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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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1か月後とか

第二大討伐から1カ月後になると『ロースポーツ』の復旧が終わり

破壊された棒けきや街並みが戻の姿を取り戻す。

負傷者の治療も済み治療所も解体し聖王教会の神父や修道女達の帰還が始まる。

それと同時に聖騎士団の帰還も行われ『ロースポーツ』では第二次討伐の終息宣言が行われ

『ロースポーツ』の中央広場では討伐で散っていった聖騎士団や冒険者を称える式典を開催していた。

討伐に参加した者、討伐を支援した者、討伐に参加し残された家族や親友・・・

散っていった英雄を称え、生き残った英雄を称え、式典は静かに行われていく。

式典という事で冒険者ギルドもこの日ばかりは休日となり

ナナとティアは冒険者ギルドの待合室で静かに休憩をしていた。


冒険者ギルドから式典に参加していたがクエスト受注が停止していたので

ナナとティア以外の冒険者の姿はなくギルド職員が静かに仕事をしている音だけが聞こえる。

窓際の席で心地よい日差しを受けながらナナとティアはお茶を飲み


「はぁー、お茶がおいしい。」

「日向ぼっこだねー。」


眩しそうに目を細めながらお茶を飲み「はぁーふぅー。」と欠伸をしていると

式典に参加しているはずの聖女候補生のマリアと神父のシルバさんが姿を現す。

二人とも受付嬢に挨拶しながらナナ達の席に向かい


「ナナさん達は式典には参加しないのですか?」


マリアが疲れた顔をしながらナナ達に聞いてきたので

ナナとティアはお茶を飲みのをやめ


「今日は休日だからね。ゆっくり休む日にしたんだ。」

「あれから動きっぱなしだったし今日くらいは休まなきゃ。」


実際に身体を休めた日もあったが『魔纏衣まとい』の修練に勤しみ

前以上に身体を酷使し精神を限界まで使い切り『魔纏衣まとい』習得することに成功していた。

冒険者ギルドには一定数の薬草を納め治療所の手伝いが出来たと受付嬢から聞き

ナナとティアは毎日休みなく薬草採取をしていた。

そういう訳で式典当日にギルドの待合室で休憩していても何も言ってこないであった。

マリアとシルバさんはナナ達と同じテーブルに相席し

ナナはいそいそと二人分のお茶を淹れ始める。


「どうぞ。」


露店売りの味が気に入り飲み始めたお茶をマリアとシルバさんの前に置き

再びナナ達はお茶を飲み始める。

「はぁー。」とお茶を飲み日向ぼっこしていると


「「いただきます。」」


そう言いマリアも飲み始め「はぁー、やさしい味です。」と微笑み

シルバさんも飲みながら「はぁー、ゆっくりします。」と呟いている。


「あのアリスさん達は式典に参加しているのでは?」

「聖王教会やら聖騎士団も出席しているのでしょう?」


ナナ達冒険者は式典には自由参加となっており

ナナ達以外の冒険者たちは式典に参加し・・・

今頃は祝賀会の酒を飲み始めているころだろう。

酒飲みは面倒という事で待合室でお茶を飲んでいるのだが

聖女候補生やら聖王教会の神父の不参加はさすがにダメだろうと思っていると


「式典には参加してきましたよ?

