武装学生
今日は特務隊各班関係なく,希望を出したもののみ東軍司令部に来ていた。
新年を迎えた国暦561年。
東方。昔は,仮想敵国ドザロとの国境だった。東方全面戦争が勃発したため,最前線とも言われていた東方。時は流れ,戦争には勝利したが、戦争により,東軍は約30%と損害をして,壊滅となった。今はドザロは解体され,前線ではなくなった今,軍のほぼ全ての教育部隊として任されている。
「今日は東軍の教育視察ということになっている」ジョンが説明する。
飛行機2時間バスに揺られ2時間。迎えに来ていたのは,新城大佐とフェイク中佐であった。
「おい新城何しに来た?」
黒瀬が聞く。
「奇遇だね黒瀬。僕も教育部隊を視察に来たんだよ」
新城は言う。
「それにジョン大佐にも話があってね」
単調な声でそう言う。
「教育機関ってもすごい広いところなんですね」
ジャックが見渡す。
「東部に来るのも戦争以来だな,昔はよくここに砲弾が落ちてきてな,大変だったよ」
結城が言う。
「ここも昔は戦場だったなんてなんか実感湧かないです」
星野が言う。
「じゃあこうしよう私と星野くんと黒瀬それにジョン大佐で回ろう。で中佐とジャックと結城で」
二手に分かれる。
ジャックと結城を案内するのはフェイク中佐であった。
新城組は武道館へ,フェイク中佐は教場へと向かう。
新城組
武道館はこの教育機関が発足した当時のまんまだと新城は言う。4人は中に入る。中では二十数名の学生が汗を流して剣道に勤しんでいた。声や竹刀で打ち合う音が武道館に響き合っていた。
「全員,傾注せよ!!」
教官が新城と3人に気づき稽古をやめさせる。
学生は集合し,教官の前に列を作る。学生たちは面を外した。14歳から22歳までの若き男女が稽古をしていた。
「今回,視察に来ている,新城大佐とジョン大佐だ」
教官は学生たちの中央に新城を誘導した。
「お二人とも,学生にお言葉を頂戴したく存じます」
と大佐の耳元でいう教官。
新城は学生向かってとこれからの人生,教訓などを熱意を込めて喋る。ジョンもジョークも入れ込んだ話をしていたが,黒瀬は興味はなく,額縁の写真を見ていた。
「黒瀬さん,大佐が喋ってますよどうしたんですか?」
黒瀬のところに行く星野。
「みろよ星野あれ」
いくつもの写真がある中で1番古い写真を黒瀬は指し示した。星野はじっくりと見る。12人が二列になって写っている写真をよく見た。
「これって...まさか...?黒瀬さん?!?」
古い写真だが,こっちから見て1番右に確かに黒瀬が写っていた。
「しっ!声が大きい」
学生と新城,ジョンの視線が2人に入る。
「いつの時代ですか?」
星野は質問する。
「初の国内国外調査団編成した時の写真だなだから400年以上前?」
と少し思い出して説明する黒瀬。
「黒瀬さんこの頃すごいヤンチャそうですね」
「確かにな,この世界に来てまだ一年と経ってなかったし,それにこの後ろにいるやつ知ってるか?」
黒瀬は指で示した先に見覚えのある人物が写っていた。
「これは新城大佐ですか?」
少し考え,星野は言う。
「おい2人とも何喋ってたんだ」
そこには新城がいた。
「お前の訓示とか聞く時間ねぇんだよ」
黒瀬は言う。
「あぁ〜これか懐かしいな黒瀬。あの頃はすんごくとんがってたけど今こんなに丸くなったし,教官の俺としては満足満足」
新城は微笑んで,黒瀬の頭激しくを撫でる。
「やめろお前」
黒瀬は新城の手を止めた。
「お二人とも仲良いんですね」
「そうか?」
黒瀬は言う。
「そうだ久しぶりに一本やらないか?」
新城は黒瀬を誘う。
「望むところだ新城」
久しぶりの剣道に腕が鳴る黒瀬
「おい黒瀬,教官が何か頼み事があるみたいだぞ」
ジョンが黒瀬を呼ぶ。
「黒瀬少尉,学生たちに一つ稽古をつけて貰えませんか?」
教官は黒瀬にお願いをする。
「いいのか?俺で?」
