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異世界戦記  作者: トマト
History
184/200

history 不死身の黒瀬

不死身の黒瀬が誕生した時、その時は夜になっていた。

佐々木は一睡もせず、星を眺めて待っていたのだ。


「お。無事か?」


「まぁなんとか」


「刀は?」


「手に入れた。そして俺はこれから不死身になったから」


「へぇー不死身ね。であいつに勝てる?」


「負ける気がしねぇ」


「そうこなくっちゃ。乗れ特急で帰るぞ」


空路を無視して超特急で帰った。日の出が登り始める寸前で飛行場に着いた。本部に戻ってきたときには佐々木は消沈して後部座席で爆睡した。黒瀬は決闘を待ち浴びていて寝れるような状態ではない闘志が宿っていた。


だが、刀を手に入れたのはいいが体が随分と鈍っていたのはあの男よりも自分が一番知っていた。


あの時よりももっと強くそして最強、不死身として、邁進していかねば。


黒瀬は帰ると早速トレーニングを始めた。たるんだ体を元に戻すためにプルアップバーで鍛えたり、ひたすら走り込んだり、陽が落ちれば、剣を振るといった。現代の武士と言える稽古を始めた。


結城の甲斐があってか、兄は黒瀬の決闘以降誰も襲わなくなっていた。警察は逮捕することはできないが、特務隊は24時間。兄をマークし続けていた。防犯カメラ、GPS、衛星カメラ、使えるものはなんでも使って兄を監視していた。


あとは黒瀬の準備を待つのみとなっていた。


黒瀬は数週間で元の体以上の体力を増強した。たるんだ体は鋼に戻り、やる気も戻り始めた。


「黒瀬。いつ決闘する?」

ジョンが言う。


「いつでもいい。あいつは今どこにいる?」


「ひたすらうろちょろしているよ。まるで君を待ってるみたいだ」


「よし行こう」


決闘は前と同じく、夜そして誰もいない場所へと誘い込む。


特務隊で兄を誘い込む。エサとかではないが、兄が歩いているところにポケットにひっそりと紙を一枚忍び込ませた。

それは、戦う場所と時間を示した内容を送りつけてやったのだ。来るかどうかはひたすらマークしているから手に取ってわかる。


兄は決闘にのった。場所に向かう姿がカメラに映る。


「黒瀬には内緒で警察に差し出すのか?」

トムが言う。あの戦いで黒瀬が負けてから、勝てるとは信じていないからだ。


「いや、警察には出さない」

ジョンが言う。


「野放しか?それとも島にかえすのか?」

トムが言う。


「人殺しはたしかに許せない行為だ。だが、私が思うに人を殺すには何回かの段階を踏むと思う。いきなり殺すとは考えにくい。もしそれを飛ばすとならば強い誰にも止められない怨念が、宿っているのだろう。鬼神化した人間のように」


「もし黒瀬が負けそうになったり勝って殺そうになったとしても、一つあの兄に聞きたいことがある」

結城は言う。


「一つって?」

トムが言う。


「もしかしたら、人を操って殺しているかもしれない」


「なぜ操ってんだ?」

トムが言う。


「やつをずっと監視していたが、一睡もしていないし、食べ物も食べていない。おかしいと思わないか?」

結城がいう。


「防犯カメラの死界で食べてるんだろ?」


「店内のカメラさえ操れるし、上から衛星でひたすら見ている。寄ろうとしなし食べようとしない。不思議だ」


今夜の決闘で全てが解決する。




時計の針が21時を回る。黒瀬は待っていた。


だが兄は決闘の時間に遅れる。まるで巌流島で遅れてきた宮本武蔵のように。


「佐々木小次郎と宮本武蔵みたいだ」

佐々木が言う。


「黒瀬はどっちだ?」


「宮本?佐々木?」

ネイサンが言う。


「先に巌流島に着いたのは小次郎の方だつまり黒瀬が小次郎で、武蔵があの兄。ってなるな」

佐々木が言う。


「縁起でもないことを言うなよ佐々木」

結城がいう。


「遅れてきたから勝てるとかじゃねぇんだよ勝てばいいんだよ勝てば」

黒瀬が言う。


「じゃあ勝ってくれよ黒瀬」

ジョンが言う。


2人の決闘を見守るむめい。勝負はいかに


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