表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女ラブハート  作者: 鈴木まざくら
43/71

第三十八話

「魔装解放ーーインスタント・ラブ・ボンバー」


 インスタント・ラブ・ボンバー。魔装兵器を支給する際に、本人に特徴が無く、要望もなかった土井屋 玄γ隊隊長 兼 総隊長に渡された手榴弾。中身は名の通り、魔法少女ラブハートの技であるラブボンバー。ラブハートが技術班の東北に協力し完成した。誰であろうと、その手榴弾の線を引けば、魔法少女の一撃を繰り出すことができる。非常に取り扱いが危険な魔装兵器であるため、信頼が厚い土井屋に丁度良かった。


 インスタント・ラブ・ボンバーを核へ投擲。土井屋は全速力で退避する。その姿を見て、恐山、翔大も退避行動をとる。


 爆発。ピンク色の閃光と共に、核を破壊。



「……なんて威力だ。」


 茶釜寄生されし物(パラサイト)の背後、部屋の半分が、吹き飛んだ。


「ふひーっ、これでおっわり〜。」


 核が破壊されれば、その身体を維持することはできない。城型寄生されし物(パラサイト)は崩れ消えるはずだった。


「隊長!恐山!まだです!!」


 翔大は飛び出した。手には伸縮捕爆槍。茶釜寄生されし物(パラサイト)が投擲したクレイジー ブラッド レディを、槍で弾き飛ばそうと振り下ろすも、槍ごと後方に吹きとび、蹴破ったふすまの先、巨大な階段に落下。身体中をぶつけながら、階段を落ちていく。ブラッド レディは、翔大に衝突後、恐山の眼前に突き刺さった。


「どうなってんだ……」


 茶釜寄生されし物(パラサイト)は、頭部から熱湯を捕縛剤に注ぐ。熱湯で溶けるはずがない捕縛剤を、自身の腕ごと溶かして拘束から解放。即時、腕を再生。その後、捨てた両手に付いていたブラッド レディを投擲したのだ。


チャチャ


 茶釜寄生されし物(パラサイト)は、帯から新たな鉄扇を出し、両手に装備。

 土井屋が目を奪われたのは、茶釜寄生されし物(パラサイト)の行動ではなかった。インスタント・ラブ・ボンバーで破壊した部屋が再生、天井が開き、新たな核が設置される光景だった。