「私や学生共々,黒瀬少尉や新城大佐などの武勇伝は拝聴しております。そして何よりもこの教育機関の第一期生とその教官であることも承知しております。ぜひお願いします。」
教官と学生は,黒瀬と新城に深々とお辞儀した。
黒瀬は新城の方を見る。アイコンタクトしたかのように,黒瀬は承知した。
「わかったわかったお辞儀はしないでくれ。で,誰から俺と稽古したいんだ?」
「私からお願いします」
学生は顔を上げて、1人の女性学生が挙手した。
「じゃあやろうか」
黒瀬は置いてある竹刀を持って,武道館の中央に立つ。学生は,面を被った。
「少尉は防具をしないのですか?」
「しないよ本当の戦いなら,一本勝ちとかはない生きるか,死ぬかの二択だけだよ」
黒瀬は言う。
「星野,この刀持ってて,」
黒瀬は刀を渡す。
「じゃあやろうか,ルールは一本勝負,僕は,面と胴と小手と垂れこの四つを当てる。君は僕の体のどこかに当てれば勝ちこれでいいかい?」
「はいお願いします。」
お互いお礼をして,教官の初めの声がかかる。
最初はお互い睨み合いが続いたが、先手は黒瀬だった。きわめて短い時間で一本を決めた。
女性学生は手や足も出ずもがきもせず,負けてしまった。
「はい,次」
黒瀬は対戦相手を呼ぶ。
黒瀬にとっては誰でもよかった。負けてもいいそう思ってた。次は男性学生だった。男だろうが女だろうか、手加減はしないのが黒瀬の特徴である。結局,学生全員黒瀬に負けた。全員負けて悔しがる顔を見て黒瀬は一つ助言を言う。
「いい悔しい顔だ。俺もこの場所で400年前君達のような悔しい顔をしていた。何百回も挑んでも新城には勝てなかった。だがなその悔しさは戦場に持って行け,悔しさをバネにして戦え,そして生きろ」
学生たちはお礼をした。
4人は次の場所へ見学しに行く。
フェイク達は外の射撃場にいた。
入学してから二年生になると,どの兵科もしくは歩兵の区分に分けられる。希望と教官による適性検査で決まる。
ジャックは狙撃班を見学していた。
六年生計20人が500メートル先の標的を射っていた。皆それぞれ違う銃を使っていたが、性能、命中率は大差変わらなさそうだった。女性教官がジャックに近づく,女性教官はジャックに敬礼をする。
ジャックも敬礼をした。後でわかったがジャックより階級は上だった。ジャックは各20人の的を双眼鏡で覗く。全員とも優秀であった。
「どうですか?」
女性教官が言う。
「全員すごいですね。よく集めましたね。海兵でもこんなに優秀な狙撃兵はいませんよ」
ジャックが言う。
「ですが,なぜこの子達は学生服を?」
ジャックが質問する。
「学生ですから制服を着ています。学生の役目は兵士たちの抜け穴を埋めること。つまり民間防衛です」
女性教官が言う。続けて言う。
「身分としては学生ですか,有事の際は民兵になります」
ジャックは言葉が出なかった。確かに狙撃は優秀だが,戦場とでは訳が違う。
「1番命中率が高い学生は誰ですか?」
ジャックが言う。
「はい,清水学生ですね。ご案内します」
女性教官はジャックを案内した。
案内させると清水という女子学生は伏せ撃ちをしていた。清水は他の生徒よりも遠い700から800メートルの的を狙っていた。他の子よりも遠くそして命中率だった。
射撃が終わるとジャックは声をかける。
「君凄腕だってね見せもらうか?」
ジャックは上から言ってみた。ジャックも腕には自信がある。海兵で鍛えられた狙撃能力,アフガンで培った技術,異世界での経験。を込めた言葉だった。
清水は何も言わずにまた伏せうちの体制に入った。
難なく的のど真ん中を撃つ見事だった。
後半最後の人間をもようした的に二発命中させた。だがジャックは気に入らなかった。
「これで満足ですか?」
と清水が言う。明らか不機嫌そうである。
「なぜ最後,2発撃ったのですか?」
と聞くジャック。
