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第十四話

 二学期の中間試験が近づいてきた。

 本は一旦お休みで、テスト勉強をしなければならない。

 本当は読みたい本がいくつも溜まっているのだが、それを消化していては勉強が手につかずに順位を落としてしまう。そうなったら大変だ。


 というのも、以前、テスト直前にある小説のシリーズにハマってしまい、順位を落としてしまった前科があるのだ。

 あのときのお母さんは非常に面倒だった。

 私としても反省し、テスト範囲の復習をしっかりやり直してからゆっくりと本を読んでいたのだが、「勉強はちゃんとしたの?」とか「後悔してからじゃ遅いのよ」とかぐちぐちと小言を言われ、その度にげんなりとした気分になってしまってあまり本が楽しめなかった。


 だから私はそれからというもの、テスト期間は本を封印してしっかりとテストに挑むことにしている。やるべきことをしっかりやっていると言えるだけの根拠があれば、意外と何も言ってこないものだ。普段も煩わされることがないし、実に快適。


 誤算としては、少し油断するとすぐに長瀬くんからのメッセージに気を取られてしまうということだ。本の代わりに別の物に目を向けては意味がない。私は夕飯が終わってから少しの時間と、寝る前の時間以外返信しないことを決めた。


 そうして迎えた中間試験の日。

 朝は早めに登校して試験範囲のおさらいをしていると、スマホが震えるのを感じた。

 画面を見ると、長瀬くんからメッセージが入っていた。


『今日から試験だな。お互い、頑張ろう』


 通知画面に表示されたそれを見て、思わず口角があがってしまう。

 心がじんわりと暖かくなるのを感じる。恋ってすごいな。こんなふうになっちゃうんだ。


『うん、頑張ろうね』


 短くメッセージを返して、再び教科書に視線を戻す。

 私には何よりのカンフル剤だ。ものすごくやる気が出てきた。

 ぐっと意気込んで深く集中しようとしたら、またスマホが震えた。


 ……? なんだろう。多分返信返ってこないと思ってたんだけどな。

 とはいえ、このまま放置なんて気になって勉強が手につかないこと請け合いだ。

 少し不思議な気分になりながらも、またスマホを取り出して画面を見る。


『テスト期間終わったら、どこか遊びに行かない?』


 ――朝の試験勉強は諦めた。

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