history黒瀬 終わり
古びて空いた天井に、月光が2人の間を照らす。
2人の容姿は確認でくるほどだ。
黒瀬は装備を全て外す。刀を抜刀して鞘すらも外す。
兄は前回と変わらず風貌で落ち着いている。
黒瀬は一呼吸して、刀を強く握り、兄に斬りかかる。
兄もあの時とは違う様に思えた。どちらとも真剣そのもの。兄はゆるめたりはしていない。だが攻めたのは黒瀬だった。追い詰めたいがあと一歩のところまで攻め立てるがそれ以上は手が出なかった。
前回のように刀を振り解けられたりはしない。
「熊とか鹿ってのは一度電気柵に触れると痛いのの嫌がって近寄らなくなる」
結城がいう。
「何が言いたい准尉」
「黒瀬は恐怖を知った。不死身といえどそれ以上危険をおかしくなってしまった」
「おい黒瀬。不死身なんだからもっと気を張れ、頑張れ、負けるな」
佐々木が言う。
黒瀬は返答はしなかった。それを行動で返事をする。一気に黒瀬が立つ。だが兄も負けてはいられない。
黒瀬の一瞬の油断が、仇となる。黒瀬の右腕に刃先を当てた。黒瀬は一瞬下がる。前回の決闘が蘇った。だが、黒瀬の体は刀の毒に毒されることはなく、不死身の体は右腕の傷を癒やし回復して元どおりになった。
本当に不死身の体になったのであった。
兄はその神秘的な光景を見て心身共に怯む。
そこに黒瀬は見逃すことはなかった。
兄は薙ぎ倒され、黒瀬の勝ちで終わった。
「そこまで!!」
結城がいう。
むめいは兄のところに走って向かう。そのまま抱きついた。むめいは泣いていた。それも大声で。黒瀬は刀を鞘に収め装備を着る。
「君たちに一つ質問いいか?」
結城がいう。
泣いて目が腫れたむめいと俯いていた兄が結城に向ける。
「君たちに2人の本当の目的とは復讐ではなく、その刀の持ち主の怨念がこもって復讐しているのだろ?」
結城がいう。
兄は睨み、図星なのだろう。
「2人とも100年以上生きていると言っていたが、それは異世界人ではなく、刀としての年齢だろ?。2人は食事を取らなかった。なぜなら怨念が具現化したからだろ?つまり人間ではないってことだ」
兄は怒り結城に飛びつこうとするむめいはその力に圧倒され止められなかった。
だが、黒瀬はそのことを読んでいた。
二階の窓ちょうどその狭さからの狙撃が兄の太ももに命中する。
「よく誘い込みましたねさすがです」
ジャックが言う。
「ジャックもこの距離を当てるなんてすごいよ」
ジョンが無線で言う。
「兄さん」
むめいはかけよった。だが兄はまだやる気だった。
「もうやめましょうお兄さん。もうこんなこと。恨みなんて一生無くならないですよ」
「そうだ。お前が俺を殺すとまた誰かがお前を憎みそして殺す。そしてまた誰かが憎む。その繰り返しだ。お前の勝手な行動によって悲しみ、やり場のない怒りを一生抑えなければならい、だがお前は違う。ただ憎いだけで関係のない子孫を殺しただけだ違うか?」
「俺は主人の使命を果たしたまでだ。お前には関係がない」
兄が言う。
「そうか。だったらもう死ね」
黒瀬は言う。
むめいと兄は、灰と化し、突然生命としての命を全うしたのであった。
「これで一件落着か?」
「いやどうだろうあの刀はどうする?」
ジョンが言う。
黒瀬は刀を拾う。
「この刀は俺が預かる。そしてもう一本も」
「であそこにある刀が例の刀だ」
黒瀬はあの二本の刀を今でも大切に保管していた。