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ユリカ界

神様の想い

作者: 碾貽 恆晟



 靄のかかったような思考の中で考える。


 私は誰だろうと。


 覚えていることは何一つない。


 強いて言えば、何か大切なことを成し遂げた達成感が心を満たしている。


 夢心地から覚めてように意識が浮上していく。


 そして思い出した。


 私は死んだんのだと。



 = = = =  = =



 何も存在しない世界で考える。


 私は何を為せたのだろうと。


 これから何を為せるのだろうと。


 自分以外に意識を向けると、ある光景が浮かんでくる。


 遠くで誰かが助けを求めていること。


 遠くで誰かが喜び、感謝すること。


 それは私に心を思い出させてくれた。


 それからはいつも意識を向け考え、思った。


 例えば、


 助けてくれと言われているのに何もできない歯痒さを思った。


 喜び感謝していることを嬉しく思った。


 そんな日々を過ごしていく中で、私は何かをしたいと思った。


 そうすると、彼らに光が注がれた。


 彼らはそのことを喜んだ。


 それは、死んで初めて何かを為せたことだった。


 それから私は目につく人々に光を注いだ。



 = = = =  = =



 そしてある時、私は平原に立っていた。


 何もない世界から初めて出られた喜びはなく、夢から現実に引き戻されたような虚無感があった。


 手を見る。


 足を見る。


 体を見る。


 久しぶりに肉体を見て、感じた。


 それから私は茫然と何をすることもなく立っていた。



 = = = = = =



 何もない世界、それは私にとって耐えられなかった。


 話す人も、見る人もいない。


 私は思った。


 私以外の人よ在れと。


 私の心を満たすものが生まれるようにと。


 その時、平原がなくなり宇宙ができ始めた。


 私は宇宙を第三者的視点で俯瞰した。


 星々が生まれるのを、銀河が生まれるのを、銀河団が生まれるのを。


 私は世界を創った。


 後悔はないとは言えない。


 しかし、自分の気が狂うのを止めることも出来ない私には自分以外のものがあるというのはとても嬉しいことだった。


 ふと、周りを見てみた。


 白い世界だった。


 私は自分の創った世界を見るのに夢中で、自分が一体どこにいるのかすら気にも止めなかったことに初めて気づいた。


 けれど、今の私にとってそれは重要なことではなく、これからこの世界がどうなっていくのかの方が重要に思えた。


 名付けるとしよう。


 この私のエゴで創った世界に。


 この世界は私にとって、大事な揺り籠。


 私の子供が生まれ、生きて、死んでいく揺り籠。


 名付けよう、この世界を


 揺り籠の世界ーー





 ユリカ界ーーと。



これを読んで興味を持たれた方はユリカ界を読んでみてください。

ユリカ界 URL : https://ncode.syosetu.com/n6859hh/

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