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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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叩いて砕く、そして、吊るし・・・

短めです。

今日も冒険者達から森の中に吊るされた人を発見と報告を受け


「それで吊るされた者達は盗賊だったんですか?」


冒険者達は苦笑しながら、答えていいかなんでから


「最初は冒険者に襲われたと言い・・・最初は襲って返り討ちになったと。」


「誰を襲ったかはしゃべりましたか?」


「いえ、口を割りませんでした。」


ギルド職員は『吊るされた人の発見』の報告を聞いていたが


「それで吊るされたので保護はしたのかね?」


「それが吊るされていたので話しかけていたら、仲間と思われる集団が現れて連れて行った。」


「何か不審な点でも?」


助けに来た者達の姿を思い出し笑いをこらえている。


「不審と言うか不審だらけと言うか、顔を隠してはいたが領主の私兵団だったと思う。」


「装備している武器も私兵団の物だったしな。」


「吊るされた者も私兵団の一員じゃないかな、こっちが話しても返事をしなかったのに、助けに奴らには小声であったが何やら話しかけていた。」


「後な吊るされた奴らなんだが、丁寧に足と手の骨を砕かれていたようだった。手持ちのポーションでは完治できずに帰っていたがな。」


「最後に捨て台詞は笑えたがな。」


冒険者達は声を上げて笑っていたが、ギルド職員は何を言われたのか気になり


「それで何を言ってたんですか?」


笑いをこらえ冒険者達は声を揃え


「「「このことは誰にもいうな、いえば私兵団が黙っちゃいない、領主を敵に回すような馬鹿な真似は止せ!!」」


「なんとまぁ、誰にもいう名のわりにペラペラと正体を話しましたね。」


「それなんだが、俺達がそれを酒場で話していたら他の連中も同じような事がったらしいぞ。」


「ここ最近で吊るされたのを見かけたみたいだぞ。」


「多いときは森の何か所で吊るされていたから、最初は何かに儀式と思って避けてたと言ってたし。」


ギルド職員は首をひねり考え


「それはいつ頃からですか?我々は初めて聞いたのですが?」


笑い疲れ冒険者達は「いつだったか・・・」と考えだしてから


「確か6日くらい前かな、昨日聞いた話ではだが。」


「4日くらい前には草原付近の木々に吊るされていたのを見たって聞いたぞ。」


「話しかけても返事をしなかったから放置したらしいが・・・。」


「3日前には魔の森の木々にも吊るされ始めてたらしいぞ、しかも複数吊るされてたようだ。」



「吊るされた場所は森の木々なんですか・・・正体は領主の私兵団なんですね?」


「いや、俺達が見かけたのが私兵団っぽいが。

他の連中は別の集団じゃないかな、聖王教会の黒服っぽかったらしい。

上下黒の服装で黒のフード付きコートを着込み顔を隠していたらしいが・・・吊るされて顔出してたらしいがな。」


「同じ黒い恰好では明らかに怪しいと思うんだが、こっちも同じく話しかけても無視するから、やっぱり放置したらしい。」


「黒の恰好で話しかけても返事無しで放置と・・・。正体は聖王教会らしい?」


ギルド職員は6日前からの騒動には気が付かなかった。


6日前と言えば領主館の会議室で話し合った日である、あの時は話し合いも終わったはず、最終的には「リタさんの意見を尊重する。」と言う事で・・・。


「とりあえず、木々に吊るされたのを発見しても放置して結構です。

話しても返事無しなら、吊るされて当然の者達と考えましょう。

それと吊るされる者達がいるとギルドとして発表します。

『木々に吊るされた不審者の目撃があります。吊るされ好きな者の森への侵入を禁止します。』

こんな感じで冒険者ギルドとして領主様の許可を頂き発表しましょう。」


「なんか領主方にケンカを売る感じに聞こえますが?」


「ケンカを売るのは吊るされ好きな私兵団の方でしょうがね。」


「それは聖王教会のほうにも同じことが言えそうですが?」


「同じ事でしょう、襲って負けて吊るされているんだから、これで恥ずかしくて森で襲われるのを止めてもらえればいいんですがね。」



それから5日後、森の中で吊るされた者はいなくなった。


冒険者ギルドの発表が効いたのか、何度も吊るされ懲りたのかは誰にもわからないまま。

森で襲われ始め7日が過ぎた頃、襲撃者の数も日に日に増えてきた。


「今日は11人ですか。」

「毎回吊るすのめんどい。」

「叩いて砕く、そして、吊るす。」


「「「はぁ。」」ナナ達はため息しつつ襲ってきた者達を魔法で砕き、さて吊るそうかと思い、ナナが「埋めよう」と呟く。魔法で砕かれた者達は顔を隠してはいるが連日襲ってきた者達で間違いない。毎回治っては襲ってきて学習能力が無いようだ。


「今日から叩いて砕く、そして、埋めよう。」

「あれま、埋めるの?」

「襲うという事は襲われる覚悟がある者、襲われ助けられても再び襲って来るならばしょうがないですね。」


手や足の骨を砕かれ意識を失っている者を『土魔法』で穴を開け、丁寧に起こさないように穴へ落とす。地下30mの穴底へ落とされ穴を埋める。

毎回襲われ対応に困っていた、助かる可能性があるから向かって来る。

その助かる可能性を無くせば向かって来ないだろう。

何度も毎日同じように襲われ、ナナは勿論ティアやリタに至っても、砕いて吊るすだけでは甘いと考えていた。


「これで襲撃が止まればいいんだが・・・。」

「何度も同じ事をすれば大丈夫でしょ。」

「襲う者は襲われる事も考えているのだから、毎回助かるとは思う方が馬鹿なんですよ。」


リタの冷たい言い方は、ナナもティアも同じ意見なので、叩いて砕き埋めた連中の事は、ギルドへ薬草を納品する頃にはキレイに忘れていく。




ナナ達を襲っていた連中は、森の木々に吊るされていた者達が見つからず、連日のようにナナ達を襲い、襲撃者たちは数日後には200人以上の行方不明により、冒険者ギルドでは行方不明者の探索を依頼として受理したが、誰1人も発見する事は無かった。


それからナナ達への不審者からの襲撃は無くなった。


































今回の『後書き』は、『if』も話です。

もしもの、あったかもしれない話です。

次回は、本文の後の本編へ続きます。

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