短編ガチャで爆死したからって主役を捨てるなんて許せませんわ!
実在の作者名などと被っていないのか軽く調べたのですが、もし被ってしまっていたらすいません。
「――アルファ! お前との婚約を破棄させてもらう!」
ええ!?
突然、なんてことを言いだしますの。
私は驚きのあまり言葉を発することもできず、だまって婚約者である王子を見つめ返すのでした。
「何の冗談ですか?」
「貴様がベータに行った悪行の数々、決してゆるすことなどできぬ!」
真っ赤な顔でそう返す王子は、本気で憤っているのでしょう。
――なんてことを……
よりにもよって、こんな場所で婚約破棄の宣告なんて。
私にこれからついて回る悪評を想像すると、思わずため息が出てきます。
――カ~~~ット!
『いやいや、おまっ。
そこで、何をドライに婚約破棄受け入れちゃってるの!?
もうちょっと、王子に好感を持って悲しんでよ……』
目の前に現れたのはこたつの置かれた和風の1室。
そして、こたつで吞気にお茶をすすっている人物が視界に入ります。
その人物こそ、私の生みの親。物語を生み出すなろう作者という存在でした。
ここは俗にいう「おまけ部屋」。
物語の作者のみが持つことを許される、なんでもありのメタ空間でした。
「うっさいわね」
私は、覆面で顔を隠した『自称・名監督』にジト目を向けます。
何が悲しくて、こんな茶番劇を何百回も繰り返さないといけないのよ。
『そんなことだから、ウチの小説には人気が出ないんだぞ。
見よ、この惨自たる結果を……!』
バーンと叩きつけられ紙の束。
なになに?
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悪役令嬢です。婚約破棄されたので、ヒロインには死んでいただきます!
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キーワード 悪役令嬢 婚約破棄 ざまぁ
[第3部分] 未完結
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婚約破棄令嬢は結婚をあきらめ、幸せに暮らしましたとさ。
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キーワード 悪役令嬢 婚約破棄 ざまぁ
[第3部分] 未完結
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婚約破棄なんて許せない! 何度ループしてでも幸せを見つけますわ!
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キーワード 悪役令嬢 婚約破棄 ざまぁ 逆行転生
[第3部分] 未完結
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見せつけられた屍の数々。
悪役令嬢として生み出された私は、いつも婚約破棄されていましたね……。
「というか婚約破棄にかける並々ならぬ思いは、なんなんですか!?
いい加減にしてください、永遠に婚約破棄される身にもなってくださいよ!!
【ざまあ】はどこ行ったんですか!?
1つぐらい完結させようとかいう気概はないんですか!?」
『1話ガチャ! 当たるまでは回し続ける覚悟を持っている!』
返ってきたドヤ顔。
当たるまでは、永遠に婚約破棄されつづけることを約束された私。
嫌すぎる、そんな覚悟は今すぐ投げ捨てていただきたい。
そしてその未完成のまま死んでいった作品たちを、是非とも完成させてあげてほしい。
「だいたい1人称の小説だから、地の文もよろしくね! ……ですって?
あなたには、物書きとしてのプライドとかありませんの!?」
『プライドでSSRを引けるとでも言うのか!?』
「ほら。読者様に伝えたい事とか。何かあるでしょう?」
『くだらんことを言ってないで、次だ。回すぞ。タイトルは何が良いかな……?』
相手役を仰せつかった、相手役の方も死んだ目をしています。
永遠に悪役をさせられているもの。当然の反応です。
「たまには、幼馴染ざまあなんてどうですか?
婚約破棄は、もうこりごりですわ。
私、たまにはざまぁされる側もやってみたいんですの」
『いや、ハイファンは無理だろ常識的に考えて』
「あ、はい……」
異世界[恋愛] も十二分に無謀だということは、言うべきではないんでしょうね。
「もうランキングなんて投げ捨てて好きに書けば良いじゃないですか!
婚約破棄ループを脱せられるなら協力を――」
『分かったぞ!』
唐突に、立ち上がった、自称・名監督。
『俺の小説が読まれないのは、おまえが悪い!
俺の書く小説は、完璧にトレンドを抑えたテンプレートに乗っかったものだ!!!
