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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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収獲祭からの

次の日の朝は『ロースポーツ』の収獲祭があると言う事で

宿屋の食堂兼酒場は冒険者達がのんびり朝ご飯を食べていた。

今日は冒険者業が休みなのか装備を外し食事をしている。


ナナ空いている席に座ると女将さんが朝ご飯を運んできたので

「おはようございます。」「はい、おはようさん。」と挨拶をし食べ始める。


今日ぐらいは冒険者の仕事をせずにのんびりしようか考え

何時もよりゆっくり食事を楽しみ部屋へと戻り

施錠をし『魔法工房』へ向かう。


最初に正面の屋敷へ向かい神様らへ挨拶をし


「いつも解体ありがとうございます。

今日は『ロースポーツ』の収獲祭りなので料理を送りますので

試食を兼ねて神様らで食べて下さい。」

「そういえば『ロースポーツ』では月2回は収獲祭をやっとったなぁ。」

「どんな肉料理があるか楽しみですね。」

「みんな焼き肉祭りと言っていたので料理は焼くだけじゃ?」

「そういえば焼き肉祭りだったわね・・・調味料に期待かしら?」

「その辺は聞いてみます。塩味ばかりじゃないと思いますし。」


「それでどうじゃ、『ロースポーツ』での冒険者家業は慣れたかのぉ。」

「はい、穴兎を狩り薬草を採取しギルドへの納品。

初めの時は緊張やら筋肉痛やらで大変でしたが今は大丈夫です。」

「前の生活と違い休日が無いとつらいと思うんじゃが・・・ちゃんと休んでおるか?」

「穴兎を狩ったとはキッチリ休んでますよ。

草原で昼ご飯を頂くのにも慣れてきましたし

薬草採取の時は周囲の警戒をしながらですので緊張しっぱなしですが・・・。」

「その辺は慣れというか『気配察知』のLvが上がれば大丈夫じゃと思うが。」

「あのナナさんはパーティーを組んだりしないのですか?」

「ん?」

「いつも一人でクエストをしているみたいなのでパーティーを組んだり

パーティーに加入とかはしないんですか?」

「最初は考えたんですが・・・

穴兎を狩るのはこっそり移動して弓で矢を射るのは一人の方がやりやすいし

薬草採取も一人でなら報酬額的に問題無いんですが・・・

数人で常駐クエストをした場合2倍から3倍の量を収集するのは難しいかと・・・。」

「そういえばそうでしたね。多人数ではナナさんのやり方では難しいと・・・。

実際にナナさんの実力なら常駐クエスト以外のクエストでもやっていけるのではないですか?」

「クエストにもよりますが可能ですが

美味しい穴兎とポーション調合に必要な薬草収集は好きですよ?

本当は穴兎を料理したりポーションの調合をやりたいんですが

今はまだ時間に余力もなく・・・のんびりしたいのに・・・。」

「まだ冒険者になって10日前後じゃろう?