「弾を余したのと,ヘッドショットをしていない可能性があったからです」
と答える。清水
「君戦場に行ったことはあるのかい?」
ジャックが聞く。
「いえありません」
と返す清水。
「そうですが,いずれ分かると思いますが,狙撃兵は2発目はないと思ってください。1発で仕留めるこれが基本です。敵に位置が発見されます。
当たればいいのではありません敵を早く見つけ,即死させるのが目的です」
と言うジャック。清水は明らかに不満の顔だった。やはりこれが学生という身分だとジャックは思った。
「そんなに偉そうに言うんだったらあんたもやってみなさいよ」清水の攻撃的な口調にジャックも心に火がつく。
「了解」
笑顔で対応するジャック。
ジャックは後ろのライフルスタンドからこれは古いスコープがついていないスプリングウィールドを手に取りとって,薬室に5発の弾倉クリップを装填して,立って構える。的は清水と同じ700から800メートル先の的であった。
ジャックは息を整えて,軽くトリガーを引く。繊細な動作で5つの的に1発でヘッドショットを決める。これには清水も驚くことしかなかった。
ジャックの狙撃が終わると,清水はしょんぼりして、ジャックを姿を見ていた。
清水は偶然だったのかそれとも必然的に当たったのか,そればかり考えてた。
ジャックは清水の所へと近づく。
「君はいずれ,凄腕のスナイパーになる。どこかで会ったらその時にはまた一緒に練習しよう」
ジャックが言う。
「ごめんなさい強く言ってしまって。何者かがわからなかったので」
「僕はジャック。スナイパーさ」
清水とジャックはお互いの才能を分かち合い握手した。
フェイクと結城はタクティカルトレーニングを見学しに来た。
訓練に勤しんでいる。
後ろの掲示板には名前と開始から終了までの秒数と命中率が掲示されていた。
フェイクを見ると否や学生達敬礼をする。フェイクはこの教育機関をまとめる教頭である。
学生服を来た男女がフェイク,そして結城を見ていた。
「皆訓練ご苦労,私らに気にせず励んでくれ。」
学生たちはまた訓練をし始める。
「結城准尉もやってみないか?」
フェイクが言う。
「私がですか?無理ですよ」
結城が断る。
「ここは結城の優れた才能を見せてほしい。生徒はそれをみたがってる。」
「いやですが,わたしは...」
「諸君今から結城准尉がタクティカルトレーニングをしてくれる心して注目してくれ」
フェイクが言う。
学生たちは拍手喝采で結城准尉を見た。
しぶしぶ結城准尉はやることにした。後戻りはもうできないとそう思ったからだ。
結城は準備をする。学生からルールと何の銃器を使うかの説明を受けた。
タクティカルベストを着て銃に弾を込め,イヤーマフと射撃用のゴーグルをつけ,スタート位置についた。平均2分13秒,命中率87% だった。
結城は結果などは何も考えなかったとりあえず全力を出し切って結果が出てる。学生たちにいいところを見せる事だけ。緊張もする恥をかきたくないからだ。
結城の後ろに学生が立つ。スタートの合図をするためだ。結城は準備完了の合図をして、トリガーに指をかける。呼吸を整えて。スタートの合図を待った。
学生は合図をして,的が現出する。
難なくこなした准尉。結果が出た。
タイム1分42秒 命中率94%と言う結果で1位だった。観戦していた学生たちは結城に拍手喝采と質問の嵐だった。
学生の熱い眼差しが結城に注がれる。結城は一人一人丁寧に教え,質問にも答えた。
次の教育場に向かう際新城とジョン。2人が話してた。
「ジョン大佐,来年には国外派兵する事が承認された」
新城が言う。
「来年って早くないか?」
ジョンが言う。
「兵站関係は私に任せてくれ後は何か必要のものあれば言ってくれ」
新城が言う。
「それよりも,人が足りない。各班1人ずつほしい」
ジョンは要望を言う。
「わかった人材は何とかする」
新城が言う。




