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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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『魔法工房』『ケイトラ』解禁とか

冒険者ギルド裏に停車している『ケイトラ』を、多数のギルド職員達と冒険者達が見物している。

見た目馬無し馬車に見えるので、ナナが乗り込み動き出したら驚かれた。


『ケイトラ』の詳細は、『魔法工房』の錬金術師アリス作と教え、細かな詳細については黙秘した。


ナナ達は師匠であるアリスから、『ケイトラ』の試験運転をお願いされ、冬期間の走行中をしていただけと説明した。


最初に『ケイトラ』の操縦はナナとティアはのみと説明したのだが、ギルド職員と冒険者達が試しに操縦しようと乗り込み・・・動かない事に納得しギルドへと戻っていく。


「それで『ケイトラ』を動かせるのは君達だけという事は理解しました。

『魔法工房』と言うのは初耳ですが・・・錬金術師アリスさんですか・・・。

『ケイトラ』の販売とかは考えているんでしょうか?」


「それは試運転後になると思います。

購入は直接『魔法工房』で受付をすると思います。」

「『魔法工房』に辿り着いた方のみ販売したいと言ってました。」


「『魔法工房』の場所は教えてもらえるんですか?」


「魔の森の奥の最奥にあります。」

「それに『ケイトラ』は錬金術と魔法陣で完成した乗り物です。」

「『ケイトラ』の全てをお教えすることは出来ませんが、車輪の動きや馬車の維持には魔法陣を用い、馬車の本体を1つのゴーレムとして動かしています。」

「まずは車輪を回転する魔法陣を試作する事をお勧めします。」

「錬金術師なら『ケイトラ』の再現可能だと思いますよ?」


「購入するのは魔の森の最奥へいくか・・・錬金術師に同じような物をお願いするか・・・。

ちなみに試運転はいつまでの予定なんですか?」


「冬期間の走行運転で、その後は雨期の時に走行に支障がないか、夏場の高温時に問題無く活動できるか、まだまだ『ケイトラ』の試運転が始まったばかりです。」

「数日前に試運転始まったばかりだしねー。」

「最低でも1年は試運転を兼ねて馬車の代わりに使うつもりです。」

「試運転中に故障しても『魔法工房』へ帰還するように魔法が施されているから安心ではあるけど。」


「ん?帰還魔法?」


「自分たちが『魔法工房』へ戻るのは帰還魔法です。」

「どこからでも『魔法工房』へ帰れるから便利ですよ。」


「それで他の人と一緒に戻れるという事は・・・?」


「多分無理です。」

「帰還魔法の対象者のみにしか作用しないと教えてもらいましたから。」


「『魔法工房』に向かうのは諦めた方がいいかも知れませんね。

それでナナさん達は馬車?を手に入れたので運搬の仕事でも?」


「荷台が狭いので荷物の運搬は不向きだと思います。

馬車持ち込みの護衛依頼でもすれば別ですが・・・、それ以前にランクEなので冬期間中は試運転に努めます。」

「走行時の魔力消費も調べないといけないし、どれくらいの圧雪まで対応できるかも調べないと。」


「1年後には一般販売出来たらギルドとしても嬉しいですが・・・。」


「その辺に関しては要相談としてください。」

「私達では何も決めれないので・・・。」


「何か『ケイトラ』について詳細解禁があれば教えて下さい。

それとギルドとして『ケイトラ』と『魔法工房』について各冒険者ギルドへ通達します。

それでも『ケイトラ』は目立ちますから、誰かしらちょっかいをかけてくると思われます。

冒険者ギルドとしては『魔法工房』の試作ゴーレムとして保護対象とします。それでも話の聞かない貴族達から何かしら接触する可能性があります。」


「面倒な事は無視します。そして、気にしません。」

「逃げるのは簡単だけど、まずは無視かな。」

「動かせない『ケイトラ』を手に入れても無駄なのにな・・・。」

「『ケイトラ』を盗んでも強制的に帰還するのに・・・。」


「君達を誘拐しても同じ事なのかな?」


「はい、帰還魔法は任意で『魔法工房』への帰還となります。」

「場所・時間・状況に関係無く帰還可能です。」

「そして、『ケイトラ』関連で何かあれば『魔法工房』への敵対行為として反撃すると思います。


「それは誰がかな?」


「『魔法工房』として叩き潰します。」

「叩いて潰して燃やして粉砕するんじゃないかな。」


「あまり考えたい事では無いですが、それも含めて通達します。」


「「お願いします。」」

「ランクEの冒険者なので話を聞かない人達も大勢いると思いますが。」

「普通に冒険者として生活できればいいだけなのに。」


「その魔道ゴーレム『ケイトラ』の影響は強すぎます。

何かあれば冒険者ギルドへ相談して下さい。」


「「はい。」」


「盗賊の関係の補修は早ければ今日の午後にでも渡せると思います。」


「それでは午後にギルドに顔を出します。」


ギルド職員達はそういってギルドへと戻っていく。

『ケイトラ』の詳細を各ギルドへ通達する為に詳細にメモ書きする者、『ケイトラ』の車輪の回転に必要な魔法陣について考え錬金術師へ連絡を入れる者、それ以上に『魔法工房』に対してギルドの対応をどうするか、考える事は多すぎるほどあった。


