脱出
あとはこの都市からの脱出だけとなった。
列車の準備が進められている。火入れも終わり、次はドッキングに取り掛かる。
黒瀬と魔女は相性が悪いので離すことにした。もし黒瀬が言った通り魔女が元凶だとしても、我々は敵対する理由はなかった。
「弾を届けるって?」
「今は魔女と離すのが得策だ。すまん」
ジョンが言う。
「魔女にやられたらどうする?」
「そうそう簡単にはやられないさ」
トム達の狙撃班に弾を届ける仕事についてもらい、職員と魔女に当時の状況を聞くことにした。
パンデミックのように、あっという間に広がり、食い止められなかったという。我々が思うにてめられなかったというより止めなかったのだろう。
それは、なぜかというと警察や軍事車両などが見受けられなかったからだ。
普通なら治安出動だろう。
引っ掛かるところ、そしてこのゾンビの発生原因だ。
魔女のせいで片付ければ簡単だが、それは違う。やってることが中世ヨーロッパだ。
やったから火炙り、やってないから火炙りとどっちに転んでも変わらない。
「大佐。大佐見てもらいたいのがあるんだが」
結城がよぶ。私は結城についていく。
「何事だ?」
「いや、鉄道用のコンテナの土台となる車両を探していたのだが、これを見てもらいたい」
第二次大戦を彷彿させるような三色の迷彩カラーで施された。装甲列車である。
「なぜこれを見した?」
「軍隊がこの街にないって思ってるならなぜここに装甲列車があるのか、不思議だと思いません?」
「私もそう思っていた。結城はわかるか?この街がなぜゾンビによって潰されたのかを」
結城は少し考える。
「私の考えを申しますと、黙ってるのが最適かと。依頼主はその秘密を知って我々に依頼をしてきました知る理由はないかと」
「魔女がやったと思うか?」
「やってたら殺すんですか?。正義のためとかで御託並べて」
「かといって生かす理由もない。気づいたら黒瀬に狩られているかもしれない。まぁわからんが」
「そういえば誰に引き渡すんです?」
「それがまだ決まってない。難民か復職だな」
私は保護した3人のところへ戻る。事情聴取も終わってその資料を私は黙読する。
発生原因はやはり、不明。ゾンビを見ることはなく、そのまま地下へ逃げ込んだ。
魔女の証言だと周りにがゾンビを喰われているのも見たと。噛まれた人は、誰かに引っ張れるかのように立ち上がりまた人を襲ったという。だが自分はやってないという
黒瀬が言う魔女のタトゥーなどは確認できなかった。
「結局わからずじまいか」
匙を投げる。明日に備えて、寝ることにした。
「災厄だろう雨とか。あいつらなんて屋根の下だろうな」
トムが愚痴る。雨を回避できないのがものすごく辛い。雨具を着ているが、風邪をひきそうだ。
清水は雨具を持ってるのかと気にかけたが心配はないようだ。
視界も悪いが幸いなことに1,400時にはここを脱出すると連絡が入る至ってもいられない。
交代で身の回りの整理に入る。
「乗客車両ないからコンテナに入ってもらうぞ」
車両を担当していたウィリアムがいう。
「なぁ結城汽笛鳴らしてくれよ」
「えぇしょうがないな一回だけだぞ」
結城は汽笛を鳴らす。銃や榴弾砲とは違う、力強くて街の空気をわって叫喚が建物を震わした。
遠く離れた黒瀬のところまで聞こえた。
「そろそろ帰るか」
黒瀬は足を車両基地にへと進める。が何やらどうもおかしい。汽笛が鳴ってからだ。
「おい、こっち何かおかしいぞ」
「おかしいって何がだ?」
「猛烈に胸騒ぎってやつだ」
その胸騒ぎはすぐに判明した。
それはゾンビの襲来だ。想像を超えるとてつもない量のゾンビだ。