伸びないのはキャラが悪いに違いない! おまえは首だ!』
ビシリと指をさし、私にそう告げました。
「は?」
『もうおまえに用はない!
思えば、口答えが多くて気に入らないやつだった!
おまえは私の世界に必要ない!
ネットの海に、消え去るが良いさ』
あ~れ~~~
なにやら不思議な力で、和室の外側に吹き飛ばされます。
傲慢で、生み出したキャラ(私)の言うことなんて何も聞かないお方。
まあ、なんとも最後まで身勝手なお方でした。
短編ガチャで爆死したからって、主役を捨てるなんて許せませんわ!
◇◆◇◆◇
創造主の元を放り出され、なろうというネットの海を彷徨うことになった私。
すぐにでも消え去ることになるのかと思っていましたが、今の所自我ははっきりしています。
#
婚約破棄ぃぃぃぃぃぃ!
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キーワード 悪役令嬢 婚約破棄 ざまぁ
[第10部分] 未完結
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「ふっ、ざまぁないわね」
翌日、私は作者名【悪役令嬢を愛するもの】――私の創造主にして、私を捨てた作者の作品に粘着していました。
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感想一覧
[気になる点]
テンプレでつまらないです。はやく消して、またリセマラすることをおすすめします^^
投稿者: あなたに愛されていたもの
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昔の馴染みで、感想ぐらい書き書きっと。
なんだ、なんだ。その投げやりなタイトルは!
私のアドバイスがないと、最低限の体裁すら整えることができないんですね?
「な~にがキャラが死んでる、よ。
な~にが、君にはキャラの心が分かっていない、よ!
私がキャラよ。私が思ったことがキャラの思ったことよ!
婚約破棄がもう馬鹿らしいって思ったのよ、悪い!?」
#
返信: 悪役令嬢を愛するもの
「ふっはっは、今までの爆死数を舐めてくれるなよ! なんなら、このままキャラガチャを回すのも一興。もちろんリセマラを続行しよう、"外れキャラ"のことなど忘れてな!!!」
#
うわあ、顔真っ赤にしてそう。
「外れキャラのことなど忘れて」ですか。
なら、私も「外れ作者」のことなんて忘れて旅にでることにしましょう。
サヨウナラ、数字に溺れて大切なものを見失ってしまった人。
悪役令嬢を愛するもの、そのハンドルネームが泣いていますよ。
やがて、そのハンドルネームを持つものはエター作者として一部で有名になっていくのだが、それはまた別のお話。
◇◆◇◆◇
ここは「小説家になろう」という世界。
見渡す限り一面にあるのは、小説という名の輝きの結晶。
「なろうって、本当に広いですわね……」
「更新された連載小説」には凄まじい勢いで数多の色の結晶が投げ込まれ、手に取られるときを今か今かと待っていました。キラキラ輝いていて、とても綺麗です。
強い光。
弱い光。
作者の想いにより、放つ色が違うのでしょう。
タイトル、あらすじ。
そこから放たれる光は、作者の想いの量。
【悪役令嬢を愛するもの】の生みだした小説は、どんよりと淀んだ紫色。
「ああ、これは手に取って貰えないですわね」
納得したように呟きます。
1話ガチャの色、いかにも低レアリティらしい外れっぽ~い色をしています。
今度、また感想に書いてあげましょうか。
「……私って、意外と根に持つタイプだったんですね~」
誰も知らない自分の一面でした。
さっさと忘れた方が幸せだ、ということは分かっているのに。
「あら、この結晶はひときわ強く輝いていますわね」
そんなとき視界に入ったのは、眩いばかりの光を放つ施行の1粒。
思わず手に取りたくなる光を放つ、美しい結晶が視界に入りました。
「タイトルは……四字熟語ですか。チャレンジングですね。
あらすじも、まるでこなれていない乱文。
これは伸びませんね。
でも不思議な勢いが。気迫がありますね」
それはなろうという広大な海では見向きもされていない、ちっぽけな小説。
#
XXXX
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[第142部分] 未完結
#
うん、やっぱり。
なろうのトレンドも、流行りジャンルもすべてを無視した小説。
――でもあの輝きは
間違いなく、作者の想いが輝かんばかりに詰め込まれた小説です。
作者の想いの純度は、何よりも高そうで。
私は興味を惹かれて、続きを読んでみることにしたのでした。
◇◆◇◆◇
#
感想一覧
[良かった点]
・物語の展開、設定が秀逸です。主人公の掘り下げも見事で、主人公が非常に魅力的でした!
