護衛依頼とか
年末が近づくと年末年始のセールが気になる。
ナナとティアの1日の始まりは早朝からの朝練に始まり
ナナの隠れ家『魔法工房』にてアリスさんの朝食をいただいてるのだが
数日前からグランさんら3人は急ぎご飯をかっ込み
「「「今日も遅くなるから!!」」」と忙しそうに席を立つ
アリスさんは3人に弁当を渡し「いってらっしゃい。」と声をかけている。
ナナとティアは「最近忙しそう・・。」と思い
グランさん達に話しかけても「『アレ』の後処理じゃ・・・・。」とか
「『アレ』の再発をなんとか・・・。」とかしか教えてもらえず
ルナさんも「教会の再編が・・・どうしましょ。」とか聞こえてくる。
ハクトさんは忙しそうに動いてる3人に対し「責任ある方々ですから・・・。」と言い
アリスさんは「食事くらいゆっくり食べればいいのに・・・。」とつぶやく。
ナナ達は食後のお茶を飲みながら聖王都に向けての相談をしていた。
ハクトさんからは予備の武器について話し合い
苦無や鉈剣は必須装備とし弓の替えやティアの片手剣や小型盾も準備する。
「2人の矢筒は一定数の矢の自動補充なので矢が切れる事は無いじゃろぅ。
もしもの事を考えて片手剣や小型盾も一応持っていけば大丈夫のはずじゃ。」
「聖王都までの街道は野獣や魔獣の出現情報は最近は少ないと聞きましたが・・・。」
「護衛は形式的なものって聞いたけど?」
「確かに『アレ』の出現後ということで野獣や魔獣は森の奥に向かったといいます。
問題なのは『アレ』の影響後という事で治安の乱れによる『盗賊』や『山賊』の存在だと思います。
冒険者のすべてが『アレ』に向かった訳ではなく逃げ出した村や町からの窃盗行為や暴力行為
それ以外にも避難民を襲う元冒険者など都市部以外では結構危険な状態になっておる。」
「元冒険者か・・・襲ってきたら倒せばいいのかな?」
「明らかな敵対行為なら倒しても問題ないのぉ。
聖王都まで馬車での護衛依頼という事じゃが集団で行動するから安全という事では無い。
ガチガチに聖騎士団が護衛すれば問題ないが数人の騎士による護衛では・・・
数の暴力で襲われる可能性が大きいから気を付けるんじゃぞ。」
「はい、周囲の警戒を心がけます。」
お茶を飲みナナ達も席を立つとアリスさんが弁当を渡してくる。
グランさん達のより大きい弁当の包みをナナとティアは背負いリュックにいれる。
「「ありがとうございます。。」
「護衛依頼時に持ち込めるような料理が入ってます。
食べた後に感想をお願いします。長期依頼という事なので
色々な味付けにしてありますの二人の料理も微妙に味をかけております。
少しづつ食してもらえればと・・・。」
「それは楽しみです。」
「うん、アリスさんの料理好きー。」
アリスさんに手を振りナナ達は『魔法工房』を後にする。
冒険者ギルドに到着すると冒険者たちが1つのクエストを見つめていた。
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『聖王都までの護衛依頼』
2.4.6日後に新王都までの馬車護衛お願いします。
冒険者10名から13名、遠距離攻撃と魔法スキル習得必須。
護衛期間中は食事は依頼者が担当する。
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ありふれた依頼書に見えるが1つだけ気になることが・・・
護衛依頼の依頼報酬が記載されておらず
攻撃と魔法スキルがあれば誰でも構わないと書かれている。
求人人数は書かれているし依頼中の食事は向こう持ち
護衛中に食事の用意をしなくて済むというのは冒険者ではうれしい。
問題は依頼報酬がかかれていない事のみ・・・。
ギルドの受付嬢にはクエストの詳細を聞こうと騒がしい。
受付嬢の方も「クエストの詳細は依頼主の方へお願いします。」とだけ話し
依頼主の聖騎士団と書かれているのを見てから
「あそこへ聞きに行くのか・・・。」とか
「聖騎士団からの依頼なら報酬は問題ないだろう・・・。」とか
冒険者達は色々話しているの見つめていた。
「2.4.6日後に護衛依頼として何日目に同行するんだろ」
「いちおう、シルバさんに聞いてみます?」
「受付嬢に確認して、それでもわからなかったら聖騎士団か聖王教会に行ってみよう。」
「うんー。」
その後ナナ達は受付でクエストの依頼を聞きに行くのだが
詳細を知る事はかなわず3回に分けての護衛依頼は『極秘です。』とけど教えられた。
そして、詳細は聖騎士団と言われたのでダメもとで話を聞きに歩き出す。
「確か聖騎士団は領主の館に滞在中だっけ?」
「偉い使途は領主の館で大半の聖騎士は聖王教会のはず・・・。」
「そういえばマリアとシルバさんは聖王教会に滞在しているを言っていた気が・・・。」
「まずは聖王教会に行ってみる?」
