特務隊西へ
砂煙を上げ、広大な盆地に6台の走行車が縦一列になって行進する。隠れるところがないのが一番の嫌なことだ。
地図を見つつ、襲撃されたであろうポイントに向かう。乾季であるか、乾き暑い日だ。
ドローンが鬼のせいで壊れて、頼れるのは地図とコンパスとgpsだ。
航空写真だけでは詳細はわからなかった。最新の地図が欲しいところだがここら辺は更新が止まっている。
まぁ最新にする理由がないからな、ネットも普及していない21世紀以降の文明に最新の知恵を授ける意味がないからだ。
「こっから道無くなりますよ」
先頭のb班からの無線がa班に届いた。
平地ならともかく、凸凹と地面から岩が剥き出しだ。走行は可能だが、歩いた方が早いんじゃないかと皆んなからの意見が出る。
ドローンが無いので、空による偵察は不可能。災厄といったところだ。
「なんならバイク出して偵察出します?」
ジャックが言う。
偵察用バイクは2台持ってきている。もちろん乗るのはトムとジャックだ。
「目標ポイントはここだからここを通らないとなると結構迂回することになりますね」
「このまま下る。バイクも出さない」
ジョンが言う。
そのまま下ることが決定した。アクマは上下に揺れる車内で平気で水分のない固形行動食を摂取していた。
「おい舌噛むぞ」
ライアンが言う。
「今のうちに食べ物食べてないと死んじゃいますよ」
アクマが言う。
「こんなの食うより死ぬ方がマシだぞ。アクマ俺のもやるよ」
アレクが言う。 大量にある固形物の行動食を差し出す。
口の中の水分がこの固形物に持っていかれるので皆からの評価は低いようだ。1番のおすすめはスープに入れて砕いてクルトンにして食べることがうまいが、間違えてバナナ味を入れるとクソまずい。
下ると山道に出た。車両一両分の幅しかなく左に落ちたら200メートル落下することになるそうなれば即死だ。右は山なので平気なのだが、ここはなぜか見た事あるデジャブがある風景であった。
「「「そうだ。ここは、アフガンに似ている」」」
行ったことのあるやつはそう呟く。
人は黒歴史や嫌な記憶がフラッシュバックすると嫌悪感が漂うだろ、何もできないあの感じ今、アフガンでそういった経験をした人はそうやるせない嫌悪感を頭の中で押し付け脳内の隅に追いやったのだった。
この場所を一刻も早く離れたいが先も書いた通り何せ狭い15キロ以上は出せない。参った。
左側に座っているトムはふと窓の外を見る。
日差しの強い太陽が助手席を襲う。
ふと山の中腹が光ったかに思えた。まぁ気のせいだと思ったがそうではなかった。
無数の銃弾が、装甲車を襲う。そして先頭のb班装甲車から数メートル離れたところで爆発が起きた。たぶん設置爆弾だろう。その衝撃は後方のe班の車両まで届いた。
左側山の中腹からの攻撃がより一層強くなる。
特務隊は車両を縦にして右側に出る。
ドライバーと銃座の隊員はそのままで応戦にかかる。
「北西298度。山の中腹あたり、敵数不明」
「誰か、後部の銃座につけ」
車両の後部にm240を銃座として取り付けたのであった。
ジャックはボンネットに脚を立て敵を索敵する。スコープをひねり調整した。
岩に隠れていて大まかであるが小隊規模だと思われる。なかなか岩陰から顔を出すことはなくヘッドショットは決めることは出来なかったやつらは手練れている古参兵というべきか、全滅する理由もわかる。
特務隊も守る一方ではない、車の影から射撃を開始する。
重機関銃の点射、点射 から薬莢とベルトがコロコロと下に落ちる。
荷台から無反動とm141をそれぞれc班とd班から取り出す。m141を持ったガブリエルは1発、ライアンは3発撃ち込んだ。敵の攻撃は引いてゆく、だが油断はできない車両を少ししずつ動かしいていき、その影に隠れながら進んでいく。
「弾を変えるのも一苦労だ」
自動装填ではない重機関銃の弾を下から上に持ってくるのは物凄い力がいる。特に体格の小さい日本人となると重労働になる。
10分の間攻撃が来なかった。その間に被害状況を確認した。もちろん軽微で走行可能である。確認が終わり乗り込み少し急ぎみでこの谷を越える。




