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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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装備修復と新たな武器

護衛依頼から数日は、朝練のみ修練に励み、破損した装備の製造をしていた。


新たに製造した苦無は、ハクトさんのご指導により、強度増し増しの黒鉄鋼の真っ黒な仕様になった。


真っ黒な苦無にはアリスさんの教えてもらった貫通と切断の魔法陣を刻み、凶悪な遠距離武器をして魔改造される事になり、苦無にはナナとティアのみ使用できるように、ルナさんに苦無に使用者限定の契約を施す。


それ以外にも、グランさんとアポロさんにネタ装備と言われる、『旋棍』(トンファー)やら『三節棍』(さんせつこん)を渡された。

どうやって使えばいいのか悩んでいるとハクトさんから簡単な使い方を教えてもらい・・・なんとか使えるレベルまで覚えたのだが・・・どちらも対人戦闘では使える武器なのだが、野犬や穴兎では戦い難かったりとか、黒熊や大猪には『旋棍』や『三節棍』が砕けるよいう事態になり、鍛冶場でナナが新たに製造し、黒鉄鋼の『旋棍』と『三節棍』がナナの新たな武器となる。


革の作務衣に両手の手甲、左手の手甲には小型盾があり、革のブーツは部位に黒鉄鋼で覆われ、攻撃力と防御力が向上し、腰には『剣鉈』と『旋棍』がある。



ナナは『旋棍』を両手に持ち修練場でハクトさんの指導の下、攻撃よりも受け流しや打ち流しをしている。

ハクトさんの連続の斬撃を受け流し打ち流しているが、慣れない武器の為か攻撃に転じる事が出来ず、徐々に体力が消耗しハクトさんの攻撃が被弾し・・・気が付くと『旋棍』越しにいいのをもらい、体制を崩した途端に連続で攻撃を受け、修練場に倒れてしまう。


「攻撃の受け流しは妥協点ですが、打ち流しは連撃に対応するには要修練ですな。

攻撃するにしても振り回しの攻撃範囲を知る事が第一か、黒鉄鋼での一撃なら並の相手なら倒す事も容易じゃろう。

問題は近接武器の剣の様な扱いと違い、修練する必要があるという点か。」


修練場に倒れながらハクトさんの助言を聞きながら


「やはり剣と違い攻撃範囲と攻撃の仕方に戸惑います。」


「そうじゃなぁ、扱いやすい武器かと言えば・・・違うからのぉ。

黒鉄鋼じゃから分類的には叩く感じだから、斬るよりも砕く感じで扱った方がいいじゃろう。」


「それなら攻撃に対しては強気に攻めた方がいいのかな?」


「その辺は修練していくしかないかのぉ。

強引に大振りに攻撃を避けて体勢を崩し、次の動作に支障があるとしたら問題じゃろう?

