Cross Over History 黒瀬との出会い
前線の塹壕はとてつもなく長くそして遠い。
装甲車に乗ってれば爆撃もしくは砲撃に遭うため、約300キロも歩いた。遠方もない距離を4日で走破した。そして今は3メートル以上はあるかもしれない塹壕の中をひたすらに東へ最前線の第三歩兵突撃大隊に一通の手紙を渡すことになっていた。
朝雨が降ったためかぬかるんでいる。それはもう慣れた。
前線に近づいた。一直線の長い塹壕だ。
左が一から四大隊右は五から八までの大隊が死守している。左に曲がり、歩く。兵士たちは俺のようにくたびれた顔して廃人になっていた。いつ死ぬかもわからないこの緊迫感を俺は何百年も味わってきた。ゾクゾクする
第三大隊の防御陣地へとついた。第三は特に兵士の損耗が激しいらしい。見張りもほぼ一人で待機人員もいるかいないかのどちらかであった。
右か左側の側面に穴を掘る。そこに待機所を設ける。寝てるやつやご飯を食べるやつもいる。
大隊長も居るのも推察した。
仰向けになってるやつと体育座りで雑誌を読んでるやつ計二人がそこにいた。
「第三大隊長はどちらに?」
「君はどこの部隊だ?」
雑誌を閉じ目線をこっちに向けた。そうこの人が結城だった。
「東部方面司令直轄伝令兵の黒瀬予備軍曹だ。大隊長あてに一通の手紙が届いております」
バックの中から手紙を出す。結城はそれを受け取って仰向けに寝ている。外人を起こして手紙を渡した。この外人が今の特務隊長ジョン・スミスだった。
俺は手紙を読み終わるまで立っていた。
「黒瀬軍曹は手紙を読んだことあるのか?」
「いえない」
「そうか君の上司いや、我のトップはおかしなことを言うもんだとつい怒ってしまうよ」
「少佐見してくださいな」
結城は手紙を読む。
「たしかにこれはひどいなこの現状で。黒瀬軍曹も読むといいよ」
俺も読むことにした。内容はたしかにクソだった。
新設された部隊が来るというので寝床と食料と何人かの支援兵を準備してくれとの通達であった。もちろん署名は方面司令のサインだ。
「そういえば司令部爆破されたの知ってるか?」
「いや知らない」
「まじ?あっそっかおととい爆破して今日の午前中の会報で来たくらいだから」
「でどうなったんですか?」
「みんな重症らしい。これは死人が出たな」
「で少佐どうします?」
「できるだけ空き集めてくれ少尉。それに黒瀬軍曹はここでゆっくりしていくといい休息の場ではないが帰る場所もないだろう」
休憩することにした。だがここはやけに静かだ。




