護衛依頼1日目
1/1更新という事でおめでとう。
降り注ぐ矢の雨が降り注ぎ魔法障壁が砕け散る。
聖騎士達や冒険者達が障壁破壊に気を取られている瞬間、森の中から盗賊団が大剣や戦斧を振りかざし、雄叫びを上げながら襲い掛かる。
砕かれた魔法障壁をナナは再び唱え、ティアは弓を構え矢を射る。
箱馬車側面の木盾での簡易防壁により盗賊団の動きを制限し、聖騎士達と冒険者達とで確実に倒していく。
接近し襲い掛かってきた盗賊たちの反応は消え、遥か向こうに20人前後の反応がこちらを警戒している。
試しにティアが弓を構え矢を射るの・・・が、2本目を射ったところでティアは首を振り
「むー、ギリギリの当てれる距離なのに当たらない。」
悔しそうにナナの隣に座りこむ、ナナも魔法障壁を展開しながらティアの隣に座り
「ギリギリ感知できる距離か・・・、襲ってこないなら大丈夫。」
「そう?ならいいか。」
「お疲れ。」
「ナナもお疲れ。」
ナナは隣に座るティアの頭を撫でながら、森の奥を凝視する。
ティアは嬉しそうににへらーとしながらも、ナナと同じく森の奥を見つめ
「向こうにいるのはわかるのに悔しい。」
「今日のところは様子見でいいんじゃない?」
「そうなのかな?」
聖騎士と冒険者たちは倒した盗賊をどうするか相談を始めている。
戦いが終わり安全を確認してから箱馬車の中から神父と修道女達が怪我をした者達を癒していく。
多少の怪我を負う者はいるが重傷者はおらず、怪我を癒し修道女達は箱馬車へ乗り込む。
「おぅい、もう降りてきてもいいぞ。」
箱馬車の上にいるナナ達に声がかかり屋根から降りると、怪我をしたかと聞かれ
「馬車の上から魔法障壁の維持をしていたので大丈夫です。」
「同じく。」
「そうか、魔法障壁を砕かれたときは焦ったが・・・直ぐに障壁が展開したので安心しました。」
「そうだな、障壁が無くなれば馬も危なかっただろうな。」
「魔力の消耗は大丈夫か?無理はしないでくれよ??」
「大丈夫です。今日は魔力を抑えていたので余裕があります。」
「そかそか、君らは引き続き魔法障壁を任せていいか?」
「寝ずには無理ですよ?御者をして仮眠どころじゃなかったので・・・。」
「盗賊たちを森の奥へ放置し、この場所から移動する。」
「君達には移動するまで間の魔法障壁の維持と周囲警戒お願いしても?」
「「はい、」それじゃ・・・箱馬車の上にいますね。」
「あぁー、お願い。」
ナナとティアはいそいそと箱馬車の上に座り周囲警戒に勤しむ。
遠くにある盗賊と思われる反応は相変わらず20人前後、それ以外にも盗賊たちの血の匂いに誘われ、野犬の群れの反応がある。
箱馬車の上に立ちナナは森を指さしながら
「向こうから反応あり、森の中を突っ切ってきます。」
「狙い撃ちます。」
ナナの声を聴き武器を構え、野犬の襲撃に備える。
隣のティアは周囲感知で野犬の反応を頼りに矢を射る。
木々を抜ける前に3頭の野犬を倒したティアだったが、森を抜け聖騎士達や冒険者達に襲いかかる。
「数は5!」
「後ろに行かせるなぁ!!」
「「「「「おぅさ!」」」
襲い掛かる野犬に聖騎士達は危なげなく斬り伏せていく。
冒険者達の方も周囲を警戒しつつ倒していく。
冒険者的には野犬を倒すときの癖で最小限に切り口で倒す。
心の中では「ギルドに持ち込めば晩酌代になるのになぁ」と思いながら・・・。
「森の奥から野犬の反応12!!」
ナナの叫ぶ声を聴きながらティアが弓を構え矢を射る
「反応11!!」
ティアが立て続けて野犬を2頭倒し、野犬の奥から大きな反応を感知し
「野犬の反応9!!追加で森の奥から大きいのが来ます!」
「森の奥の反応も動き出したよ。」
ナナの隣にいるティアは野犬の群れの反応にも、その奥の大きな反応にも目も向けず、森の奥の盗賊たちを凝視していた。
ナナは森の奥から接近する盗賊たちの移動を感知する。
問題があるとしたら近づいているモノ達の反応が大きすぎるという事を除けば・・・。
「森の奥から盗賊団の反応あり近づいてきます!!」
「神父と修道女達は箱馬車へ避難!!」
「聖騎士達は盗賊団の対応に!冒険者たちは野犬の群れをお願いする!!」
「「「「おぅさ!」」
「馬車の上の2人は魔法障壁と監視をお願い!」
「「はい!」」
聖騎士達が盗賊団を迎え撃ちために陣形を組み、各自魔法による強化を施す。
『身体強化』『速度強化』を重ね掛けし、『魔纏衣』の効果で聖騎士達が輝き始める。
聖騎士の隊長ランクルさんが森の奥を凝視し、聖騎士のみならず冒険者達にも聞こえるように叫ぶ!
