が日記に並ぶようになった。

 そして、確かこのころから自殺を考えるようになったと思う。


「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるが、まさにその通りだと思う。嫌いな習い事を何年続けたところで、潜在的な才能が開花するわけでも、天才的な技術が身に付くわけでもない。ただ、嫌いなものが増えていき、苦痛が多くなっていくだけ。練習時間だって、ろくに取るわけもないから上達もしない。


 見るからに「人生に疲れています」というような消極的な姿勢の子どもだったせいか、先々でいじめを受けるようになった。ますます習い事が嫌いになった。

 一年ほど耐えた後、思いきって大人にいじめを宣告した。いじめはなくなったが、みんなして私を腫れ物に触るような扱いをした。二人組を組んでくださいと言われても、誰も私と組もうとはしなかった。透明人間って、こういう気持ちなのかなと思った。


 母親だけでなく、人間という生き物とコミュニケーションを取ることに苦手意識を持ったのは、この時期だった。

 私はこのあと中学時代、高校時代と長期間に渡って母親から過干渉と心理的虐待を繰り返されていくことになる。


 話は変わるが、母親は過干渉。父親は子どもに無関心というのは、よくある話らしい。

 実体験を含めて考えてみると、なるほど確かに、と腑に落ちた。


 普段は愛人のもとにいる父親がふら~っと帰ってくると、私を遊びに誘い、さも「子煩悩な良い父親」気分を味わっていたのだ。自己満足であり、自己愛傾向が強い父親であった。ようするに我が子が可愛いのではなく、我が子を可愛がる自分自身が好きなのである。

 困った大人だ。我が親ながら本当に親になるべき人材ではない。


 言わずもがな母親の過干渉にも非常に悩まされたものである。

 掃除といって私の部屋にこっそり入ってきては創作のためのネタ帳やら日記帳やら盗み読むのである。


「お母さん、死ねなんて書かれて悲しい」


 と泣き真似をしてきたときは、小三ながらに本気で殺意が湧いた。子どもが大人を殺すなんてできないのだから、諦めて日記の習慣をやめるしかなかったわけだが。

 プライバシーの侵害やめろ。子どもの人権を尊重しろクソが。


 長々と実体験を語ってきたが、私が思うに、複数の原因が重なり合ってしまうことで、機能不全家族に陥ってしまうのではないだろうか。

 父親の浮気⇒離婚となったことで、母親は私を立派に育てなければ!という責任感が強かったのだろう。

 だから様々な習い事をさせたのだ。まぁ、結果的には学校の勉強まで手が及ばなくなり、成績は悪化の一途を辿ったわけだが。


 ちなみに母親は口が達者なので、こちらが一言い返すと百返ってきます。かぁ~、めんどくせー。


 両親の離婚自体は、個人的にはそれほど悪影響はなかったと思う。ただ、幼心にも


「とうとうお母さんがお父さんを捨てた! いい子にしてないと、私も捨てられちゃう!」


 と、明確に危機感を抱いたのを覚えています。

 個人的にはこのあたりの激しい思い込みや被害妄想も原因かな~とは思っていますが。


 あとはやっぱり両親の不仲ですかね。

 別れた父親の愚痴を子どもに聞かせたり、説教の時に「そういうところ父親にそっくり」とかいう発言は子どもの半分をそっくりそのまま否定することになるので、割とマジで最低の発言ですよね。

(身をもって体験済み)


 毒親から慰謝料を分捕る制度が欲しい。

次回は何について話そうかな。

教育方針だと、今日と内容が被りそうだけど……

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