彷徨う森 4 森の家
特務隊を待っていたのは蓄光塗料の灯りではなく,濃霧だった。
「はぁー」
リチャードのため息が聞こえる。嫌な記憶だ。
「濃霧とはまさかの予想外だよ。ライト照らしても,なんも見えないな」
「だいたい3メートルから5メートルくらいですかね」永井が言う。
「みんなお茶できましたよ」
エラはお茶を入れる。皆は温かいお茶を飲んだ。飲んだおかげで一回リセットできた。
「これは朝までですかね?」
リチャードが言う。
「朝だなこれがずっと続いたらマジでアウトだけど」
「歩くんですか?」
佐々木は遭難という文字が頭をよぎる。だが我々は軍人であり,特務隊だちょっとそこらじゃへこたれない少数精鋭部隊だ。おれだって1週間飲まず食わず寝ずに山を歩いた。まだ許容の範囲だ。
「とりあえずは待機でいいよ」
佐々木が言う。ツェルト内に灯が籠る。酒は飲めないが,検閲や演習より楽だった。
「これがキャンプってやつか。違う形でやってみたかったな」
佐々木が呟く。佐々木は持ってきたカップラーメンにお湯を注ぐ。山で食うカップ麺は他とは違って美味しかった。
「見張り立たせます?」
リチャードが言う。
「いやみんな寝よう」
皆眠りについた。キリが晴れていることを望んで。
朝、タイマーが鳴り皆起きる。朝露だ。霧は晴れたがこの森の特有の暗さは変わらなかった。
「GPS治った?」
エラが聞く。
「うーん治りましたけど,正常ではありませんね」
「いや,このGPSを信じよう」
佐々木が言う。皆帰る支度をして出発した。
永井が巻いたテープは一向に見つからなかった。
昨日歩いた痕跡さえなかった。
「この森ってなんかあるんじゃね?」
トムが言う。
「なんかって?」
佐々木が聞く。
「なんか生きてるってやつ。呼吸してるように見る」草木のざわめきがトムにとっては呼吸に見ている。
「まさか〜」
エラが言う。
「昨日歩いた道の轍さえ消える。絶対にこの森はおかしい」
「リチャードはどうだこの森?」
「うーんグリム童話に森の家って話があってね。3人の娘が主人公なんだ。1人の娘が森に迷って,知らないおじさんに助けてもらったけど,食べ物を動物にあげなかったり,おじさんの約束守らなくて,地下室に放り込まれたんだ。もう1人の娘の同じに、地下室に放り込まれた。最後の娘は違くて,動物に餌をあげるし,約束も守った。そのおかげで幸せに暮らしたとかなんとかって言う話だ」
「これとその話どうゆう意味があるんだ?」
トムが言う。
「簡単だよ動物に優しくして年長者のゆうことが聞くのが一番って話」
「家ってあれ?」
エラが指を指す。森を抜けた先に本当に家がある。
「あれかもな」
佐々木は言う。森を歩くより家を探索する方が楽しいと思えた。
ウマ娘 プリティーダービーのゲームをやりつつアニメを見ていたため
土投稿出来なくてすみませんでした。日曜はなんとか投稿できました。
彷徨う森の話の戦闘シーンはまだ先ですが、よろしくお願いします。




