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この度は『Traumerei』を手に取って頂きありがとうございます。本作品は、平成中期のような日常の中に非日常のスパイスを加えた作品を目指して制作しております。
よって、異世界に転生したり無双したりなどは致しません。
拙い文章かもしれませんが、精一杯書きますので応援よろしくお願いいたします。
――邂逅。
あの日、あの木の下で魔法使いさんに出会った。
私と同い年くらいの小さな魔法使いさんだった。
その魔法使いさんは道に迷って泣いていた私の前に手を差し伸べた。
手のひらには百円玉が一つ。
魔法使いさんは手を握るとおまじないと言って私の真上を指差した。
『この木はね、僕の願い事を何でも叶えてくれるんだよ』
魔法使いさんは指を数回振ると今度は握った手を指差した。
握った手をゆっくり開くと百円玉が一枚増えて二百円になっていた。
『さ、もう泣くのはやめてさ、一緒に温かい飲み物でも飲みながら帰ろう?』