小説家になりたいと思った
勢いで書いたから日本語とか色々無茶苦茶かもしれん。
僕という人間は何なのだろうと考える。
ただただ、色々なことから逃げてきた。夢とか、将来とか。理想とか、現実とか。本当にたくさんのことから逃げてきた。やりたくないこと、考えたくないこと。そういったものから全部目を逸らしてきた。宥めて、賺して、やり過ごして、背け続けて一周した。
――何もない僕が、現実の壁に囲まれてたよ。
頑張ることが出来ず、やりきることが出来ず、やりたいことが出来ず。
なることが出来ず、なろうとすることが出来ず、なりたいことが出来ず。
そんな僕が、一人ぼっちでつったっていたんだ。
どうしてこうなっちゃったのかな。わかんないや。
昔は、ただボールが転がるだけで楽しかったんだ。蹴りだした足に触れたボールの受けた衝撃が、未熟で素直な小さな体に跳ね返ってくる感触が心地よかった。その衝撃で転がるボールの行く先に、ボールが作り出したその軌跡に、道の始まりとボールの現在との間に、受けた衝撃と、生み出した結果との釣り合いを感じて嬉しかった。
いつの間にかできることが増えていったよ。
前よりも強く、勇ましく振り上げた足が、前よりも遠く、速くボールを転がしたんだ。いつの間にかその速く転がるボールに、僕の足が追いつくようになったいた。蹴とばすだけじゃなく、小さく蹴りだしてボールを運べるようにもなった。
友達も出来たんだ。
僕よりも遠くに、強くて速いボールを蹴るやつがいるんだ。
僕よりも上手に、素早く器用にボールを運ぶやつがいるんだ。
僕よりも先に、転がっていくボールに追いつくやつがいるんだ。
僕よりも丁寧に、ボールを仲間に託すやつがいるんだ。
僕よりも狡猾に、ボールを奪い取っていくやつがいるんだ。
僕よりも勇敢に、ボールを守り抜くやつがいるんだ。
そんなやつらと一緒に遊ぶと、負けることもたくさんあるんだ。そんな時に、こう思うことが出来たんだよ、
――悔しい
って。
負けた時に「もう一回」って、笑えたんだよ。
あの時は、純粋に言えたんだよ。
「すごいな」って。
「うまいな」って。
とてもかっこよく映ってて、自分もそうなりたいって頑張ることが出来てたんだよ。
いつの間にか言い訳するようになってたよ。醜くて、惨めで、矮小で、どうしようもない慰めを、当たり前のように吐き捨てるように。
ホント、いつからだろうな……。
覚えてしまった醜い処世術を、僕は繰り返すようになってしまった。ダメだったら言い訳して逃げて、言い訳して逃げて……。再び向き合おうともしない。
いつの間にか僕の語る夢は言い訳になっていた。上達しないことへの言い訳。頑張らないことへの言い訳。向き合わないことへの言い訳。
本当にしたいことは、これなんだって。だから、あれに情熱を注ぐことが出来ないんだって。
感心するよ、それっぽい理由つけて逃げるのだけは本当に上手いよな。言い訳ばっか上達していくんだから。
そんな自分に嫌気がさす。自分という存在ごと投げ出したくなる。そうやって自己否定ばかりを繰り返して死にたくなって……。
でも、終わらせることが出来ない。終わらせたいと思っている自分が、一番僕のことを引き留める。
もう嫌なんだ!好きなものを次々と言い訳にして失っていくのが、好きだったはずのものを自分のせいで嫌いになっていくのは。
だから、終わらせたいよ。夢を夢のままで。きれいなものをきれいなままで。
好きなものを好きなままで……。
守るためなら簡単だろ、なあ!どこかから飛び降りるなり、首を吊るなり、刃物で切り裂くなりでよ!痛みが怖いなら、苦しむのが嫌なら、薬を使うとかでさ、な?
勿論、自分にそんなことが出来るはずない。自分の夢と向き合うことさえ出来ずに、自分で掲げた目標からでさえ逃げ出してしまうような、この僕に。
だから、下らない決意で、僕には存在しない勇気を奮い立たせて、悲劇的な人間になったつもりになって、そんな気持ち悪い自分に酔って、冷静になったと思ったらニヒルを気取って。そうやって無駄ばかりを重ねてから、汚れた心で夢を抱えてベッドに沈む。
今の僕の夢は、あとどれくらいきれいなままでいてくれるだろうか。明日の僕は、この夢をきれいなままにしようと努力してくれるだろうか。こうやって今の自分から変えようとしない時点でもう無理なのかもしれない。そうやって保身に走る時点でもうダメなのかもしれない。
そんなことをうだうだ考えている僕にも明日が来る。眩しい日の光が僕のことを嘲笑う。
そんなやつに、堂々と威張り返せる日が来るだろうか。不細工な笑顔に、自信を張り付けてやれる日が来るだろうか。
今日も今日とて今日が来る。
僕は、小説家になりたいと思った。