History 不死身
我々は基地へと帰還する。この後騎士達やジャンヌがどうなったかはわからない。生きていてくれとそう願うばかりだ。
帰ると整備なり、報告なりと急務が続く。
新城からのメールが数十件も来ていた。分析班が目を通して、それを隊長に伝えた。
「我々が探している赤い本。そして座標から見つけた古代文書。異世界人を帰還するには何かしらの犠牲は必要だとわかりました」
結城がいう。
大きなため息をつくジョン。
「なるほど。じゃあもう手詰まりだな」
方法は見つかった。後は材料と調理だけとなった。
「一つ気にかかることがあります」
「なんだい?」
「コウノトリ作戦でトム達b班が目撃した。地下で発見した培養槽に入っている人物達です」
「あぁホムンクルス達かあれは報告で聞いてる」
「これって何か関係あると思いません?」
ジョンは考え整理して発言した。
「大量の犠牲がいるってことは逆に犠牲を払えるものを作りそれで解決しようとした?」
「かもしれません。あの研究所は爆破により、あたかも無くなってしまいましたが、可能性あるかと」
ようやく解読できた文書、犠牲がともなくことが必至となった。そして犠牲を払うために用意されたかもしれないホムンクルス達。
「ですがまだ全部はそろっていません。内容が変わるかもしれません」
「あぁもちろんだここで諦めるんなんて特務隊らしくない。いつも変なとこに首突っ込んで、何度もやらかしたか...」
「また発見次第報告しに来ます」
結城は外に出る。
黒瀬は一人でl字型ソファーに寝そべってテレビを見ていた。
上半身裸で短パンを履いていた。するとそこに、星野と佐々木が来た。
「何で裸なんですか?」
星野が言う。
「何って筋トレしてシャワー浴びて今ここ」
「筋肉見せびらかさなくていいから」
佐々木が言う。
「でも先輩不死身なのに何で鍛えてるんですか?」
「それは不死身は制限があるし、この刀に失礼だしな」
抜刀する黒瀬。
「先輩が不死身になった理由教えてくださいよ」
「えお前知らないの?」
「そっかー星野ちゃん来たばっかりだしな」
「もう1年経ってるだろ?」
「話してやれよそれじゃただのチート野郎にしか見えない」
「わかったわかった。話すだがこの話はクソなゲェーぞ」
「今日休みなんで」
「非番なら外出しろや」
「聞いてからしようと思ったんです」
「話すからすぐに外出しろよ。えーとあれは結構前の話。まだ特務隊が5人とか6人の時ぐらいまで戻るんだよな」
東部戦争が終わって、軍隊をまた辞めてフリーで魔女狩りしていた時。たまたま仕事が特務隊達とかぶってそれで、共同でやることになった。
そして奇妙な事件が起きた。それがわかったのは警察からの依頼だった。
五十嵐?だったかまぁ五十嵐だと思うけど五十嵐刑事からの電話が一本特務隊に依頼がかかってきた。
五十嵐は電話だと、盗聴される危険性があると言って、我々本部兵舎までくるという。ちなみにだが特務隊設立当初からあの兵舎だ。
五十嵐は佐々木よりでかくアメリカ人と比較しても劣らない身長とスーツにトレンチコートを羽織ってしかも辞書を持ってきたかというぐらいの資料を持参するではないか。
「どうぞこちらへ」
結城がいう。ソファーに座らせ、隊長と結城が五十嵐と対話する。あとの奴らは耳を立てて聞いていた。
「警察がまさかの軍隊に依頼するとは、初では?」
「警察ではもう手に負えないと思ってる事件だ。このままだと迷宮入りか教科書にも載るぐらいの事件になってしまうだから軍隊にしかも奇妙な事件を解決してるようでその噂は警察では有名な話です」
「それは怪異であったり超常的現象を解決しただけですよ。あくまでも兵士ですので」
「では聞くだけでも」
「まぁいいでしょうですが期待はしないでください」
まず五十嵐が見せたのは5人の遺体だった。
「これは全て殺人で同じ容疑者が殺害したとわかっている。だがその殺害方法が奇妙なんだ」
「まず死因は刃物による大量出血なんだが現場には血は流れていなかった。そして刺し傷は皆軽症なものばかり。致命傷とはいえない」
「切り傷みたいなもんか」
結城は写真も見てそういう。
「そうです。傷は浅い。だが血は致死量流れている」
「違う現場で死んで後で運んできたとか?」
ジョンが言う。
「それも私は考えましたが死亡推定時刻は夜の11時、発見されたのがその20分も見たない11時18分です。つまり運ぶ時間なんてないんですしかも皆通勤ルートで殺されています」
「なるほど。被害者の共通点は?」
「皆女性ということだけで学歴、職歴、共にバラバラ。共通点はあらいましたが、いまだに掴めない。
「なら無差別?」
「そうに等しいです。まるで切り裂きジャックかのような犯行です」
「犯行に使われた刃物は何だ?」
「具体的にいえばナイフか刀かの二つです」
「血を吸う刀もしくはナイフですか?」
「それをどうか見つけてほしい」
まさに奇妙すぎる話だ。だが引き受けるとは言ってない。
「うちが引き受けよう」
ジョンが言う。
「いや、大佐これは...」
「うちの部隊は探すのが得意でね是非引き受けよう」
「ありがとうございます。また情報があったら連絡するのでここまでお願いします」
メモ書きを一つ五十嵐は置いていき、兵舎を後にする。
「なんか裏があるなこれ、」
黒瀬が言う。
「まさに便利屋って感じ」
「ほら、仕事に取り掛かるぞ」