祝賀会の始まりと共に抜けてきましたが・・・。」

「私たちは式典には聖王教会として参加をし今しがた義務を終えてきたのです。」

「そうなんですか・・・大変でしたね。」

「今頃お祭り騒ぎ?」

「式典は大討伐の終息宣言として祝賀会は散っていった者達への労いと感謝を

また、戦い抜いた英雄たちを称える為に酒を飲み歌い踊り騒いでいる頃でしょう。」

「そっか・・・お疲れさまでした。」

「お疲れ様でした。」


ナナとティアはマリアさん達に深々と頭を下げ

それを見たマリア達は「こちらこそ」と同じく頭を下げ始め


「何より聖女候補生のマリアに怪我無くてよかったよ。」

「依頼を途中で抜けてごめんね。」


あの時は依頼を受けたはずが数分後には依頼を破り放置したこと。

ナナも冷静に考えてみると「あれは無いな。」と思い始め

ティアに至っては弓を構え『アレ』に向い矢を射っていた。


「護衛以来はまだまだ早いのかもなー。」

「そだねー。形だけのランクDだし肩書だけが独り歩きしていく。」


しみじみとお茶を飲み始めたナナ達を見ながら


「そういえばランクDおめでとうございます。」


マリアが嬉しそうにナナ達を褒めていると

ナナとティアは苦笑いをしながら声を揃えて


「「冒険者一律ランクアップですから!」」


冒険者ギルドから負傷した冒険者や討伐に参加の有無に関係なく

『ロースポーツ』の冒険者はランクを1つアップする処置が行われていた。

これによりランクアップした冒険者が増えてはいるが

実力不足を懸念する声も聞こえ始めたことから

この1カ月は聖騎士団と冒険者ギルドで合同で修練をする場を設け

『ロースポーツ』周辺の警戒という名目で深い森での演習を行い

最低限のランクと同様の実力を有する事になる。


冒険者ギルドではポーション不足を嘆き

薬草採取と同時にギルド内でポーション調合を教え

初心者冒険者達が挙って調合スキルの習得する事となる。

冒険者というよりギルドお抱えのポーション調合師が何名も誕生していく。


「それでお二人は帰還するのですか?」

「「はい。」」

「そうですか寂しくなりますね。」

「明日の早朝から順次帰還する予定です。」

「1カ月お疲れ様でした。」

「お疲れさまでした。」

「「こちらこそお疲れさまでした。」」

「その事で相談があるのですが・・・。」

「はい?」

「帰還するにあたって聖騎士団と聖王教会は合同で帰還するのですが

今回の大討伐にあたり聖王教会は大規模な転移魔法を使用しました。

帰還するときも同じく転移魔法を予定していたのですが・・・

聖騎士の負傷者により転移魔法に必要な魔力の確保が難しくなり

我々聖王教会の数名と聖騎士数名が馬車で帰還する事になりました。

冒険者ギルドには数日前からナナさん達に聖王都までの護衛をお願いしたいのですが・・・。」

「本来であれば聖騎士も護衛として行動を共にしますが

馬車5台に護衛の聖騎士も馬に乗り行動します。

お二人には馬車からの護衛をお願いしたいのですが・・・。」

「それは私たち2名というより他の冒険者と一緒に護衛依頼をする?」

「はい、馬車1台に数人の冒険者が護衛をお願いします。

基本弓や魔法での警戒依頼となっています。」

「弓や魔法での遠距離からの支援か・・・

冒険者ギルドからの依頼を聞いてからになりますが・・・いいですか?」

「はい、お願いします。」


マリアとシルバさんはお茶を飲み聖王都までの護衛依頼を伝え


「私たちの帰還は転移魔法の数日後となります。」

「転移魔法に耐えれない負傷者と共に馬車移動になります。

通常よりも移動速度は遅く護衛期間も長くなる事が予想されます。」

「出来れば長くお二人と過ごせればいいのですが・・・。」


マリアが無理を言っているのと思ってか悲しそうな顔をしながらつぶやく。

ナナは少し考えているがティアはお茶を飲みながら


「それなら食べ物はたくさん必要か・・・。

食べきれないほどの『串焼き』を用意しなきゃ!」

「まぁ、護衛依頼というより馬車によりながらの旅行と考えればいいか・・・。」


ナナとティアのつぶやきをマリアが反応し


「いいんですか!」


ギルドの待合室にマリアの声が響き・・・恥ずかしそうに小声になりながら


「・・・本当にいいんですか?」

「いいも何も一度はマリアとの護衛依頼を失敗しているので

今度は護衛依頼を成功したいですね。」


マリアとシルバさんは嬉しそうにギルドを後にする。

ナナとティアはギルドの受付嬢から先ほど聞いた護衛依頼の詳細を聞きながら

正式に聖王都までの護衛依頼に参加することになる。


ナナとティアの聖王都の護衛依頼の話を聞き

隠れ家ではアリスさんが調理場で忙しそうに嬉しそうに調理を作り始める。

馬車での移動を考え『串焼き』や『焼き鳥』など手軽に食する物や

パンに焼き肉を挟んだ『サンドイッチ』などを調理しては保管していく。

鍋に入れて煮込めば調理可能な乾燥野菜やスープの素も小分けにして作り上げ

パンなどの主食は・・・乾燥パンにして長期保存可能なものを用意していく。

聖王都までの護衛依頼ギリギリまでアリスさんは料理を作っては試食を繰り返し

美味しい料理だけをナナ達に持たせる事になる。

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― 新着の感想 ―
[一言] アリスちゃん、ナイスママーンです。
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