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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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護衛依頼追加で

黒狼を撃退した冒険者達とナナ達は街道拡張工事の休憩場所に戻る。


休憩場所は馬車が数台停車可能な広場があり、ログハウスのような建物がある。


拡張された街道は馬車が2台すれ違いが可能であり、街道沿いの木々も丁寧に切り倒され、休憩場所のログハウスの周りに積み上げられたいた。



休憩場所にあるはずの箱馬車や荷馬車の姿は無く、聖騎士副隊長サウンドと3名にの聖騎士に、聖女候補生のマリアと神父のシルバさんが、ログハウスの前で冒険者達を待っていた。


冒険者達もあるはずの馬車が無い事に『マジか・・・。』『聖王都へ向かったのか・・・。』と呟く。


申し訳なさそうに副隊長のサウンドさんが『すまん、負傷した工夫達の帰還命令があってな・・・。』と、どうやら黒狼の群れの襲撃を聖王都の冒険者ギルドへ報告へ向かったのだが、襲撃に危険があるという事で武装していない工夫達を聖王都への緊急帰還と、聖王教会の神父と修道女達は急遽帰還する事となる。


この場にいる聖騎士数名と神父に聖女候補生のみ、あとは冒険者達・・・。

冒険者の1人は、現状的に護衛依頼が終わったのか継続なのかわからず


「それで護衛依頼は継続ですか?終了ですか??」


その一言にサウンドさんとシルバさんは声を揃えて


「「継続です。」」

「その上で追加依頼です。黒狼の群れに対する警戒と、森の奥から気配が黒熊の対応。」

「あとは聖女候補生のマリア様の護衛もお願いします。」

「マリア様の護衛は俊が近いという事で、ナナさんとティアさんにお願いします。」


「黒狼の群れの警戒・・・討伐ですか?」

「黒熊の対応・・・こっちも討伐かな?」

「警戒は討伐より時間がかかるが・・・どうする??」

「まずは、身体を休めよう。建物があるなら寝ずの番の楽だろうさ。」


「それよりも追加の依頼なら聖王教会の2人は何で残ったんだ?」

「しかも、聖騎士4人も??」


それを聞き聖騎士副隊長サウンドさんと聖騎士の3名は、神父のシルバさんに『話しても?』と目線を送り、シルバさんは手で制しながら話し始める。


「追加依頼は、聖王教会からの護衛依頼の延長と考えてます。護衛依頼の一環での事なので我々も微力ながら手伝いをするという事です。」

「それとなこの追加依頼は拠点をこの場所として、依頼日数は2日間としている。」

「3日目の朝方には聖王都から馬車が来る手筈になっておる。」


「2日間の討伐依頼と考えればいいか、拠点があるなら行動範囲内の黒狼の群れを倒すことは可能か。」

「問題は黒熊の動向か・・・こっちから迎え撃つか?」

「とりあえず、今日は身体を休めよう。」



荷馬車に積み込まれていた食料はログハウスに降ろされており2日間は食糧に困る事は無い様だ。

問題があるとすれば、休憩場所のログハウスには調理場がなく、あるのは無駄に多いトイレと、休憩し身体を休める板の間だけであった。

食糧があっても調理できる場所がないので、馬車を停車する広場と逆方向にナナは魔法でかまどを作る。

かまどの前には冒険者達が椅子代わりに丸太を輪切りにしたり、板に加工してテーブルを作り上げる。

かまどの完成でナナは率先して干し肉や干し野菜の具沢山のスープを調理している。

ティアとマリアはナナが取り出した『串焼き』と『串焼き』を冒険者達と一緒に頬張っている。

僅かに持ち込んだ酒をちびちび飲みながら飲み、眠くなったものから仮眠していく。


聖騎士達は冒険者達の飲んで食って倒れる様にに眠る姿を見ながら『自由すぎる』とか思いながらも


「我々はもう少し酒は禁止な・・・。」

「了解です。」「もう少しの辛抱です。」「はい。」


ログハウスで眠る事が出来るので、昨日までの野営と違い気持ちが楽になっている。

食べたら眠くなると言うのは、聖騎士も同じなので腹八分目で食べるのを止め、お茶を飲みながら街道の奥を見つめている。


ナナは昨日までの人数分のスープを作ってしまったので、食後はスープを『魔法工房』へ送り、手を合わせ『作りすぎました、明日の朝に食べます。保管お願いします。』とアリスさんにお願いすると、アリスさんから『美味しそうなので食べてもいいですか?』と言われたので、『どうぞ、干し野菜と干し肉の具沢山スープですが、食べた感想をお願いします。』『はい、いただきます。』と、ナナは鍋ごと保管しかまどの火を使い焚き火を熾す。


