座標
結依頼主にかんざしは返したものの結城は座標が気になっていた。
「准尉やっぱ気になってるのか?」
「勝手に調べてあれなんだが、確認してみたいと思ってる。宝物とか財宝目当てではない。暗号を解いたんだからここで手放すのはなぁーって」
「准尉も気になるんだな」
黒瀬は腕を組んで頷く。
「わかってる。子供の頃を思い出すよ」
「だったらいくか?准尉」
「いいか特務隊の下士官トップが命令違反を起こしていいのか?」
「そもそも特務隊に命令なんてないでしょ」
「変わったな特務隊も」
「いいから行くぞ准尉。ソワソワしてやがって」
依頼と命令がない限り行動は制限されてはいない。オスカーの捜索や本の探索などが中心であるが国外を調査するのもある意味任務の一つである。そう割り切って2人は座標の位置へと向かう。
「片道300キロか遠いな」
基地から北東に進んだ場所であり、特務隊はまだ踏み入れていない未開の土地である。
「准尉よ。もし、もしだよ何かあったらどうするんだ?取るんか?」
「黒瀬。それはもしとしてとっておこう。今は行くことが大事だ」
「はいはい....」
「ところでさ....」
車内では終始世間話が続く。准尉はあどけない笑顔を見せた。
結城の年は確か24か23だったはず。来る前に何をしてたかは全くわからない。
後数十キロ先にまで来ると。あとは草原であった。道はなく、だだっ広い草原で風がよく吹いていた。雲も2分ぐらいでいい天気である。
そのまままっすぐ進み、1キロ手前で降りた。
そこには直線何百キロにも及ぶ塹壕跡が見られた。
2人は中に入ってみる。土や雨で何センチか埋もれてしまい、175cmもある結城の身長から顔が出てしまっている。
「懐かしいな塹壕なんて」
「そうか?」
「覚えてないのか?。初めて会った時。ここじゃないけど東部の戦争で」
「あんまり覚えてないな」
「少し話してやるよ。ほんのすこーし」
どうやらかんざしもこの塹壕を南にまっすぐ進めばたどり着くとわかった。行く間に少しの昔話をすことにした。