「ここで、終わりだって言うのか…」


 また、砕け散った核からは、赤い血が噴き出していたことを確認。破壊した核の中に、何が入っていたのかを想像すると吐き気がした。


「ふひっ…ひっ、ひっ、ひっ。……まだやれますよぉ。」


 恐山は立ち上がり、ブラッド レディを拾い上げて構えた。


「そうっ、ですよ…はぁ…はぁ…」


 翔大は、腹部を抑えて巨大階段を登り、戦地へと帰ってきた。


「お前ら…いつから、そんな根性ついたんだ?」


「隊長が、高級焼肉を腹一杯食べさせてくれるって、言った時からです。」


「そんなこと言ったか?俺。」


「隊長が、生きて帰ったら結婚しようって、プロポーズしてくれた時からで〜す。」


「絶対言ってない…」


 ……


「「「はっはっはっ!」」」


 残り武器。伸縮捕爆槍一本、魔装兵器クレイジー ブラッド レディ、魔装兵器インスタント・ラブ・ボンバーが一つ。


「敵は無傷の茶釜野郎。目標は城の核の破壊だ。インスタント・ラブ・ボンバーは残り一つ。確実に、核を破壊しなくちゃいけない。」


「「了解」」


 前衛に恐山。後衛に土井屋、翔大。茶釜寄生されし物(パラサイト)に動きはない。核を守っている。


「やべー!!槍が一本しかない!どーしよー!!!」


 翔大は部屋中に響かすように叫んだ。


「…イカれちゃったー…」


「お前に言われたらおしまいだな。って違うわ!」


 翔大は部屋を見渡す。何も起こらない。


「隊長。武器交換してください。わかった…気がします。」


「わかった。信じるぞ。」


 土井屋は槍を、翔大はインスタント・ラブ・ボンバーを握る。

 一歩前に出たのは土井屋。恐山と翔大が来るまで、茶釜寄生されし物(パラサイト)相手に一人で渡り合ってきた。再び時間を作る。


「こいよ…また遊ぼうぜ…」


 土井屋の槍術と茶釜寄生されし物(パラサイト)の鉄扇がぶつかり、火花が散る。

 土井屋の背後では、恐山がブラッド レディを構えている。動かない。恐山は理解していた。自分の役割とはーー


チャチャ


「テメーで喰らっとけ。」


 土井屋に向かって噴射された熱湯を、ブラッド レディの身幅、平な面で防御。茶釜寄生されし物(パラサイト)に向けて振り払う。自身の腕を溶かした液体を頭部に弾き返した。

 熱湯の粒が茶釜寄生されし物(パラサイト)に命中するたび、丸い風穴が空いていく。纏っていた着物は、役割を果たせなくなり、足元にハラリと落ちた。


「隊長、捕縛を!」


「いいんだなっ、託すぞ!」


 茶釜寄生されし物(パラサイト)は、核を露出している。半分ほどの身体になり、持ち上げようとする腕は既に溶け落ち、膝を着いて残った上半身を伸ばすのみである。

 胸部の核に向けて槍を突き刺す。…傷はつけられない。再生を邪魔するように捕爆。捕縛剤が身体に入り込み、床に固定。茶型寄生されし物(パラサイト)の無力化に成功した。


「これで終わりだーーっ!!!」


 翔大は茶釜寄生されし物(パラサイト)に、手のものを投げつける。


「…は?」


 城の核を破壊するための切り札を、拘束済みの敵に投げつける翔大を視界にとらえる。恐山は瞬間、呪ってやると心で呟く。


「お前…」


 土井屋は、翔大が思い付いた策が、目の前の敵を倒して考える時間を作るものだと理解した。今まで、部下の失態を止められなかったことは、己の責任だと譲らなかった土井屋も、この瞬間だけは、怒りを感じていた。



 これでいい。次だ、次の瞬間ーー



パカリッ



 来た!!!



 床は開く。土井屋、恐山、翔大と、茶釜寄生されし物(パラサイト)は落下していく。



ギギギギギギ


 落ちた先には高速回転する黒き刃。そして、舞い落ちるモコモコした毛。


 疑問に感じていたことがある。床を開き、落とすという技を多発しない理由だ。一度目は、槍を突き刺し落下を防いだ。なら、槍を警戒している?…少し違うと思った。だから検証してやった。持っている槍が一本しかないことを教えてやったのだ。槍一本では復帰は困難。また、三人全員での復帰はありえない。なのに、茶釜寄生されし物(パラサイト)が追い詰められている状態でも、床を開かなかった。



「警戒してたのはこれだろ…」



 翔大の手にはインスタント・ラブ・ボンバー。茶釜寄生されし物(パラサイト)に投げたはずの、残り一発が手の中にはあった。

 翔大が投擲したものは、陣 続郎から受け取ったモコモコボールである。羊の群れ(ウーリィー・サークル)の手入れをする際に使用するものであった。

 

 インスタント・ラブ・ボンバーを使い果たせば、残りの武器は恐山のクレイジー ブラッド レディのみ。だから床を開いた。何故ならブラッド レディじゃ壊せない場所に核があるから。この瞬間を狙っていた。


