表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
54/87

閑話という名の

閑話です。


護衛依頼中の冒険者達の話を書いてみました。


少し短めですが宜しくお願いします。

護衛依頼追加2日目は冒険者達は、森の奥からの視線を感じながら活動していた。

周囲の警戒を十分に行っているはずなのだが、森の奥から強襲されたら一溜まりもない。


その為、戦闘中は即座に撤収できるように動き回っていた。


戦闘・休憩を繰り返しながら数多くの黒狼を討伐するに至る。

戦闘時は周囲の警戒を斥候が得意な冒険者が担当し、弓を構えた冒険者が常に森の奥に弓を構える。


実際に黒狼と戦うのは、冒険者達の中でも腕選りの数名だけなのだが・・・。

それでも黒狼の群れを相手には十分すぎる戦力であった。


「それにしても不快な感じが・・・。」

「多分森の奥に何かいるんだろう。」

「森の奥に何かいるのは感知できるんだが・・・詳細というか存在そのものが不気味だ。」

「少なくともこちらに近づかなければ問題無いがな。」

「もし接近してきたらどうする?」


「「「「即撤退!」」」」


「それはそれで問題ありそうだがな。」

「いやいや、森の奥の反応は単独じゃないし。」

「ありゃ、群れてますな。」

「しかも森の奥に多数の群れの反応が・・・。」


「それと残念は報告だが、森の奥の『あれ』な。

ひょっとしたら『赤目』かもしれん。」

「あぁ、微かに目視で確認したら・・・森の奥から赤く光る視線を感じた。」


斥候役の冒険者が諦めた顔で報告してくる。

群れで行動する『赤目』の存在は、冒険者達に要らぬ緊張感をもたらす。

冒険者のリーダーは、「ふぅ。」と深呼吸をしたのちに


「森の奥に『赤目』の群れがいるのだとしたら、休憩場所のログハウスに戻るとしよう。」


「それは撤収ですか?」


「いや、森の奥にいるのが『赤目』の群れだとしたら危険すぎる。

俺たちだけで対応できるものでもないしな。

まずは休憩場所へ向け移動しよう、それと森の奥への警戒は怠るなよ?」


冒険者のリーダーの言葉を無言で頷き、休憩場所へ向け移動を開始する。

まずは休憩場所への帰還を第一に考え、次に黒狼の群れの討伐をする。


護衛依頼追加は冒険者達にとって、報酬額が増える事で喜んでいたのだが、『赤目』の群れが相手では戦うにも逃げるにも分が悪すぎる。

今は森の奥から感じる不快な存在の報告をしなければいけない。


「黒狼の群れは即討伐!」

「倒した黒狼の回収はどうします?」

「状態の良い物だけ回収し、残りは燃やしておけ。」

「了解!」


倒した黒狼を回収し、残りを即座に燃やし尽くし、冒険者達は森の中を駆ける。


森の奥からの視線が無くなると同時に冒険者達は木を背にし座り込む。


視線を感じながらの戦闘は身体的と言うより、精神的に結構堪えた。


冒険者達は誰も彼も疲れた表情をし、周囲を警戒しながらも安堵のしている。


「ここまで来れば森の奥にいるモノからの感知範囲外だろう。

まずは、周囲を警戒しつつ身体を休めよう。

確か食べ物を渡されたはずだし食事にするか?」


冒険者達はいつでも武器が使える様にし、各々のマジックバックからナナお手製のサンドイッチが入っている包みを取り出す。


包みからは美味しそうな匂いがしている、実際に護衛依頼中のナナの料理を食べていたので、今回の料理も美味しいと本能的に理解していたのか、冒険者達は一斉に包みをほどきサンドイッチを頬張る。


「やっぱ、うめー。」

「あぁ、これならいくらでも食える。」

「何の肉かはわからんが美味いな。」

「味付けがいいのか、3つでは足らんな。」


勢いに任せ次々とサンドイッチを頬張り、3つあったはずなのに数分で完食してしまう。


冒険者達は空になった包みを再びマジックバックに保管し移動を開始する。


僅かな時間ではあったが身体を休め、しかも美味しい食事も頂けた。

後は自分たちの仕事をするだけであった。


「少し早いが休憩場所のログハウスへ帰還する。」


冒険者達は無言で頷き駆け出す。


休憩場所付近にいる黒狼の群れを残らず狩りつくしながら・・・。




それから数時間後、休憩場所を囲むように防壁を見ながら


「防壁が出来てるし・・・。」

「護りを固めるには必要なのはわかるが・・・直ぐに出来るものなのか?」

「防壁の範囲を考えれば囲むことは可能だと思うが、これほどの厚みと高さは無理なんじゃ?」



次の日の朝に、昨日までの防壁がさらに高く厚くなったのを目にした時、冒険者は夢でも見ているのかと思ったという。

実際に防壁を作り、何故か見張り台まで完成したのも見た時に、休憩場所と言うより、戦場の砦と言う者もいたし。


「見上げるほどの防壁に高く聳え立つ見張り台か・・・。」

「防衛可能な作りになっているな。これなら『赤目』の群れでも対応できるか。」

「出来れば対応したくないんですがね。」


「今日明日中には援軍が来るらしいから、それまで頑張ろうや。」

「そうですね。」

「もう少しだけ頑張りますか。」




休憩場所周辺の黒狼の群れを完全に討伐し、森の奥からの反応が動き出す。

それはエサに群がるかのように一斉に休憩場所に群がる。


防壁を完全に閉ざし籠城するかのように『赤目』の襲撃を迎え撃つ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