「久しぶりに露店で買い物しよう。食材の購入も必要だし、買い食いしよう。」

「焼き鳥や串焼きもいっぱい買おう。みんなのお土産も買いまくろうー。」


ナナ達は午後までに露店を巡り、食材を買い漁り調味料を買い足していく。

冬期間という事で新鮮な野菜は少なく、野菜よりも果物や加工品が豊富に並んでいる。

酒類も豊富に出回っていたので樽単位で購入し、気が付けば5種類の酒を大樽で購入していた。


大討伐後にはロースポーツの収穫祭は自粛し、代わりに露店で豊富な肉料理が並ぶようになった。


ロースポーツの周囲は大討伐後に冒険者達が討伐を繰り返し、魔の森からの野獣や魔物の群れを防いでいた。


大討伐以降に溢れ出した魔獣は狩り尽くされたが、逃げていた野獣がロースポーツ周辺に戻ってきており、未だに野獣の討伐依頼はギルドに張り出されている状況にあった。

それをナナ達が知ったのは、久しぶりに訪れた冒険者ギルドの依頼の数を見た時だった。


ランクEでは魔獣の討伐は可能であったが、野獣の群れの討伐依頼はギリギリランクEでは対象外となっていた。


午後になり冒険者ギルドの討伐依頼の数を前にナナは


「ランク的に討伐依頼をこなしても報酬は・・・貰えるけど叱られるかな。」

「討伐依頼をしても食材として持ち帰れば問題無いでしょ?」

「食材の確保と考えれば問題無いか・・・。」

「食材と毛皮の確保・・・傷だらけな装備を新調してみては?」

「そうだな、ギルドの依頼を横取りするみたいだけどいいのかな。」

「ばれなきゃ大丈夫、美味しく頂きましょう。」


討伐依頼を見ながら目撃情報と討伐する獲物の数などを記憶し、『ケイトラ』の試験運転の合間に森へ行ければいいなぁと考え始めていた。

その討伐依頼の真ん中に1つの討伐依頼が目に付いた。

真新しい依頼票には『盗賊討伐』と書かれており、目撃情報がナナ達も参加した盗賊達と戦った場所が記されている。

盗賊の残党は生き残った盗賊達からの情報で20人以上、範囲魔法や遠距離からの狙撃に対応できる冒険者という事で、ランクD以上の冒険者限定となっている。


「盗賊討伐の依頼もあるね。」

「ホントだ、ランクD以上なんだねー。」

「盗賊討伐だけど20人以上の集団戦も考える必要があるからしょうがないよ。」

「弓矢と範囲魔法も使いこなす盗賊って話だよね。」

「目撃情報が先の盗賊討伐の場所だし、索敵して対応する必要があるから大変だと思うよ。」

「盗賊討伐なのに目撃情報と盗賊の人数しか情報が無いね、弓と魔法に注意と書かれてあるけど情報としてはどうなんだろ。」

「これで盗賊が壊滅するだろう。」


その後、盗賊関係の報酬を受け取り『魔法工房』へ『ケイトラ』と共に帰還する。


冒険者ギルドの裏から忽然と消えた『ケイトラ』を目撃する事になる。



ギルドの二階から『ケイトラ』が消えるのを確認したギルド職員は頭を抱えることになる。


「彼らが言ったことは本当だったか・・・。」

久しぶりにロースポーツでの買い物を楽しみ、豊富な食材と一緒に帰還。


やはりと言うか久しぶりナナ達は調理をしては味見をする。


加工品を上手に調理し、野外でも美味しく作れる料理を数々作り上げ、『ケイトラ』での野営時の楽しみへと変わる。


野菜よりも果物を豊富に買いそろえた事で、料理よりもデザート作りに励み、アップルパイっぽい甘味が食後の楽しみの1つとなる。




冒険者ギルドへ『ケイトラ』の事と『魔法工房』の事を解禁はしたが、ナナとティアは相も変わらず好きな事をして過ごしていた。

『魔法工房』での修練や『ケイトラ』の改良や改造、調理をし新しい料理作りなど気が付けばロースポーツを離れ10日以上過ぎていた。


ナナ達がいないロースポーツでは盗賊討伐が失敗し、盗賊の集団が聖王都方面へ活動範囲を広げていき、盗賊対策に護衛の冒険者達が駆り出される。


ロースポーツの盗賊達は20以上の人数から50人以上の集団になり、聖王国内で活動している盗賊達が集まり一大勢力として住民達を脅かしていく。




それから暫くしてから、聖王騎士団と冒険者ギルドが合同で『盗賊討伐』が実施される。

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