巨人兵あらわる
また新城の部屋に戻る。
「おいおい待てよ。了解しましたって本当に作戦あるのかよ?」
黒瀬がいう。
他の軍人から文句が大量に飛び交う。
「わかってる。現代兵器が通用しないのは」
「そして何らかの刺激を与えると、ビームを放射すること。これは困難では?」
「長距離からの攻撃もありだけど、回避は不可能ね」
「私が考えてある作戦がこれなんだが」
新城は一枚の写真を見せた。それは丸い鉄球のようなもので、ウニのように何十本かの針状が刺さっていた。
「何これ?機雷?」
「この鉄球でぶつけるとか?」
「小さいけどこんなんで倒せるのか?もしかしてシールドブレイカーだったりして」
「いやいや、侮るなって。これはまだ兵器ではないが、これから兵器にする。これは、人工的太陽だ」
「人工太陽なぜそんなものがある?」
「何らかの理由でエネルギー不足になったときに保管してあった。だがこいつも寿命というものがあるだから今回使う」
「新城。その太陽で倒せるのか?相手はバリアーを持ってる巨人だぞ」
「これをぶつけるわけにはいかない。ちと改良を加える」
「加えるってどんなの?」
「いい質問だ綾瀬少佐。まず太陽ってどうやってできた?」
「水素があってそこにヘリウムとの核融合だろ?」
「えっ?水素で核融合なるの?」
「細かく言えば、三重水素とかあれやこれで太陽は明るく光ってる」
「新城さんはその太陽を使ってどのように倒すんですか?」
「改良を加える、太陽が持つ莫大なエネルギーを兵器に変えたんだ。つまり」
「核兵器か?」
「日本人がまさか核兵器に手を出すとはな。ジョークにもほどかあるぞ」
「いいか?ここの世界では核兵器などは存在はしない。核兵器は同等か格上の国家が仮想敵国になってこその抑止力となるが、格下相手に500年も戦うと核なんて持たなくても圧勝だからな、だが今回は違う。神なのかそれか神が与えた試練なのか、これに負ければこの日本は終わる。これが最後のチャンスだ」
「ですが、巨人のバリアーを破壊できるのでしょうか?。レーザー砲でさえ跳ね返されたのですから」
「これは熱攻撃と爆風による攻撃だ。バリアーには干渉はせず、そのまま巨人にダイレクトに直撃するはずだ。あとの細かい説明は有望な科学者に聞いてくれ」
ドアをのっくし、部屋に入る。
液体なのでシミがついた、小汚い白衣を着た男性科学者だ。
「科学者の北野です。今から兵器について説明をします」
「待て待て、率直な質問があるんだが。この爆弾は核兵器なのか?」
池田が言う。
「核兵器、もどきといえばいいかもしれません。まずは爆弾と考えず、微小な星と考えてください」
「その大きさはどのくらいですか?」
綾瀬が言う。
「まぁバランスボールのサイズぐらいでしょうか。そして原始星となり、超新星爆発を起こします。その時間は約15秒です」
「たった15秒だけで倒せるのか?」
鮫島が言う。
「現代兵器より、効果的です。ですが今のところ三つの問題があります。これは兵站問題なので新城さんから説明お願いします」
「三つの問題のまず一つがこの爆弾を運ぶ輸送機が必要だ。我が軍が所有している爆撃機では搭載できないことがわかった」
「大陸超大型輸送機まだ使えるだろ?」
「整備をしていない何十年前の古代兵器なんて使えるもんか」
「だったら私の輸送機を使うといい。超大型の輸送ヘリだ。3機連結で使えば持ち運べるはずさ」
綾瀬が言う。
「もし運べなかったら言ってくれこちらからも回す」
ジョンが言う。
「その次ですか、爆弾には起爆剤がありません」
「どうやって爆発させるんだ?」
池田が言う。
「犠牲を被るということになると、戦闘機で近くまで行き、そこに核ミサイルを発射して、誘爆させる」
「専門外だがわからないが、地上からのミサイルはダメなのか?軍艦からのミサイルとか?」
「それも考えましたが、巨人の空間認知能力は凄まじく、陸上兵器、海上兵器などは敵対しふたたびあのレーザーで掃射される可能性があるからです」
「で、誰がやるってことだろ?。まさか誤魔化して言う気か?」
黒瀬が言う。
「今のところ全軍のパイロットに聞いて回っている」
新城が言う。
「最後ですが、爆弾を落とす場所は南西200キロ地点に浮かぶ無人島に候補しています。あとは巨人をそこまで誘導をしていただきたいのですが?」
「どうやって誘導するんだ?」
「首輪でも引っ掛けるつもりか?」
「巨人に特殊な電波を流す。つまり、洗脳です。いのままおびき出せることができます」
「じゃぁ、あとは誰がやるかだな」
「私が引き受けよう」
ジョンが言う。
「本気で言ってるのか?大佐?」
悲運がまさに向かってきた。
「近くの爆心地だったら死ぬかもしれないんだぞ、まだ本の続きだってあるし」
説得する黒瀬。余裕がない表情に見えた。
「その島にはシェルターがある。そこを使いたまえ」
新城が言う。
「いいか、黒瀬。これは異世界人にしかできないことだ。並みの人間ではとっくに即死だろう。私なら任務を完遂できるはずだ」
ジョンが言う。
「わかった。行くのは勝手だが、俺もついていく。なんせ不死身だからな」
黒瀬が言う。
「ならそれでいい」
田所の携帯が鳴り、電話に出た。淡々と返答してきる。
「朗報だ。巨人が停止した。専門家によるとあと12時間は停止すると予想している」