黒瀬は立ち向かわず経験上これは逃げる一択であった。
「ゾンビだゾンビ。ありえないくらいの量だ。車両基地に向かってる。狙撃班じゃあ対処できない。バルカン砲が三ついや10個くらい必要だ」
「全員聞いたか?戦闘準備だ。一頭たりとも中に入れんじゃないぞ。駆逐せよ」
ジョンは指揮する。
「大佐。大佐」
ヴォルフは無線で呼ぶ。
「やばい。1番弱いバリケードに集中している。このままじゃ破られる。c班だけじゃ対処不可」
「了解した応援を送る」
ネイサン、力、ライアンが急いで向かう。だが4、5体のゾンビは持つバリケードをよじ登り車両基地に侵入していた。
拳銃やmg3で掃射する。
「クソッ右側のバリケード破れてるぞ」
ネイサンは気付き、手榴弾を一発お見舞いする。
「白兵戦に備え全員着剣しろ。全ての武器を使い対処せよ」
「大佐。装甲列車を使いましょう」
結城が進言する。
「間に合うか?」
「汽車をバックさせ連結させます」
「わかったすぐに取り掛かれ」
結城班は列車に戻る。
「くそレールの周りにもゾンビが」
「警戒しているとこ以外にも来たか」
「こちらパスファインダー。狙撃が間に合わない。しかも何人か登ってきた」
「できるだけ早く脱出しろ」
無線を入ってる時でも、ゾンビはお構いなしに襲ってくる。
周りに囲まれている。
特務隊は一人たりとも諦めたりしなかった。
列車にもこべりつくゾンビ。
「連結完了。全員列車に乗れ」
結城の無線が入ると皆は車両に向かう。
汽車は車軸を回し、蒸気が車両基地に充満する。発進してある程度は乗ったが全員ではない。
銃突撃をかましたり、最終的に近接戦闘にもつれこむ。
ゾンビも装甲列車にしがみつく。銃座にm2キャリバー。軽榴弾砲。火炎放射器。対空機関砲。汎用機関銃などが装備しており弾も配備されていた。しがみついていたゾンビも蹴散らす。
かく銃器に配置して、車両基地から出ると薙ぎ払うかのように撃つ。
誰が乗ったが掌握はできなかった。だが私は最後まで残ると決めていた。
最初に乗るなんてボスらしくないと思ったからだ。
「c班全員乗り込み完了」
「同じくeとfも完了」
「あとaとcとdです
「列車が発進してるぞここでお開きだ二人とも」
トムはいい。ワイヤーの位置までいく。
「早く降れ降れ」
トムは二人先に行かせる。ゾンビはそこまで来ていた。
ワイヤーで降る。列車と交差する絶妙な位置にワイヤーを引っ張っていた。
「b班乗り込み完了」
北側も守っていた。d班も乗り込む。
黒瀬がまだ来ていなかった。だが列車は時速10キロ以上は出ている。
「黒瀬早く!!」
無線で言うジョン。
「大佐も早く乗って」
フェイクの手を掴み乗車する。黒瀬はよつやくバリケードを飛びこえ、車両基地に侵入した。
「いました。黒瀬ですそれにゾンビもついてきてます」
「機関砲掃射当てるなよ」
列車から黒瀬まであと500メートルとなった
「スピード下げられないのか?」
「下げたらゾンビがしがみついてくるから無理だ」
「手を掴め早く」
ジョンが腕を伸ばす。
「やってるって!!!」
全速力で走る黒瀬のスタミナも限界か..
最後の踏ん張りを見せる黒瀬。
「あとちょっと!」
「飛ぶからつかめ!!」
黒瀬は思いっきり飛ぶ。飛んだところをジョンが掴んだ。
「よしやったぞ」
「はぁはぁはぁ...どんなもんだい」
「爆破するからショックに備えて」
ネイサンは言う。そしてスイッチを押した。
爆発ともに土砂が崩れ見事にトンネルを塞いだ。
「一件落着か?」
「かもな?」
真っ暗なトンネルを突き進む。機関車。このトンネルは長い長い。暗闇に包まれる。