急いで色々やろうとしても苦労するだけじゃ。

今はやれる事をきちんとする方がいいと思うぞ。」

「そうですね、急いであれこれやるより1つ1つきちんとこなす方が良いですね。

穴兎も私がキチンと解体しますし、何より穴兎を調理するのは楽しいですよ。

色々な食材や調味料も送って貰ったりして試行錯誤しながら味付けを考えるはワクワクします。」

「解体のみならず料理をして頂き本当にありがとうございます。

いつも美味しい料理を贈って貰って助かります。」

「わしの晩酌用にも丁度いいし助かっておるよ。」

「日本酒に串焼き・・・相性抜群です。」

「・・・日本酒?」

「ナナさんの遺産の中に酒類も含まれておってな。

ビールや焼酎の他に日本酒も結構な数あったんじゃ。」

「それを神様が複製し『オールグラウンド』でも存在する酒へと変革し

この屋敷には数多くの酒類が保管保存してあります。」

「前の自分が買え揃えたものでしょうか?サッパリ覚えてないんですが??」

「どうやら旅行の先々で購入しそのままにした物らしいのぉ。

生前のナナさんは飲兵衛というより下戸に近かったらしいし。」

「飲めないのに酒を買うとか何をやってたんだか・・・。」

「おかげで屋敷で晩酌に困らないので助かってます。」

「・・・ならいいんですが。」

「ナナさんは宿屋暮らしじゃが酒は飲まんのか?」

「食堂は夜には酒場という事でしたが飲んでますか?」

「飲む飲まないでいったら・・・飲んでないな。

一応、飲酒は二十歳になってからにしようかと思ってな。」

「真面目じゃのう。」「真面目なんですね。」

「晩ご飯が美味しくて酒を飲むのがもったいないってのが本当のところです。」

「酒場のご飯は味が濃くて食が進むしのぉ。」

「食事も美味しいのは宿屋としては最高の環境ですね。」

「月2回の収獲祭もあるし食べる分には最強の生活環境だと思います。」

「ふぉふぉふぉ、そうじゃなぁ。」


屋敷で神様らとお茶を飲みながらまったりとし

忘れる前にナナは席を立ち


「それじゃ、収獲祭まで工房でポーション調合しようと思います。」

「工房にナナさんが購入した道具や器具が並べてありますので

まずは『調合』スキルの思うがままに調合してみてはどうでしょう。

すでにLv5の『調合』スキルなので問題無くポーション作成が可能です。」

「『調合』などのスキルに関してはわしより君の方が詳しいじゃろうからよろしくな。

わしは引き続きゲームの続きをしようかのぉ・・・。」

「わかりました。ナナさんと一緒に工房へ向かいます。」

「宜しくお願いします。」


工房へは女性の神様と一緒に向かう。

工房内部は最初の頃よりナナが購入した道具や器具が並び工房らしくなっていたが

今まで誰も調合や錬金をしていなかったので新築同然だった。


ポーション調合は薬草を粉末にすることから始まり

それを魔力水に注ぎ沸騰の後に完成する調合の基礎技術。


薬草の乾燥には魔法を用い乾燥状態にしてから

すり鉢で粉状になるまで細かくしていく。

魔力水は魔力を帯びた水の事で水を注いだカップに魔力を込める。

この一連の調合の基礎は、いくつかのスキルや技術によって行う行為で

薬草の乾燥には火魔法や水魔法に風魔法を用いたり

魔力水を作る工程では魔力操作などの繊細な魔法の技術が必要だったりする。

最後に魔力水の沸騰も調整が難しく沸点を越えると失敗すると言う・・・。


「ポーション調合は『調合』スキル修得の時に何度も教えた事です。

ナナさんもスキル修得時には何度も聞いたと思いますが

今回のように『モモギ』でのポーション調合は初めてでしたっけ?」

「そうですね、前の時は神様から渡された『モモギ』を使用しましたし

何より前回は粉状の『モモギ』をだったはず・・・。」

「それでは『モモギ』の乾燥をしますが・・・

ナナさんは火魔法を修得してるので火魔法で薬草を乾燥しちゃいましょうか。」

「はい、火魔法で薬草を乾かすと言う行為で大丈夫でしょうか?」

「そうでうね、火魔法で燃やすでなく・・・乾かす水分を抜く行為というイメージで大丈夫です。」

「イメージは焼却じゃなく乾燥・・乾燥・・・乾燥・・・。」

「そうです、水分抜くイメージで・・・乾かすイメージで・・・そうそう!」

「乾燥・・乾燥・・・乾燥・・・。これでいいのか?」


枯れ葉のようになった『モモギ』を照明にてらし首を傾げ

「貸して下さい。」神様に手渡し同じく照明にてらしながら


「これくら乾燥すれば問題無いです。

もう何本か乾燥しちゃいましょう。」

