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Traumerei  作者: 水月
第三章・泉早苗
28/34

011

 『ふふんどうだ小童。今日のさゆりの料理はッ!』

 『なんであんたがドヤッてんだよ』

 『今夜は自信作のすき焼きです。悠真さんも遠慮せずに召し上がってくださいね』

 『とても美味しそう。さすがはお母さんです!』


 幸せの一時。心の底から笑っている泉。おっちゃんやさゆりさんも今この時を精一杯楽しんでいる。


 『ご馳走様でした』


 楽しい宴会は幕を閉じる。おっちゃんといえば早々に酔っぱらって横になっていた。


 『お粗末様でした。片づけは私がしますから、早苗は俊央さんにブランケットを賭けておいてもらえる?』

 『わかりました』


 泉はブランケットを取ってくるとおっちゃんにそっと掛けた。


 『成生君、本当にありがとうございました』

 『唐突だな、いきなりどうした』

 『あのとき、成生君が背中を押してくれなかったら、私は本当にダメになってしまっていたかもしれません。幸せを願うことなんてできなかったと思います』

 『でも、ちゃんと願えたじゃないか。ならそれは俺のおかげなんかじゃなく、泉とおっちゃんやさゆりさんの家族の絆の結晶なんじゃないか?』


 俺のその言葉に泉はクスッと笑みを溢す。


 『そのセリフ、ちょっとクサいですね』

 『痛い所を突いてくるな……どうせ俺にはこんなクサいセリフは似合いませんよッと』


 幾秒の後。俺達は笑っていた――心の底から。ただ、ひたすらに。

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