・今後も応援しています!
[気になる点]
・ヒロインにまったく感情移入できない、物語に動かされていて読んでいて辛い
投稿者: キャラを活かしてあげて!
#
はっ、思わず感想を書き込んでしまっていたわ。
全142話を一気読みするなんて、実は私って読書家だったのね。
読んだ小説は、ひとことでいうと非常に面白いものでした。
物語の構成・設定、伏線の回収、主人公のキャラ付けなどすべてに意味があり、読む時間を忘れさせてくれる小説でした。
ただ1つの致命的な欠陥を除けば――
「ヒロイン!? そこは常識的に考えて、主人公を引き留めるでしょう!?
スムーズに話を進めるため!? その反応は有り得ないでしょう!」
どうにも私はヒロインキャラに感情移入してしまいました。
だからこそ否が応でも目についてしまうのです。
その行動のちぐはぐさが。
#
返信: ベジタリアン
感想ありがとうございます、このような感想を頂いたことはないので非常に嬉しいです。
お恥ずかしい話、僕にもヒロインが何を考えているのか分かりません。
とにかくプロットの通りに進めてしまい、彼女の意志がどこかに行ってしまった状態です――
#
感想に即レスが返ってきました。
伝わってきたのは、作者さんの誠実な思い。
キャラクターとたしかに向き合い、意図を読み取ろうとしても読み取れなかった。
そんな後悔が伝わってくるような言葉でした。
◇◆◇◆◇
その後は、ランキング、完結済の小説など、数多の結晶を拾い集めて読みふけりました。
小説家になろう、いくらでも時間を潰せてしまいます。
消えるその瞬間まで、楽しむことにしましょう。
それでも、あの作者さんともし会うことができたなら。
ヒロインの行動について、語り合うことができたなら。
不思議といくら他の小説を読んでも。
最初に読んだ、漢字四文字の無骨なタイトルのあの小説が。
頭から離れてくれませんでした。
◇◆◇◆◇
「ねえ、アリサ。君は今なにを考えているの?」
「アリサ。君が喋ってくれないと、物語は進んでいかない」
「どうしたっていうんだい。最初は、向き合ってくれたじゃないか。
展開が気に入らないのかい? なんで黙っているんだい」
「アリサ。アリサ……」
目が覚めると、目の前にはマネキンに話しかけ続けるヘンタイがいました。
丸い瓶底眼鏡をかけたギャグ顔のヘンタイ。
「う~ん……」
悪い夢なら醒めて。
私は、目を閉じふたたび眠りにつくことを選択しました。
「アリサは、きっとこう思っているに違いない!
イケメンである俺様のことが心配で、でも心配をかけていることを悟られたくない!
だからこそ内心で泣きながら、笑顔で見送る。ここもこれ一択だ!」
「そうなのかな……」
妙に長い悪夢ですわね。
それに、アリサという名前どこかで聞いたことがあるような――
ハッ――
その名前は――
「いいえ! そこでヒロインは絶対にアサトを死地になんて行かせない!
あなたに救われたからこそ、たとえ嫌われてもいい。
必死に引き留めて……それが叶わなかったなら、無理にでも付いていく。
アサトこそが私の全て。重たいけど私には分かるわ!」
アリサ。
それは、寝る前に気になっていた例の小説のヒロインの名前でした。
「でも、それじゃあこの後の展開の整合性が取れなくなってしまうんだ。
アサトの行動理念は、とにかくヒロインのいる場所に戻りたい!
だからこそ、誰よりも強くあれるんだから。
だからこそアリサには、ここでは基地に残ってもらうしかないんだよ……」
熱弁を振るう瓶底眼鏡。
もしかすると……ここは、作者部屋?
