南部戦役 5 夜戦
2000時
「ほんとエルフって目いいんだね」
ジャックが感心する。エルフは首を傾げる。
ジャックはジェスチャーでなんとか伝えようとする。エルフはニコッと笑った。
「敵距離,約2000ヤード[1.8キロ]こっちに向かってるよ」
ジャックはそう報告する。
「何人だ?」
「One companyくらい」
「了解」
「全員配置につけ」
ジョンは指示する。
時は戻り今日の昼方作戦会議が開かれた。
「街を守っているのは一個歩兵大隊なので、人数からするに一個中隊規模がこの村にやってくるだろう」
「来た場合どうすればいいのか?」
若者のエルフが言う。
「一個中隊となると特務隊全員では太刀打ちできない。だからゲリラ戦を仕掛ける」
ゲリラという言葉に首を傾げるエルフ達。
「つまり,遊撃戦だ。どうやって劣勢の中勝てるか教えてやろう」
そして夜戦へと戻る。昨日強襲した道はバリケードや障害によって封鎖した。ノコノコと一個中隊が道をはいていく。見せしめとして,昨日殺した。敵兵を1人木にくくりつけといた。敵兵は迷わず。死体を降ろそうとする。何人かで重い死体を降ろそうとした瞬間。
ネイサンがあらかじめしといた。仕掛け爆弾が作動して,爆発する。しかもただの爆薬ではなく,釘や金属などの破片を混ぜた。ものであり,爆発と破片が飛び散ることによって負傷させる魂胆だった。
1発の轟音が響く。
「そろそろ始まったな。機関銃射撃開始、射撃開始」
ジョンが言う。
機関銃を装備している佐々木と力の射撃が始まる。
力のmg3から出るノコギリ音と佐々木のやまない銃弾が敵を襲う。小枝や葉などが切れる音と跳弾する音が敵にとっては恐怖でしかない。匍匐で森の中に分散し始めた。その時だ。みんなで仕掛けたブービートラップにまんまとハマっていく敵。
ブービートラップの恐怖。機関銃の恐怖。死の恐怖。それが今敵兵は合わさっていた。
「どんどん罠にハマって行きますね」
「私はベトコンは経験したことはないが随分と手を焼いたそうな」
敵兵は前進するどころか止まってしまった。
「よしエルフのみんな攻撃開始!!」
エルフは木の上で待機をしていた。前からではなく上から矢の雨が降る。ジャックもm14で参戦する。
機関銃をリロードする際少しの時間がある。敵はそこを狙ってきた。だが銃声がやめば次来るのは近接部隊達だ。木から飛び降り,黒瀬,ハンナ,更科,エラ,鯀などといったメンバー達が、生きている敵兵を見つけ次第殺していった。敵兵は慈悲も悲しみも言えずにただ,殺されていくだけだった。
「お前ら何人やった?」
黒瀬が言う。
「5.6人かな」
「俺はもう10だぞ。少なすぎるもっとこい!!!」
黒瀬の本領発揮が見れたかもしれない。
そして残っていたライフルマン達も逆襲をかける。逃げた敗残兵を残さず殺していく。逃すのも捕虜にするのも許されない。
だが2、3人回り込み村へと侵入していた。それを見たジョンは拳銃を取り出す。
「耳塞げ!!」
ジョンは敵に対し,銃を撃つ。見事に胸に当たり,その場で崩れこむ。しかし後ろからもう1人来ていた。ジョンはm4からm1911に変え後ろを見ずに敵に向かって撃った。
「大丈夫か?」
エルフに聞く。エルフは何も喋らず頷いた。それに安心して。笑みをこぼすジョン。
「こちらは制圧完了」
長のネイサンからだった。
「了解した。全員撤収」
ジョンは村長に駆け寄る。
「すまない村長あなた達の村を汚してしまって」
エルフの村長は涙を流し言葉が詰んで、ジョンに感謝の言葉を言っていた。フレイがそれを訳し。ジョンは満足に頷く。
150人の部隊がここで全滅をした。そのあと特務隊は昼夜問わず敵兵の死体をかき集め穴を掘り,塚を設けた。
エルフから見れば英雄なのは特務隊はなのかもしれないが、命懸けで戦い死んだ敵もまた英雄である。




