巨人兵あらわる
「神の力ですか?そんな神秘的な話」
北野が言う。
神の力など神話の話でしか聞きたことがない。
この世界にも唯一絶対神や多神などの人が信仰する神の力なら、半永久的に水を出せたり、不老不死ではなく、無知な人間による知恵の欲求からくる愚挙だ。
新城大佐も領域を踏んでしまうのだろうか、この国もアトランティスのように滅びゆく運命なんだろうか。
「大佐。特務隊の佐々木大尉が到着しました」
「わかった北野。後は任せる」
「佐々木、覚悟を決めたんだな」
「誰も志願しなかったらしいじゃないですか?」
「違う佐々木のために取っておいたんだ。それに試作機は好きだろ?」
新城は今回の作戦で使う試作機を佐々木に見せた。
小型核弾頭ミサイルを2発搭載可能のf5似た小型機体で直線翼で加速性能だけを向上させた機体であった。特にブースターロケットエンジンが露骨でこのために取り付けたような気もする。
「大尉ってマッハ体験したことある?」
「ありますけど、この機体ってそんなに出るんですか?」
「核弾頭を発射した後だ。ロケットブースターを点火させて、そのまま遠くの方に逃げてもらう」
「だいたいそこまで逃げる必要があるのか?」
「計算上、対流圏に電磁パルスが生じる。よって、電子機器、航空機などは使用不可になる、佐々木も核の被害には会いたくはないだろ?」
「遭う前に逃げる。そうゆうことですか」
「そうゆうことだ。後数時間で機体に慣れてもらう」
「もし外したらどうなります?」
「外すことはない。だが核兵器が効果があるかどうかだ」
「私はこれから本部に戻る。佐々木も順次整えてくれ」
「パルスの準備は?」
「まだ完了はしていません。間に合わせます」
「大佐、航空機隊及びMF作戦の編成準備完了しました
「海軍からの伝達でMF作戦における編成が完了したとの報告が来ました」
特務駆逐艦3 、汎用型護衛艦2、予備役空母1隻による。小さな編成であった。
「大佐、方面軍司令がお見えです」
作戦開始まで後10時間。会議室にて新城大佐による作戦概要の説明がなされる。
そもそも説明する必要はないんだが陛下からの承諾しか経ておらず、上層部は怒り心頭であった。
しかし新城大佐を管轄できるのは軍内部で誰もおらず、野放し状態だった。今回の件で表面化した。
「お集まりいただきありがとうございます。今回の作戦ですが...」
「大佐ひとついいか?」
「なんでしょうか?」
「なぜ参謀本部と各方面に伝達しなかったのだ?」
「それは、速やかに作戦実行するためです」
会議室ないがざわつく。
「君には指揮系統をわかっているのか?」
「君を処罰できなくても我々は将官なんだぞ!」
「何様のつもりか!」
将軍からの罵倒と罵声が飛び交う。会議室は瞬く間に騒々しいクラブハウスのようになってしまった。将官たちの口元の動きと耳に入る音声がずれ始め、耳鳴りやめまいがする。
「黙れ!!!」
大佐が一喝した。
「あんたらは何もわかっていないようだな。領地に敵がいるんですよ。今、現在、進行形で、そして18時間後には帝都に侵攻されるんだぞ。出世にしか興味のないお前らに話している時間なんかねぇんだよ!!」
将官たちは黙り、新城大佐に反抗することはなかった。大佐は黙々と説明をした。
「会議中失礼します。大佐。目標が動き出しました!」
副官からの言葉だった。時間を多く見積もっていたようだ。
「すぐに集合させよ!私も戻る」
テレビの中継のカメラには巨人を捉えていた霧がかかって巨人の鎖骨より上を隠していた。カメラ越しでも巨人の大きさがわかる。
地面は揺れ、巨人の全体が映し出された時、どうする事もできない感情は絶望へと変わる。
「おい、みんな巨人が動いたぞ」
ネイサンが言う。
皆テレビに近づく。
「再起動の時間を甘く見ていたか」
「隊長どうする?」
「わたしには指揮権がない。今できることは刺激しないというのが最善の策だ」
「ジョン大佐。超音波誘導装置できました」
技術者が駆け込んでドアを開ける。
背負い込み型の機械で昔の携帯無線機よりも大きいように感じた。
「これってゴーストをバスターするやつでしょ?」
「これ試したことあるのか?」
技術者に聞いたネイサン
「いいえ、一発勝負です」
「わかった。何がなんでも目標まで連れて行ってやる」
「特務隊、出撃お願いします」
作戦室から飛行場まであるき、綾瀬率いる56騎兵連隊第1大隊で船まで護送され、民間から買収した、スポーツボートに乗り込み、エンジンをかけ巨人の方に向かう。
一方巨人は山を越え、海に差し掛かっていた。
「入水したらスイッチを入れろ」
ジョンが言う。
「頼むぞ」
お願いおこめるかのように呟く黒瀬。
巨人との距離が縮まる。技術者から言われた通りの有効射程内に入った。
「スイッチを入れろ」
ネイサンはスイッチを入れる。起動音は聞こえたが、超音波であるから、人間の耳には聞こえてはこない。
だが、巨人には囁き聲なのかそれとも耳元で飛び回る蚊なのか、聴こえてるような反応はしてくれていた。