例の小説を書いた作者―ベジタリアンさんのおまけ部屋なのでしょうか。
これまた予想外の場所に、空間に迷い込んでしまったようですね。
◇◆◇◆◇
「君はいったい……?」
ベジタリアンさん、先ほどの勢いも噓のように警戒心を露わにしました。
まさか、なろうの世界に作者部屋が存在するなんて……。
マイページが具現化した空間だとでも言うのでしょうか。
そんなプライベート空間に土足で上がり込んだ、私というイレギュラーな存在。
警戒されるのも当然です。
「私は……ベジタリアンさんの作品を読ませていただいたものです。
『キャラを活かしてあげて!』という名前で書き込ませて頂きましたわ」
「神様!!」
ベジタリアンさんが、突然私に土下座しました。
どうしたのでしょう?
「この度は、不快な小説を書いてしまって非常に申し訳ございませんでした」
「ええええ? お、落ち着いてください。」
「お客様は神様ですから……。どのようなクレーマーが相手であっても――」
「――ああん?」
「ヒィィィィ」
どこの接客業ですか。
そして、クレーマーとあっさり口にするなんて、まるで反省の心が見られませんね。
私が、どう対応するか悩んでいると――
「あなたには、私の声が届くのかもしれませんね。
ずっと。ずっと待ってた!」
突如として声が聞こえました。
喋り始めたのは、ベジタリアンさんが話しかけていたマネキン。
……いいえ、マネキンなどではなく彼女は――
「あなたがアリサさんですね。
物語の整合性により意志を封じられ、物言わぬ操り人形にされてしまった哀れな人」
「この声を聞いてくれる人!
あなたなら、私のことを分かってくれる」
アリサ。
物語序盤では、たしかに活き活き描かれていたキャラクター。
どの話数からだろう、彼女が生きた人物として感じられなくなったなったのは。
「あ、アリサ。ありがとう。再び声を聞かせてくれて」
「主。私はずっと話しかけてた!
耳をふさいでいたのはあなたじゃないですか!
私と向き合うことを恐れていたのはあなただ!」
ピシピシっとマネキンにヒビが入りました。
そして、中から現れたのはロングヘアの女の子。
ベジタリアンさんがどかどかと駆け寄り、アリサさんを抱きしめました。
――ああ、彼女こそが生きたアリサなんだ
ストンと胸の中に落ちてきます。
これだけ魅力的なキャラクター、想像主に愛されているキャラクター。
きっと、それはちょっとしたすれ違い。
自分の想いをどれだけ口にしても、物語の進め方を優先してしまうベジタリアンさん。
それに引け目を感じたベジタリアンさんは、やがてはアリサさんの言うことを聞くことを恐れるようになってしまう。
そうして出来上がっていったのが――物言わぬマネキン。
物語の都合により、物言わぬ人形となった1人のキャラクターの成れの果て。
「――邪魔しましたわね、続きを読める日を楽しみにしておりますわ」
こうしてマネキンという殻は解き放たれ。
2人が信頼関係を取り戻した今。
読者である私にできることは、ただ黙って物語の完成を待ち続けることのみ。
そう思っていたのですが――
「もし良ければ、ここで聞いてほしい。
これからの物語が出来ていくところを。
君は、僕たちにとっての恩人ですから」
キャラクターは、無条件に創造主愛されるもの。
そんな姿を見せつけられ、無意識に寂しさが顔に出てしまったのかもしれません。
そんな私に対して、照れくさそうな顔でベジタリアンさんが言いました。
「ネタバレは嫌ですよ?」
◇◆◇◆◇
「だから! そのシーンで力を求める気にはならないんです。
この世界の魔法の設定を考えると、私が目覚めるべき魔法の属性も意味不明なんだ!」
「なぜだ、モンスターに襲われて助けられたときに。
力が欲しいと、お荷物になりたくないとずっと望んでいただろう!」
「そうだけど、同時に嬉しいと思ったんだよ。
まして孤高を意味する属性の魔法に真っ先に目覚めるところなんか意味不明だ。
納得できるわけがねえだろ!」
「家を飛び出したのも、家の庇護を受けたくないって理由だっただろう!」
ベジタリアンさんとアリサさんが、顔を突き合わせて話し合っています。