「そだね、マリアから聞いた方が早いし確実でしょ。」
聖王教会の前には神父・修道女・聖騎士達が並び100名ずつ転移魔法で聖王都へ帰還している。
100名ずつが転移魔法を起動するのに必要な魔力を供給するために
冒険者ギルドの冒険者だったり教会の神父たちが魔力を魔法人へ注いでいる。
比較的健康な者達から帰還という事で1時間後には回復魔法でも回復しきれなかった者が残された。
話を聞くと転移魔法の影響で負傷した身体が耐えれない可能性があるという。
実際には転移魔法での帰還が難しく馬車での移動も無理な者達が大勢いることを知る。
護衛依頼で使用する馬車も聖王教会前に停まっており
荷馬車に帆が張っているだけの簡易荷馬車になっていた。
大きさだけなら荷馬車の1.5倍あり積載量は十分な作りになっていた。
「荷馬車は大きいけど帆が張ってあるだけなのか。」
「矢が貫通するし火魔法で燃えるね。」
「箱馬車は重いし馬への負担を考えれば当然なんだが不安だね。」
「何事もなければ大丈夫!」
「そうだな、何事もなく聖王都へ着けば問題ないな。」
「うんー。」
荷馬車を眺めながらいろいろ話し合っていると聖騎士の一人が
「何か御用ですか?」
気が付くと数人の聖騎士がナナ達を見つめていたので
「聖王都までの護衛依頼について話を聞きに来たのですが。」
ティアは聖騎士に話しかけられて驚いたのかナナの後ろでコクコクと頷く。
聖騎士の一人が護衛依頼に参加する冒険者という事で嬉しそうにし
「護衛依頼の事ですね、ギルドで護衛依頼の事は知っていると思うんですが?」
「はい、昨日少しだけ関係者から話を聞いたので参加するんですが一つ聞きたいことがあるんです。」
「関係者から聞いていたのであれば変更点はありませんけれども・・・。」
「転移魔法から数日後に馬車で聖王都までの護衛依頼とだけ聞きました。」
「その通りです。」
「その中で昨日話を聞いた関係者が何日目に移動するのかを聞こうと思いまして。」
「そういう事でしたか、確かに我々の中にも冒険者の皆様に声をかけ同行をお願いした者達がおります。誰が何日目に移動するから2日後でなければ我々も知る事が出来ないのです。」
「護衛する冒険者の人数によって変更などがあるという事ですか?」
「そうです、聖騎士の我々だけではすべての場所を守ることが難しく冒険者の皆様の協力がなければ聖王都までたどり着くのは危険な状況です。」
「2日後まで誰も詳細はわからずか・・・。」
「今日から2日後に冒険者ギルドで護衛依頼に参加す冒険者と我々とで話し合いがあります。その時になれば先ほど言っていた関係者も話し合いに参加すると思われますので大丈夫だと思いますよ。」
「そういう事なら2日後楽しみにしています。」
「はい、何卒護衛依頼の方お願いします。」
ナナとティアがぺこりと頭を下げ聖騎士達もナナと同じく頭を下げる。
「では、2日後に。」とナナは聖王教会を後にする。
聖王と教会の荷馬車の補強は無理だとしても
何かしら手を打たないと危ない気がしてきた。
荷馬車の補強は無理として最低限の防御は欲しいと考えているが
ハクトさん曰く『矢を射るまで射れ』と言われ
ティアは『なるほど!!』と言って修練場へ駆けていく。
「それでは矢を放たれた後はどうしたら?」と聞くと
ハクトさんは当たり前のように『全部落とせば問題ない』と話し
「それは同じく矢を当てるとか?」と聞き返すと
手を振りながら『そりゃ無理じゃ!』と笑いながら返され
『ナナさんは結界魔法や魔法障壁があるじゃろ?』と言われ
少し考え「結界魔法も魔法障壁も広範囲の展開は魔力消費が激しいですが・・・。」
『そんな難しく考える必要はないじゃろう、聖騎士もおるし守るのは馬と荷車だけじゃ。』
「確かに聖騎士は全身鎧を着こんでいるし魔法障壁も習得しているはずだから気にしなくていいか・・・。神父や修道女も自身を守れるだけの術はあるか・・・。」
『そうじゃ、すべてを守る必要は無い。事前に危険を知らせればかの者たちは冒険者よりも強い。』
「守るのはあくまで負傷者という事か、それなら周囲の警戒に気を付ければ大丈夫な気がします。」
ハクトさんはナナが護衛依頼とは全てを守る事と勘違いし過剰に頑張ろうとする間違いを正した。
その考えは間違いではないが全てを守るとか全部何とかするというのは難しく不可能な事。
実際にナナとティアの実力を限界まですり減らせば可能であるが余力もなくギリギリの綱渡りは止めなくてはいけない。
『まずは2日後の話し合いでキチンと情報を整理するのが必要じゃ。』
「はい。」
『護衛依頼では満足に寝れない場合もあるから気を付けるんじゃぞ。』
「はい、気を付けます。」
ナナの言葉を聞きハクトさんは頷き『それじゃ、修練場へ行こうか。』と声をかけ
二人も護衛依頼に向け戦う術を学ぶのであった。




