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後輩

作者: 俊卜

「先輩、お酒は飲まれないんですか?」

 後輩との初めての会話は飲み会の席でのことだった。大学に入学して以来たいした友人関係は築かず、ただただ毎日を単調に過ごす日々を続けていた。小説でいうところの『モノクロの毎日』なんて言う言葉すらもオシャレに感じてしまうような生活を僕は続けていたのだ。だからこそ、約一年ぶりに顔を出したサークルの新歓コンパでは話し相手がおらず、だからといって未成年のためアルコールに手を付けることもできず、お開きになる時間をいまかいまかと待っている時に、同年代の、それも女の子から声を掛けられ僕はどぎまぎとしてしまったのだ。

「先輩、お酒は飲まれないんですか?」

 そう聞いてくる後輩に、どう答えればいいか迷っていると、後輩はジョッキを片手に豪快にビールをゴクゴクと飲み始めた。

「お酒強いの?」

 久しぶりに聞く自分の声に少し驚くが、それを無視して後輩が返答してくれるのを待つ。

 ビールをものすごい勢いで半分ほど飲み干すと、後輩は一言、

「先輩って現役生ですか?」

 なんだ?何を聞いているのか意味が分からなかった。

「え…あぁ、うん。」

 はっきりとしない口調で僕は答えた。酔っているのだろうか。僕がした質問に対しての返答が適切ではない。

「私、二浪してるんです。だから先輩の一個上なんですよ。」

 少し脳の回転が鈍り理解が遅れた。そんな僕の状態に畳みかけるように、後輩は早口に

「なので、私、先輩にタメ口でいいですよね?」

「ああ、もちろん」

 気が付いたら僕はそう答えていた。後輩のほうを見ると、後輩は顔を真っ赤にして楽しそうに笑っていた。


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