表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女ラブハート  作者: 鈴木まざくら
30/71

第二十五話

 榛名奈々子と虎野朱が、安全地で二人並び座り観戦する中、星崎花子と愛衣れいなが相対する。


 愛衣れいな(23) 172cm→130cm(変身体) 滝城研究所職員 魔法少女

 星崎花子(15) 144cm 中学三年生 魔法少女


 大人対中学生…否、魔法少女 対 魔法少女


 原則、魔法少女同士の戦闘は禁止されている。治りが早いといえど、施せる処置は人間と同じものである。魔法一つで傷が治ることはなく、寄生されし物(パラサイト)との戦闘に完全な状態で挑むためには必要な決まりである。

 しかし、何事にも例外はあるもので、互いの連携のため、'理解'が目的であるならば、全力を出さないことを条件に、立ち合いのもと可能とされている。


「れいな姉ぇ!私の全力について来れると思わないでよねっ!」


 ホープ ソードを引き抜き、先端をラブハートへ向ける。腰を落とし、身体をかがめる。


「私の全力…当ててみせるよ。」


 腰に引っ掛けたステッキを手に取る。両手で構えて、目でホープハートを、、とら、えーーー


「消えっ…ラブビーム!!!」


 真下に放たれるラブビーム。床にぶつかり、抉りながら周囲に跳ね返る。シミュレーションルームという限られた空間での、ラブビームによる一帯攻撃。ピンクの絨毯がうねり広がる。地上に逃げ場なし。


「ーーーホワイト フラッシュ」


 ひらり舞い落ちる少女が一人。ラブハートの頭上から、天井を蹴っての急降下。閃光は視認後では間に合わない。左肩から真っ直ぐに、鋭く、痛覚の知らせ。


「ぐっ、かはっ……!」


 速さに付随した風による道の先にはホープハート。


「カバー付けてるから斬れてないよ。いっったいと思うけどね〜。」


 確かに、真剣であれば心臓が真っ二つだった。でも、真剣でなくとも鉄の塊だ。正直痛い、思考がまとまらない。


「…ラブビーム…っ!」


 ホープハートに向けて最短距離を最速で放つラブビーム。避けることなんて…


「見えてるよ…」


 背後から聞こえる一撃の音。右肩を背後から突き。剣が肉に入ってくる。


「っぶ、ボンバー!」


 投げずのラブボンバー。つまり自爆である。背後のホープハートは爆風に吹き飛ばされ、軽く壁に背中をぶつける。


「いった〜……」


 背後から声が聞こえる。爆風を払い顔を上げるとそこには、背後からの声の主が、目の前にいた。


「タフさは間違いなく魔法少女で一番だよね〜 普通そんなことできなくなーい?」


 ゆらり…身体を捻り振り向く。ホープハートの剣に鮮やかな光が反射する。本来は血塗られ、鈍い光が目に届くこととなる。…ステッキが光る。


ーコードネーム'ラブハート'

        オノレヲカイホウセヨ


「本番はこれからってこと? れいな姉ぇ!」


 右斜め方向、壁を蹴る、左斜め方向、ラブハートの真後ろ、壁を蹴る、剣を…向ける!



「ゲートオーバー…いくよ」


「ぐぅ〜〜っ…わわっ!」

 ピンクの光に押し返される。痛みは無い。トランポリンに飛び込んだような、身体が宙に浮く感覚。



ージアイ ヨ ツタエ



「全てを受け入れ 目覚めろ感情

      魔法少女ラブハート 自愛モード」



愛衣れいな 130cm(変身体)→172cm(自愛モード)



 ステッキは左脚へ。ビームは放出する。


「ラブビーム スマッシュ…」


 空中へ放り出されるラブハート、しかし、地に落ちず、滞空する。それがラブハートの翼。空を飛ぶ。


「空を飛んだくらいで逃げられないよっ!」


 地を駆け、壁を蹴り、天井を駆け、空中に反射し続ける光の線。得意の直線移動ではない。苦手であったはずの鋭角の移動で、ホープハートは最高速度を更新し続けている。寄生されし者(ネオ・パラサイト)第一号の最速の刃を超え、クールチャージとラブビーム スマッシュの合わせ技を超えた、最高速度の更新である。止まらない、留まらない。



「どういうことなの…?あれだけの速度で壁にぶつかれば死んでもおかしく無い。なのに速度を落とさずにラブハートを完全に包囲している!」


 榛名奈々子の目には光の線にしか映っていない。変身体であったとしても、ホープの姿を確認することはできないだろう。虎野朱も同様である。


「はっはっは!弱点を克服しやがった、もう誰にも止められないぞ!」



 ホープハートは日の光を受けると回復する。光が差す限り輝き、光がなければ輝く光になる。星崎花子は考えた。私にとって光とは何か。そして辿り着いた結論は、パッションハートの炎が私にとっての光だということ。私の光は他の魔法少女の得意を含有する素敵な能力だ。ならば纏えない道理が無い。


 光を纏った私は反射する!

  笑顔が笑顔を作るように…

   希望が映し作り出すのは希望

    ホープハートは(速さ)を纏って


  最高速で


        助けに応える希望となる!




「ホープ ベール ふらっシューズ!」


 発動時、ホープハートは速度を落とさずに曲がることができる。

 これがホープハート、自他ともに認める天才である。まさに、人類の最高到達地点。


 見えない…このままぶつかれば肉片になりそうだ… でも、それはホープハートも同じこと。だから剣でくると思う。私の攻撃で当たるものが無い…から、今は耐える。耐えて、耐えて、チャンスを見逃さない。言ってくれた…私は魔法少女で一番タフ!