「魔装解放!!インスタント・ラブ・ボンバー!!!」


 翔大は高速回転する黒き刃に向けて投擲する。刃に守られていたのは…


「「よくやった!!」」


「へへっ…」


 インスタント・ラブ・ボンバーは爆発する。黒き刃を破壊した。その先にあるものを巻き込んで。



















「んっ……点呼ぉ…」


「翔大います…」


「ハニーはココでぇす…ふひっ…」


 三人は畳の部屋に吹き飛ばされていた。床が開いた先の空間を破壊され、どこかの部屋に運良く飛ばされてきた。


「…はぁ…生きて…あぁ?」


 土井屋は久しぶりに感じる日の光に目を向ける。そこには、成人男性より遥かに大きい丸い玉。つまりは、城型寄生されし物(パラサイト)の核である。畳の部屋は、爆発の影響か、壁に外が見える巨大な穴が空いていて、そこから日の光が差していた。…核は破壊されずに残っていた。


「そうだな…魔法少女の一撃でも容易く壊せないから、頭部を刎ねるわけだもんな…」


 土井屋は立ち上がれるも、全身を強打した状態である。


「これをっ、破壊すれば…おわ゛り゛ぃぃい」


 恐山はクレイジー ブラッド レディを握るも、腕が上がらない。茶釜寄生されし物(パラサイト)の液体が付着し、高温になっていたブラッド レディを持っていたため、重度の火傷を負っていた。


「貸せっ、俺がやってやる!」


 翔大は恐山からブラッド レディを受け取るも、持ち上げるだけでふらつき、扱えてるとは言い難い。それも、翔大は爆風を一番近い位置で受けており、先程から呼吸がしにくくなっていた。


「脱出は…無理か。すまない、お前ら。」


 城型寄生されし物(パラサイト)は、外が見える巨大な穴を修復し始める。穴はみるみると、小さくなっていく。


「謝らないでください…」


 死を実感する土井屋と翔大。反して、恐山は笑っていた。


「ふひっ、はーっはっは!」


 高さにして、十メートル以上。ビル五階に相当する。三人を照らす、希望の穴には、光が差し続けていた。


「魔法少女って…ふひっ、イカれてるぅ〜!」




「ホワイトフラッシュバーーーーン!!!!!」


 細剣は核を一刀両断。次の瞬間、三人は、ホープハートによって地上へと避難されていた。三人が目の前で起こったことを認識したのは、救助された後であった。


「見えたよっ!繋いだ希望の穴がねっ!」


「たっ、助かった…」


「あっ、そうだ、忘れてた。」


 ホープハートは、城型寄生されし物(パラサイト)に背を向けて決めポーズをした。

 合わせるように城型寄生されし物(パラサイト)は爆発。


「えっ…?」


「ちょっ、まだ、中に人が!」


「え!?やっば…どーしよー…」


 城型寄生されし物(パラサイト)は木っ端微塵。少し熱い風が頬に当たる。


「ふひっ、あれあれ。」


 恐山が指差した場所は空。パラシュートをつけて、ゆっくりと地上に落下していくγ隊員だった。


ーー背中の部分が開いてパラシュートになるそうです。何処で使う機能なのか疑問でしたが、役に立ちましたね。


「えーっと…東北さん?に、ありがとうって言っといてねっ!」


 崩れ消えていく城と、パラシュートで降りてくるγ隊員達。それを見る魔法少女と、γ隊員三名。不思議な光景をもって、γ隊の任務は達成された。


「あ、あれ!陣副隊長じゃないですか?」


「ぷっ、お尻見えちゃってるジャーン!」


「お前らなぁ…ぷぷっ…」


 パラシュートの開かれた位置が悪く、陣のズボンがずり下がっていた。意識戻らず、臀部を披露したまま、着地することとなる。







第三回襲撃日魔法少女評価報告書

ホープハート

・任務の完遂

・特殊魔装部隊γ隊のバックアップ

・人間の言葉を用いる寄生されし者(ネオ パラサイト)の発見

寄生されし者(ネオ パラサイト)第三号の討伐

・魔法少女の新たな可能性を見出す

・最高速度の大幅な更新

・ダメージの大幅な回復を確認

・魔法少女の特性の強化を確認

・新形態の確認(発生条件の判明)大幅加点

・個人戦闘能力評価 大幅加点

・連携戦闘能力評価 加点

・同時対応可能敵数 加点


評価 S

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