b班
狼男は本当に動物みたいだ。言葉も発しない。生き物で人でない。
狼男はまずトムを襲った。狼男の引っ掻きをトムは避けるがブレードキャリアはかすってしまった。マガジンや無線機などが落としてしまう。
トムに拾う余裕なんてなかった。
「ジャック」
トムはそう叫ぶ。ジャックは狙いを狼男に定めるが、動きが俊敏でなかなか狙いが定めなかった。
「ちきしょう。もっとじっとさせろ!」
「無理に決まってんだろ。早く撃て」
ジャックは撃ち、狼男の肩に着弾した。狼男はすぐさま狙いをジャックに変えた。
ジャックはもう1発撃った。
あまりの大きさと強さに腰に力が入らなくなってしまった。恐怖心がジャックを襲う。手が震え、息も上がり銃の照準ができていなかった。戦場の恐怖とは違う何かを感じていた。
ジャックは怖くて逃げることも撃つこともできなかった。
「ジャック!!逃げろ!!」
トムはそう叫ぶが、ジャックには聞こえなかった。
ジャックの頭に故郷。家族そして、小さい頃の弟を思い出した。
狼男が放ったパンチは見事にジャックの中心部を叩きジャックは数十メートル吹っ飛んだ。バットで振ったボールのように。
ジャックは気を失ってしまった。満身創痍だ。狼男は満足したかのようにまたトムに狙いを定める。
「ジャック!!!!」
トムはジャックに近づけなかった余裕がなかった。
バディをここで失うなんて思わなかった。死に目にも会えないなんてこんなに悔しいことあんかあるのか。
この世界は残酷ずぎる。何のために俺たちを呼んたのか、狼男に食い殺されるために呼ばれたのか、そう思った。自然と涙が出る。
(こんなはずじゃない。俺とジャックやみんなでこの世界から出るって約束しただろ。ジャックこのまま死んでいいのかよ。俺だって命がけで戦ってやる。だからジャックお前も海兵なら戦え)
トムは心中で叫んだ。
トムは逃げるのやめた。武器になるのはナイフと拳銃二つのみ。3人の応援はまだ来ない。なんなら来る前に死ぬかもしれない。
「なんて最高な状況なんだ」
皮肉を言う。トムは死を覚悟する。逃げずに戦うそれが海兵ってもんでしょ
狼男の力で放ったパンチはトムのスレスレを通る。トムは腕を踏み台にして回し蹴りで狼男の脳天を蹴る。だがトムの足を掴み放り投げた。
トムは受け身の姿勢を取り怪我しなかった。
狼男はじっとどの方を見た。トムはヘルメットを外しそこら辺に投げた上着も脱ぎ捨て握り拳を作りファイティングポーズを決める。
「よっしゃ行こうじゃないの」
狼男は突進してくる。トムも受けて立つかのように走った。