「はい。」


その後10本の薬草を3束乾燥させる事になる。

『魔法工房』では薬草のストックが10本10束以上あり

これからもナナは収集するので多少消費しても問題なかった。


「ふぅ、連続で乾燥するのは疲れるなぁ。」

「連続で魔法を唱えるのと同様に魔力を消費したはずですし

何より長時間の『魔力操作』は精神的にも疲れると思いますよ?」

「『魔力操作』ですか・・・通常時は使いどころに悩むスキルですね。」

「ナナさんはいつも使ってますよ?気が付いてないんですか?」

「ん?いつも使ってますか??」

「はい、『身体強化』『速度強化』と唱える時に他の方がたより効率良く魔法を使ってますよ。」

「そうなのかな?『身体強化』では通常の1.5倍の魔力消費で使用してますし

『速度強化』に関しては通常の2倍の速度で移動してますよ?」

「その辺は初めて気が付いた・・・知らなかった。」

「ナナさんの場合、スキルのLv5という事もありますが

普通の初心者冒険者よりも魔法の扱いが上手すぎですよ。

スキルLvだけで言えば上級冒険者と同様のスキルLvです。

もちろん上級冒険者と同じくスキルを使えれるかと言えば無理ですが

その辺は要練習といったところでしょうか・・・。」

「練習というか修練次第といったところか・・・先は長いな。」

「ナナさんはまだ12歳の身体という事をお忘れなく。

12歳の身体には過ぎた力です。無理をすれば身体が持ちませんし壊れる可能性もあります。」

「それなら大丈夫です。無理をする気もないですしダラケルつもりもありません。」

「のんびりやるんでしたっけ?」

「はい、今度はのんびり行きます!」

「それならいつでも帰って来て下さいね。」

「もちろん、お土産たっぷり持ってきますよ。」



その後のポーション調合はいい意味で成功するのだが

問題はポーションの性能の良さにより露店にも納品する事が出来ない程の品を作り上げる。


「ポーションの最高品質って・・・。」

「基礎といわれるポーションの最高品質ですか・・・。

ギルドでの買い取りは無理ですね。道具屋でも怪しまれちゃいますし・・・。」

「では、『魔法工房』で保管して貰えますか?」

「そうですね、万が一の時はナナさんが使用すると言う事でお願いしますね。」

「了解です。」


それから少しだけ頑張りポーションの性能を店売りの質まで落し

ナナの『魔法工房』での最初のポーション調合を終える事になる。


「品質の優劣は魔力水に込められた魔力量か・・・。」

「普通はそこまで魔力を込める事は無理なんですがね。

それでもギルドへ納品可能なポーションの調合に成功したんですから

ある意味いい勉強になったと言う事で良いんじゃないですか?」

「そうですね。これでポーション調合だけでやって行けそうです。」

「もう穴兎を狩らないんですか?」

「これは季節的な事ですが、穴兎が1年通して狩る事が出来るのか・・・

冬期間の『ロースポーツ』次第ですが・・・雪降る期間中に何もできなくなるのは困るので

今のうちに色々考えなきゃなぁと思いまして。」

「そういえば『ロースポーツ』では普通に雪降ると思いますよ。

降雪量は大した事無いはずですが・・・寒いらしいです。」

「寒いですか・・・冬期間中は『魔法工房』に引きこもる可能性が出てきましたね。」

「いやいや働きましょうよ。」

「それは要相談という事で!」






ポーションの調合

ポーション調合は薬草を粉末にすることから始まり

それを魔力水に注ぎ沸騰の後に完成する調合の基礎技術。

ナナが習得した基礎の調合スキル。


スキルLv5な為に店売りでも手頃な値段で購入可能な冒険者御用達のポーション。

体力回復のポーションでキズやケガの回復を主とした物である。

『モモギ』を主原料とし『調合』スキルでの最初に調合可能なポーション。

ポーションの状態により回復量が変動し値段もそれと同様に変わる。

ポーションの最高品は店売りでは扱いきれず領主や国に納める必要がある為

ナナは神様と相談し『魔法工房』で保管という名の封印をする事になる。


最高品質はケガやキズを治すだけでなく

病気や状態以上も治せると噂され

『ポーション(回復薬)』というより『ハイポーション(状態以上回復薬)』と言われている。

もっともナナが調合したポーションはハイポーションよりも効果は低く

劣化版ハイポーションという物らしい・・・(神様談

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