私の苦しみ
黒ずくめの少女は私に構わず話を続けた。
「ようやくあんたは、親か親友に相談しようとした。でも、時々見かける親友は、華々しかった。一人は別の中学校で友達がたくさん出来たと楽しそうな手紙を送ってきた。同じ中学校の一人は陸上部のエースになって、休む間もなく練習の日々。最後の一人は絵の才能があって、漫画家目指してまっしぐら。雑誌に投稿するレベルになり、ファンクラブまで出来る。」
私は見えない身体を抱き締めた。魂の私に本当の身体はないはずだけど、両腕で精一杯自分を抱き締めた。
「父親は仕事が忙しくて、いつも疲れていた。母親は専業主婦だったけど、その頃からパートを始める。でも、職場で上手くいかず、いつもイライラしていた。
楽しそうな親友に、疲れてピリピリしている親。どうしても、自分の本音が言えなかった・・。
そして、とうとう疲れはてたあんたは、カッターナイフで自分の手首を」
「もう、ヤメてッッ!!もう聞きたくない!!ヤメろーーッ!!!」
私は無我夢中で叫んだ。立ち上がり、耳を塞いだ。気が狂いそうだった。
そのとき、
「そうよ。もう、やめなさい。」
落ち着いた、優しい声が遥か頭上から聞こえた。