特務隊西へ
濃霧が発生している。暗さと濃霧で視界は悪い。
気づけば景色は闇から光と変わる。まさか、ぶっ通し6時間歩くとは思わなかった。できるだけ遠く逃げるためだ敵らは車を乗っているかもしれないからだ。
米国出身で特殊部隊育ちのアメリカ人はいい運動でしか無い。
他は疲れと眠気が襲ってくる。食事もまともに摂っていない。
「飴ちゃん舐める?」
黒瀬は星野に差し出す。
「ありがとうございます」
袋を開け口に入れる。ほのかにイチゴの味がした。一つの飴で糖分が身体中に巡る。
「この先霧が晴れる。周りに目を配れ」
ジャックが言う。
少しの傾斜に濃霧がかかっていて、行列がなっていた。
冠婚葬祭かはたまた大道芸人か、ようわからないが、楽器を鳴らしてド派手な装飾を飾って行進している。
「あの先頭が持っているブローチって探しているやつですよね」
ガブリエルが言う。
「うん。いかにも。だがどうやって機嫌を損ねないで回収できるかが問題だ」
ジョンが言う。
「いっそのこと全員やっちゃう?血が足りないし」
更科が言う。
「それは却下だ」
「なら私にお任せよ」
結城がいう。
結城は行列に近づいて何やら交渉を始めた。
我々は下の方から見ているしかなかった。
「うまく行くといいですね」
佐々木が言う。
「あーみえて元は営業マンときた。交渉は得意な方だとよ」
黒瀬が言う。
「そうなんですか」
星野が言う。
何やら結城は笑顔で帰ってきた。そう交渉に成功したようだ。見事にブローチを握って帰ってきたのだ。
それは黄金とダイヤの混合できたブローチだ。太陽の光で光り輝きその輝きは目を閉じたくなるほどだ。
「でもよく交渉できたな」
「金の延べ棒とあの村で売ってた昆虫の薬草を物々交換した」
結城は言う。
特務隊は帰路に向かう。