「隊長こちらに進路を変え接近しています」
星野が言う。
「オペレーションサイクロプス完了したと報告してくれ」
黒瀬は報告する。それは新城大佐率いる部隊に伝達がいく。
「新城大佐。サイクロプス完了しました」
新城は少し安堵した。これが失敗すれば終わりだと思っていたからだ。
「了解、海軍に伝達。綾瀬の空挺部隊を出撃させよ」
「司令、新城大佐から巨人が進路変更したと報告が来ました」
「了解。心細い艦隊はあるが、特務隊を護衛する。全艦、巨人との距離を取りつつ微速前進」
「各艦、微速前進」
艦隊は、輪形陣を取って巨人を囲む。空では綾瀬の部隊が飛んでいた。超高度からによる爆撃だ。
乱気流のせいか揺れる機内
「ただの爆弾にしては大きいですね」
戦車まで輸送できるというのに見たこともない爆弾は天井に届きそうで極大だ。
「核というものだ。あまり、粗末には扱うなよ」
綾瀬が言う。 綾瀬も核についてはただの大きい爆弾しかわからなかった。
「少佐。特務隊が出撃したとの報告がありました」
「わかった」
「頼むぞ。黒瀬少尉」
呟く綾瀬
「佐々木大尉。準備お願いします」
「よしわかった」
佐々木はgスーツに着替える。今回のgスーツは他と異なる。
「こんなにきるのか?」
1着目はピチッとしたスーツ。2着目が普段着るgスーツにもう大きめの服を着る。詳しくは説明できないが呼吸ができなくなるため、生命維持装置といわれた。
「ええ、離脱時にマッハ5で飛行するのでそれなりには...」
「マッハ5なんて体験したことはないよ」
「気休めかもしれませんが、ウルトラマンはマッハ5で飛ぶらしいですよ」
「そうなんだありがとう」
何気ない一言が不安と緊張感の中、佐々木の心を和ませる
「ご武運を。大尉なら生きて帰ってこれますよ」
「XRZ-F61発進してください」
ロケットブースターを点火しなければ、クセもない扱いやすい戦闘機だ。
問題なく離陸し、目標地点まで向かう。
「上陸まで30秒。神のご加護を」
「ウィルもな」
「おいあれ!車見えたぞ!!」
「ウィル。あまり近づかなくてもいいぞ」
降りるにはここだと思い飛び降りた。膝上くらいの水位だった。靴に塩水を浸水する。気にすることでもなかったが、砂浜まで全速力で走る。波を掻き切り、飛沫が上がる。
「ウィル死ぬなよ!!」
ウィルは軽く頷き船を反転させ全速力で離脱した。
「落下まで後10分です」
「車に乗り込めぇぇ!急げぇ!」
「巨人まで300ないぞ!」
「あいつはスイマーかぁ!」
「早くエンジンかけろ」
「やってるって!」
島の中央部まで走らせる。島は火山島で、ゴツゴツした岩が多い。支障が出ないようにと轍が付けられていて、岩もどかしていた。
「巨人上陸しました」
「真ん中まで後何分だ?」
「後1分!」
間に合うか。
「よし!機材を下ろせ!」
車を止め、機材を置いて、すぐに避難場所へと走らせる。
「昔使われなくなくなった監視所の下にシェルターがある場所わかるか?」
「この下を降りて、左だろぉぉ!!?」
「違う右だ右!」
「あった!あそこだ!」
クリマを乗り捨て、監視所内に入る。しかし中は崖崩れなんかで、埋まっていた。
「ちくしょ時間無いのに!」
「5分切りました」
「ささっと掘るぞ!」
「綾瀬少佐。投下まで1分を切りました」
「よし。後部ハッチ開け」
一気に外との大気が交わる。窓からは無人島が見える。そして巨人も確認できた。
「降下ヨォォーーイィ降下!!」
ロックが外れ、一気に外に放出した。
「ハッチ閉鎖!右旋回。出力最大」
島からの空域から離脱して、後は健闘を祈るだけだ。
「軍曹。カメラを持ってきているか?」
「はい持ってきています」
「では爆破を録画してもらいたいのだが可能か」
「可能だと思いますがなぜです?」
「見て撮っておきたいのだ。核兵器という恐ろしさを」
「こちら佐々木。核兵器の投下を確認」
「佐々木。射程圏内に入れば自動ロックされる後は発射をすればいい。いいな」
「了解」
「全然ハッチ出てこないですよ」
ハッチなどは手で来ず。ある程度の土を掘ったのように思えた。
黒瀬の足に何か違和感が感じた。何か土では無い感触だ。
「違う。違ったんだ。下だ。下を掘れ」
「爆破まで後1分を切りました」
「イソゲェェェェーー!!」
「目標をロック。ファイア!」
佐々木は発射スイッチを押した。2発の小型核弾頭搭載ミサイルが、佐々木の前を行く。
右に旋回して、ロケットブースターに点火をした。
点火した瞬間。とてつもないgが佐々木を襲う。操縦桿さえ握られないような強い、衝撃、視野も狭くなり、マスクが食い込んでいる痛みと下半身の痛みそして、血が降っているのか。
まともに息もできない。
ただ耐えるのみだった。隊長たちがどうこうしているのか考えていることすらできなかった。一心不乱に飛ばすことしか考えられなかったからだ。気を抜けば失神しそうだし痛みを耐えるだけだ。右後ろに閃光が走る。その光の大きさは首を振らずともわかった。
一気に衝撃が伝わった。
「あれが核というものか」