※腕力、握力、腕相撲も魔法少女で一位


全部感じて、ダメージは最小限に…!

「全力全霊の(ベール)だ!!!!」


 シミュレーションルームに広がるラブハートの(ベール)。部屋中にラブハートの魔法少女の力が異常な量充満する。

 ホープハートも(ベール)が無理くり展開されていることを感知する。だが、(ベール)は攻撃手段ではない。認識できない速度を出しているホープハートには関係がない。悪手である。本来であれば、その(ベール)を自身の周りに圧縮して防御として活用すべきであった。


「あっ……れぇ〜…?」


 速度は落ちていく。光の線がぶれ始め、ホープハートを視認できるようになる。ついには、人間がただ走ってるほどの速度に落ちていき、ふらふらと、その場に倒れた。変身は解かれ星崎花子へ。


「え?…っ、花子ちゃん!!」


 ラブハートは倒れた星崎花子の元に向かう。目を回し、鼻血を垂らしていた。顔もほんのり赤くなっている。


「奈々子ちゃん!」


「わかって…うっ…」


 なんて濃度…(ベール)じゃないでしょ、こんなもん。れいなさんの力の中で溺れてる感覚がする。


「奈々子私も!」


「朱はそこで待ってて!」


 急いで花子をれいなさんと一緒に安全地まで運ぶ。ラブハートが変身を解いた影響か、充満した(ベール)は急激に薄れていく。

 力を一瞬で手に入れて、次の瞬間で喪失した…みたいな。気持ち悪っ! 頭痛くなってくる。


「大丈夫!?花子ちゃん!聞こえる?」


「うーん…うーん…」


 鼻血は止まっているが、依然として火照りが引かない。眠っていて起きる様子もない。



ーコードネーム'キュリオハート'

チカラヲカイホウセヨ


「ゲート…オープン!」


ーミチビキ ノ メ


 榛名奈々子はキュリオハートへと変身する。星崎花子の胸に手を当て目を閉じる。


「うん、やっぱりそうだ。」


「わかったのか、奈々子!」


 星崎花子の体内にはラブハートの力が流れ込んでいた。高濃度の(ベール)の中を高速移動する際に、空気中に漂う力を吸収し利用したのだ。また、敵の力でもなく、さらにはラブハートの力であったため、特に受け入れやすかったことから過剰な力を吸収してしまった。


「言葉の通り、力に酔ったってことね。」


 んー、これ大問題だ。ラブハートの力が規格外なこともだけど、敵に吸収されでもしたら最悪のシナリオ。敵だと認識してれば、そんなことは無いとは思うんだけどー…力を奪ってくる敵なんていたら……こっちの戦力をぶつける相手は間違えられないなぁ、ほんと。


「結局、大丈夫ってこと?」


 ものすごく心配しているのか、だらしない顔になってる。れいなさんは研究所の人と比べても感受性が豊かよね。それが強さの秘訣? 普段表に出さないのもあるのかな。あ、だから、同じタイプの静香さんと気が合うのか!


「大丈夫も、大丈夫。自然と力が抜けて元通りだよ。このまま寝かせときましょ。」


 それにしても、シミュレーションが傷だらけに…! 後で修復頼まないと。

 本来シミュレーションルームは、パラサイトの模擬戦のための部屋である。そのため、魔法少女同士の戦闘ともなれば、新生α、β、γ隊が親睦会をしたような部屋を使うべきである。ボコボコになったシミュレーションルームを直すのは大変なのだ。

 あと、これは花子に言っとかないと。所々ついてる傷跡って花子が最後に使った技の影響でしょ、これ。不規則に見えて、一度通った空間をわざとらしく避けてるから、逆にわかりやすい。目で捉えるのは無理でも、クールハートみたいに予測し出す敵には、カウンターや罠を仕掛けられるかも。



ーコードネーム'パッションハート'

         チカラヲカイホウセヨ


 え〜〜。場所変えようよ。…無理かぁ。圧倒的なラブハートの力の保有量とか見ちゃって、血が騒いだのか、顔が戦闘モードになってるし。


「ゲートオープン!!!」


ーココロ ヲ モヤセ


「真っ赤に燃えれば虎野朱!情熱猛らせ空を舞う!魔法少女パッションハート!!!」



 最初から熊を模した炎。好戦的になってる証拠だ。



ーコードネーム'ラブハート'

         チカラヲカイホウセヨ


「ゲートオープン…きて!」


ーアイ ヲ アナタニ


「地球をまるっと!包み込む大きな愛!魔法少女ラブハート!!」


「ラブハート!まだまだ全力でいけるよな!」


「うん…私も負けてられない…っ!」


 ああ、さっきのはホープハートが勝った感じなのね。確かにラブハートに有効打が無かったし、本当は剣の柄の部分で殴られて終わってたのかも。最後のは誰も予想してなかったラッキーパンチなとこあるもんね。


「よしっ!そうこなくちゃな!はっはっは!」


「熱い!!さっきから朱の炎があっついの!二人とも安全地から出てからやって!!!!」


 寝ている花子の頬にも汗が垂れる。

 早足で中央に移動する二人。キュリオハートから榛名奈々子へと戻る。携帯扇風機を取り出し、寝ている花子にもあたるような角度を探してみる。


「全力で行くからな!」


「全力で応える!」



 ラブハートvsパッションハート

         最強の感情vs活火激発の情熱

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