強気に攻めてもコンパクトに常に次の動きに対応できるように体で覚えるのが一番じゃ。」


「強気にコンパクトにか、もう少し修練しないと実践では使い物にならないな。」


「ナナさん的には弓矢だけで冒険者を続ける事は可能じゃが、弓矢が効かない魔獣相手では斬撃武器より、撲殺武器の方が相性がいいからのぉ。」


「撲殺武器??」


「魔獣によっては身体が鋼鉄よりも固く堅硬なモノが多くおる。

硬いモノは斬るより砕く方が効率がいい、何より切断するには武器の消耗が激しく資金的にも厳しいはずじゃ。

攻撃を受けても壊れず、攻撃しても砕けずと考えれば黒鉄鋼の『旋棍』は相性がいい。」


「重いだけの武器だと思ったけど結構万能。」


「重いは強いと言うしのう。」


倒れながら話をしていたが、疲労した身体を無理やり動かし立ち上がる。


「重い武器も振り回せるようになったけど、まだまだ実力不足だな。」


立ち上がり「ふぅー、はぁー、ふぅー。」と深呼吸し、『旋棍』を構えハクトさんに向かっていく。

何度か修練場に倒れながらも、『旋棍』に振り回されない立ち回りを覚え、防御的に妥協点を3日後にもらう事になる。

攻撃の方は当たれば致命傷という感じになり、一度だけハクトさんに攻撃が当たった時は、3m吹っ飛ばしナナが驚き動きを止めた瞬間に反撃を喰らい・・・修練場に倒される。

ハクトさんも『魔法障壁』を砕き、3m吹っ飛ばされた事に驚き嬉しくなり反撃をしてしまい、その後アリスさんに叱られる事になる。


ナナとハクトさんの修練を横目にティアは「あれの修練は無理。」と考え、2人の邪魔にならない位置で弓を構え矢を射る。

護衛依頼後から身体的に強くなった気がしていたので、いつもの位置よりも離れて弓を構えて矢を射るったり、障害物を設置し複数の的に連続で矢を射る。


「命中率も向上してます。威力は魔法で強化すれば問題無いとして・・・。

遠距離だけでなく近距離戦闘も修練した方がいいのかなー。」


ティアはそう言いながら修練場に座り、ナナとハクトさんの異次元と言える戦いに目を向け


「あれは違う、あれを修練したく無い。」


ぎりぎりティアでも目で追える動きではあるが、あの動きに身体がついていけるかと言えば・・・無理をすれば大丈夫としか言えない状況であった。


ティアもナナと同じ手甲とブーツを装備し、黒鉄鋼の真っ黒な苦無を隠し持っている。


「これだけでも過剰戦力な気がする。」


さっきまで弓の修練で使っていた障害物に苦無を投げてみると、『トン!』と当たった音がしたと思ったら、障害物を物ともせずに修練場の壁に突き刺さる。


「威力が落ち刺さったか・・・それでも10mは飛んだか。

障害物は綺麗に貫通しているし、この威力なら黒熊でも貫通しそうな気がしてきた。」


とことこと歩き壁に刺さった苦無を回収し、壊れた壁と障害物を魔法で補修し、苦無をしげしげと眺めながら、手甲に隠すように収める。


「黒鉄鋼の苦無は刃毀れ無し、これだけで『赤目』を倒せそうな気がするが・・・気にしないでおこう。」



暫くするとナナが修練場に倒れたので、ティアは「朝ご飯前に頑張りすぎ。」と呟く。

ハクトさんもティアが近づくのに気が付き、「今日はここまでにしましょう。」と声をかける。

ナナはこくりと頷き、「はぁー、疲れたー。」と声を上げ・・・動けないでいる。


ティアはナナに回復魔法を唱える。覚えたての魔法な為か、ナナは何とか身体を動かすほど回復し、「ありがとー。」とティアにお礼を言う。

立ち上がり転びそうになっていたので、ティアが慌ててナナの身体を支えながら屋敷に戻る。



新しい武器を手にし嬉しそうに修練をしているので、『魔法工房』の面々は「無理をするな。」とは言えず、疲れたり倒れたりしたらティアが甲斐甲斐しく付き添っていた。

回復魔法はナナ専用となりつつあったが、今では倒れたらティアが魔法で治し、ハクトさんと戦闘し倒れては回復を繰り返し、気が付けばナナ以上に回復魔法の腕が上がりまくった。


「んー、回復魔法が得意な弓使いって・・・あまり聞かないスタイルになった気がする。」

「そうかな?遠距離が得意で回復魔法使いってカッコいいよ。」

「んーー、冒険者にカッコいいと求めていいものかどうか・・。」

「それならこれも覚える?」


ナナは腰の『旋棍』を指をさしながら聞いてみると、ティアは目を逸らしながら


「それはナナ専用の武器でしょ。

弓使いにその武器は・・・必要ないですよ・・・本当に。」

「そう?なかなか面白いよ?」


ナナが『旋棍』を勧めてくるので、丁寧にやんわり断りを入れる。


「そっか、残念。

それとも『三節棍』を使ってみる?」


短い杖が3本が繋いだ武器を取り出し勧めてきたので、ティアは首を横に振り「近接はナナにお任せします。」と告げる。

ナナは少しだけさむしそうな顔をしていたが、「『三節棍』も覚えたいなぁ。」とぼそりと呟く。




『魔法工房』で装備を整え、新しい武器の修練をし、新たなスキルを覚え・・・気が付くと護衛依頼から30日経過していた。


護衛依頼後に、聖王都から姿を消したナナ達は一時期噂が出ていたが、人知れず『ロースポーツ』へ帰還したと誰しもが思い、10日も経つ頃にはナナ達の失踪の噂は聞こえなくなった。


冒険者ギルドとしては聖王教会から依頼をお願いされてもギルドにも顔を出さないし、どこへいるかもわからない状況という事で依頼自体不可となる。

聖騎士団からも護衛追加依頼の詳細について話を聞こうとしても、ギルドはもちろんの事どこへいるかもわからない状況に、依頼不可の状況に気が付けば忘れ去られていく。

黒鉄鋼の真っ黒い苦無は結構な重さがあり、手甲とブーツは各5kgあるという事で、最初こそ重さに違和感があったが気が付けば普通に動き生活するに至る。

それに加え黒鉄鋼の『旋棍』と『三節棍』も加えると、ナナは常時重すぎる武器を持つ。



それも気が付けば・・・



ナナは身体的成長により重さが気にならなくなり。


ティアは魔法の扱いが向上し動き辛いという事が無くなった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ティアちゃんはモーニングスターとか棒術とかがいいかもしんない。
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