しかも、向かってくる盗賊達の様子がおかしい。
森の木々を避けながらの移動のはずなのに、野犬よりも移動速度が速く、周囲感知ギリギリだったはずなのに、聖騎士にも冒険者にも感じるほどの巨大なものだった。
「なんだあの反応は『赤目』並に強いんじゃないか?」
「はぁー、それが20人前後かよ。」
「強そうだが『赤目』より劣る個体もいそうだ。」
「見た目に騙されるな!!」
「「「「了解!」」」
冒険者達が野犬の群れを倒し終わり、黒熊を相手に斬りかかっている。
ナナは魔法障壁を維持しながら冒険者の方を見ながら「ティア、黒熊に一撃!」をと、言い終わる前に黒熊に矢を射る。
それを切っ掛けに冒険者たちの一斉攻撃の後に、斬られ燃やされ無残に倒れる。
倒された黒熊はその場に放置し、冒険者達も聖騎士達の邪魔にならない範囲で盗賊団を迎える。
「聖騎士が攻撃をするから冒険者達はサポートをお願い、魔法による補助は神父と修道女達にお願いします!」
「「「「「わかった!」」」
箱馬車の中から冒険者達に魔法を唱える。
最高の魔法による補助の影響なのか、冒険者達は溢れる力に戸惑いながらも武器を構え、森の奥を見つめる。
森の奥から近づくモノは当初は盗賊団と思ったが、聖騎士達の反応から『赤目』というし、ナナとティアは『アレ』が聖騎士達が言う『赤目』なんだと気が付いていたが、森の奥から感知する反応は『アレ』よりも数段弱いと思うも、箱馬車を中心に魔法障壁を多重展開していく。
魔法障壁を展開したナナは弓を手にし、ティアと並び『魔纏衣』を唱える。
聖騎士達と違い微かに光り輝き弓を構える。
「『魔纏衣』の初実践がこの場とは・・・。やるしかないか。」
「どうする森を抜ける前に射るの?」
「そうだな、数を減らせるかもしれないし。」
「それじゃ、いきます!」
ティアが森を抜ける直前の『赤目』と言われるモノを撃ち抜く。
ナナも一緒に『赤目』を撃ち抜くのだが、どちらも矢が当たったはずなのに倒せない。
「まぁ、なんだ。倒せなくても戦力低下してると思おう。」
「撃ちまくっていいのかな?」
「いいんじゃない。誰もダメって言わないし。」
「それもそうか。」
ナナとティアは黙々と弓を構え矢を射る。
倒しきれず致命傷なはずなのに森を縦横無尽に駆け向かってくる。
暫くすると『赤目』たちが傷だらけで森から飛び出してくる。
盗賊と思われたモノは片方の目が赤く光り、あるモノは片手剣を振り回し、あるモノは槍を構えながら、あるモノは両手に短剣を手にしていたりと、多種多様な装備をしている。
武器以外の装備は破損しているのかボロボロな姿をしている。
「さぁー、やるぞぉ!」
「「「「「「「「おぅ!」」」」
聖騎士達と『赤目』が激突し、冒険者達が魔法や弓矢で後ろから仕掛ける。
致命傷でも倒しきれず、首を落とすか完全に燃やすしかなかった。
「まずは動きを止めろ!しぶといが攻撃が通らないわけじゃない!」
「足を狙え!腕を狙え!!」
「数が多いが『赤目』より脆い!」
「連携を維持しながら斬り伏せろ!!!」
「「「「おぅさ!」」」
冒険者達が『赤目』を弱らせ、聖騎士達が止めを刺す!
無傷で倒すことはかなわないが、確実に数を減らし戦闘から30分後、『赤目』を倒すことになる。
消耗した体力と魔力はギリギリとなり、『赤目』の死体などは森の中へ放置し、夜営場所を移動する。
流石に夜の戦闘という事で交代で寝ずの番をし、朝を迎える。