話はまったくの平行線。
一切の妥協なし。
歩み寄りの気配なし。
この状態で――ベジタリアンさんが話を無理やり進めてしまったなら
アリサさんブチギレますわ。
ベジタリアンさん怖がりますわ。
そして、またマネキンへ。
「あの……?」
「この分からず屋に、アリサの人物像を説いている。邪魔しないでくれ」
「今、良いところなんだ。邪魔しないでくれ」
うわ、へんなところで息ぴったり。
「あー、放っておいた方がよいぞ。
そうなったら朝まで終わらん。
今思うと……アリサの感情を想像して、なんて。
随分と無茶ぶりを喰らってたもんだな俺も」
アサトが遠い目でベジタリアンさんを見つめます。
苦労人みたいです。
婚約破棄ラッシュに巻き込まれた、私の相手役よりはマシだと思いますが。
「おふたりとも落ち着いてください。
アリサさんの意見は、ものすごく良く分かります。
不満に思うのも分かります、わたしも読者で――所詮はキャラクターですから」
「だよな! 聞いたか、この分からず屋!」
「でも、物語の大枠というのを無視することはできません。
キャラクターを最大限魅力的に見せられる舞台を用意したい、ベジタリアンさんはそう思ってるはずです」
「もちろんだ。このキャラクターたちは、いわば分身のようなもの。
だからこそ読んだ人には好きになって欲しいし、最大限活かしてあげたい」
互いが互いを思っているにも関わらず。
否、お互いにこだわりが強すぎるからこそ。
「ならば、互いに納得のいく着地点を探してください。
相手の意見も、ちゃんと汲んであげてください」
あーあ、私ももっとキャラクターを大切にしてくれる創造主の世界に生まれたかった。
――そしてこの物語をちゃんと完結させてあげてください。
それが短編ガチャで爆死しつづけ、放り投げられた私のたった1つの願いです。
「なあ、『キャラを活かしてあげて!』さん。
君もこの物語に入ってみる気はないかい?」
そんな私に、ベジタリアンさんがそう言いました。
「このとおり、アリサと私はとても頑固でね。
すぐにぶつかり合ってしまって……それで、あんなことになってしまったんだ。
こうして仲介してくれる君がいれば、心強い。
……あ、ヒロイン増えるけど大丈夫?」
「ふざっけんな」
アリサはすごい嫌そうな顔をしましたが
「と、ヒロインとしては思うけど歓迎だぜ。
お客様は神様だったから何も言えなかったけど、同業者になれば何でも言えるな!
偉そうな感想文、腹が立ってたんだ。おまえにヒロインの何が分かるんだってな?
――おまえは、私たちの恩人だ歓迎する」
そんなことを言いながら受け入れてくれるのでした。
ベジタリアンさんとヒロイン……。
あ、あと2人の頑固さ。その喧嘩は、作中で良い感じに主人公とぶつかり合ってください。
この空間での喧嘩を、私に仲介させないでください。
アサトさん、なに苦労人ポジション脱したみたいな顔をしてるんですか?
逃がしませんからね。
「君、名前は?」
名無し、でしたね。
ガチャごとに名前が決まっていましたから。
そうですね、私の名前は――
◇◆◇◆◇
苦労人の主人公。
負けん気の気の強いヒロインは、いつも主人公とケンカしつつ。
いざという時は、互いに助け合い心を通わせていく。
そんなケンカを仲裁するのは、いつも貧乏役を引かされる気の良い新人。
いつも2人に振り回される苦労人ポジションだ。
そしてそんな様子を呆れた様子で眺める、やれやれ系主人公を彷彿とさせる相棒キャラ。
この日から作られ始めた物語は、そんなおまけ部屋での空気感をそのまま漂わせる冒険譚。
あ、元の物語もちゃんとベジタリアンさんとアリサさんが喧嘩しながら書き上げてたよ?
「できた――!」
――こうして
輝かしい結晶となって、今なろうの海に解き放たれようとしていた。
「短編ガチャ」「小説リセマラ」というキーワードを聞いた時の、ときめきが忘れられません。命名センスが凄まじい。ですが、死んでいった物語たちのことも時々は思い出してあげてください。
面白いと思っていただけた方は、ブクマ・評価を頂けると幸いです。