丸太の椅子やテーブルはログハウスの軒下に片付け、焚き火の周りには聖騎士4名とマリアにシルバさん、ナナとティアだけがお茶を飲みながらゆっくりしている。

護衛依頼中は緊張しっぱなしで身体を休める事も、心を休める事も出来なかったので、聖王都まであと少しの距離と、ログハウスという必ずしも安全では無いが、今まで以上に安心できる場所で眠れるという事で、冒険者のみならず聖騎士達も心持ち『ほっ』としている。



暫くすると眠くなったのかティアとマリアは一緒にログハウスに戻る。

シルバさんと聖騎士の3名の一緒にログハウスに戻るのを見送り、ナナは聖騎士の副隊長サウンドさんと焚き火の前でぼんやりとお茶を飲み始める。


「サウンドさんは眠らないんですか?」


お茶を飲みながら森の奥を凝視してるサウンドさんは話しかけられ少し驚きながら


「あぁ、警戒は必要だろ?誰も起きてないのは不安でな。」

「それもそうですが大丈夫だと思いますよ。」

「ん??」

「冒険者の皆さん方がログハウス内で警戒してますよ?」

「そうなのか?」

「はい、寝ている方もいますが、仮眠と言いますか気配感知をしながら身体を休めている感じがしますし・・。」

「はぁ、器用というかなんというか・・・。我々だけでは交代で寝ずの番をするのだが・・・。」

「冒険者は森の奥で野営やら護衛依頼やらで十分に寝れない状況が多いので職業的に慣れているだけですよ。」

「それは君もかな?」

「違いますよ、明日は個別の護衛依頼という事なので、少しは仮眠可能と思って起きてるだけです。」

「マリア様の護衛依頼か。」

「はい、大討伐でも短期間ですが担当してました。」

「その節はお世話になりました。」

「いえ、街を離れていたので1日しか護衛できなかったので、今回はきっちり護衛しようと思います。」

「お願いします。」


サウンドさんとの話は護衛依頼の経緯や大討伐時の護衛の事を話し、夜が深くなる前にサウンドさんはログハウスへ戻ることになる。

ナナは焚火の火を絶やさないように薪を入れていく、眠くなったら焚き火やかまどを囲むように魔法で腰の高さの壁を作り、野外の調理場がログハウスのそばに完成する。


10人以上が食事が出来るような広めのテーブルに椅子、かまどや焚き火を囲むように魔法で作られた壁など、夜な夜な1人で暇つぶしで作られた野外調理場は寝起きのティアを驚かせる事になる。


「ナナ、頑張りすぎ・・・。」

「本当は屋根が欲しかったんだが・・・暗くて作れなかった。」

「暗闇で屋根を作るのは・・・そうだね止めて正解だったと思うよ。間違って崩れたら潰されるからね。」

「んー、明るくなったら屋根作ろうかな・・・。」

「・・・え?」


眠気に負け夜中に、焚火とかまど周りを使いやすくしようとしたナナは、違う方向へ力を注ぎすぎ、マリアを始め聖騎士達や冒険者達を驚かせるのだった。


「朝になるしご飯の準備しようか~。」

「うん~。」


昨日『魔法工房』へ送ったはずの具沢山スープは、アリスさんの手で進化を遂げる。

美味しさが倍増し、味に深みと旨味が昨日のスープとは比べ物にならない料理へなる。


この料理を朝ご飯で出した事により、ナナは食事当番になるのだが、美味しい料理はアリスさんが作ったのであって自分が調理した訳ではないので罪悪感で泣きそうになっていた。


ティアはナナが作ってもアリスさんが作っても『美味しいから大丈夫。』と言いながら頬張り、マリアも『美味しいんですから何か問題でも??』と言いながら『『おかわり!』』と美味しそうに食べている。



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