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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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閑話とか

今回の閑話はナナ視点では無く

ギルド内の冒険者と受付嬢視点で描いてみました。

聖王国の片隅・・・辺境にある都市『ロースポーツ』

周辺に山村や農村が多く春から夏にかけて仕事を求めて

年若いものであれば12歳から新たに仕事を求めて15歳から

一時的ではあるが街が一番活気づく時期である。


それは冒険者ギルドでも同様で夢を求めてやってくる若者達に溢れていた。

それは冒険者ギルドのクエストを争うほど溢れていた。



『ロースポーツ』では力に自信がある者は領主の私兵団へ

夢や冒険を求める者は冒険者へと二分する人気があり

どちらも加入には試験の合否で決まっており

領主の私兵団の方が難しいと言われていた。


冒険者ギルドの試験は模擬戦の結果によって

最初のギルドランクが決まる仕組みになっており

ギルドランクも余程の事が無い限りランクが下がると言う事は無かった。

ランクが高いものほど高額報酬のクエストを受理出来たり

『ロースポーツ』内での買い物で10%の割引といった恩恵を受ける事が出来た。


冒険者ギルドの喧騒も夏の終わり頃には落ち着きを取り戻す。

ある者は負傷したり怪我により冒険者を辞める事になったり

最悪クエスト失敗により死亡・・・

といった冒険者という者を甘く見ていた者達が

冒険者ギルドから『ロースポーツ』から逃げるように新たな地へ向かい旅立っていく。



夏の終わりに久しぶりに冒険者ギルドに見知らぬ少年がやってきた。

山村から仕事を求めてやって来たと思われるその姿は・・・

背負い籠を背負う姿は・・・微笑ましくキョロキョロしていたので


「どうした初めてきたのか?」


ギルドでも仕事が丁寧と言われる壮年の冒険者に声をかけられ


「はい、仕事を求めて。」


少年の声は12歳にしては幼い気もしたが


「冒険者ギルドは12歳から加入出来るが・・・大丈夫か?」

「今年で12歳になります。」

「それなら受付に行って手続きをしてきな。」

「はい。」


少年は教えてもらった受付へと向かう。

受付嬢との手続きが始まると

壮年の冒険者は仲間達の元に戻り


「今度の新人は面白そうだな。」

「ランクAのオードリーさんから見てもかい?」

「あぁ、最近見かけないが基礎がしっかりしてそうだぁ。」

「背負い籠でギルドに入る子は初めて見るかも。」

「チラッと見たが籠には色々入ってあったぞ。」

「着替えとか?武器とかか??」

「複数の袋があったが着替え以外にも獲物なども持ち込んでいるかもな。」

「あの弓で仕留めたと言う事ですか?」


軽装装備の弓使いのエムリが背負い籠から見える弓を見つめている。

どうみても冒険者や猟師の使う弓より小さな見た目をしていた。

エムリは自分の弓に目を向けながら


「弓を使う初心者冒険者はあまりいないから頑張って貰いたいわね。」

「んー、革の上下にマント姿ですか・・・

農村から出てきたというより山村の猟師の家から

仕事を探しに来たと言うところでしょうか?」

「そういえば恰好は猟師に似ているな。

革の上下も店売りというより手作り感があるようだ。」

「ガラハンから見て革の上下の出来は?」

「軽装としての防御は・・・それなりじゃと思うが?

それ以上に革の上下の作りが面白そうじゃのぉ。

店売りの物より可動域が広そうにも見えるな。」

「可動域か・・・無茶な動きにも対応できるなら欲しいかも。」


オードリー・エムリ・ガラハンの3人はギルドの片隅で

革の上下の可動域を用いて自分の装備にも手を加えれるかを相談し始めていた。

片手剣と小型盾を使う軽装のオードリーに

弓と片手剣を使い軽装のエムリと戦斧を使い重装備のガラハン

この3人が『ロースポーツ』でランクAパーティー『双頭龍ダブルドラゴン

パーティーの名前は2頭の龍種討伐の際に領主から贈られたからであった。


この『双頭龍』はギルドからの指名依頼の他に

領主からの『ロースポーツ』周辺の森の深部での討伐依頼を専門で受け持っていた。

また、冒険者ギルドと共同で優秀な冒険者の育成にも力を入れ

年2回は必ず森で数日間の野営講習も行っていた。


彼らの共通の認識は『冒険者は強くあれ、そして、何があっても生きろ!』だった。




*************************************************



夏の終わり久しぶりに新人の少年が冒険者ギルドにやってきた。

今まで見た事のない背負い籠を背負った恰好で・・・

ギルドに入るとめずらしいのかきょろきょろとしていると

見かねた冒険者のオードリーさんが少年に話しかけコクコクと頷いたと思ったら


「あの受付はここですか?」


黒髪に黒眼の『ロースポーツ』ではあまり見かけない・・・

いやめずらしい顔立ちをした可愛らしい150cmの小柄の男の子が話しかけてきた。


「ようこそ『ロースポーツ』冒険者ギルドに!

ここは受付ですがギルドへのクエストの依頼ですか?

それとも冒険者ギルドへの加入ですか?」

「ギルドへの加入をお願いしたいのですが・・・。」

「ギルド加入は12歳からとなっておりますが・・・。」

「大丈夫です。12歳になってます。」

「それでは加入には2つの方法があります。

試験を行いランクD・Eから冒険者を始める方法と

無試験でランクFから始める方法があるのですが・・・。」

「では、無試験の方でお願いします。」

「無試験で行うっと・・・なるほどなるほど。」


無試験でのギルド加入は久しぶりで緊張する。

確か机の下にある水晶とカードを使うはず・・・。

テーブルの上に水晶と無地のカードを並べ


「それでは右手で水晶をさわって下さい。

左手はカードにふれて下さい。」

「はい。」


水晶とカードにふれているのを確認し


「それでは名前を教えてください。」

「ナナ」


名前を言った瞬間に水晶がほのかに光りだし

無地のカードにナナと記載されていく。


「次にあなたのスキルを鑑定します。

そのままお待ちください。」


水晶の輝きが増したと思ったら数秒後には光が消える。


「それでは水晶とカードから手を離して大丈夫ですよ。」


カードにナナと書かれているのを確認し

ランクFと何かスキルが3つ記載されているのを確認し


「では、これがあなたのギルドカードです。」


少年にカードを手渡し


「カードには名前とギルドランクと修得したスキルが書かれてあると思います。

スキルは任意で誰でも見る事が可能ですが今の状態はあなただけが見れるようになっています。

スキルも表示するのは自身で変更可能でカードを提示する必要がある場合があるので

当たり障りのないスキルを揃える方もいますし・・・あまり気にせずかな?」

「・・・わかりました。

弓修練と・・・生活魔法に・・・強化でいいか。」

「それではギルドカードが完成したのでギルドの説明を致します。

ギルドではランク制度があり現在ランクAからFがあり

クエストは各ランクで分かれております。」

「ランクFのクエストというのは何ですか?」

「ランクFですと・・・穴兎と薬草ですね。」

「討伐と採取ですか?」

「そうですね、穴兎の討伐か毛皮の納品。

薬草採取は10本1束で一口依頼となっております。」

「穴兎の討伐は未解体での納品という事ですか?」

「初心者冒険者は解体しても失敗例も多くあり

討伐し血抜き状態での納品は可能にしてます。

もっとも時間がかかりすぎて状態不良の物は納品不可となりますので

お勧めは薬草採取をしてもらいギルドランクを上げてもらいたいですね。」

「・・・なるほど?」

「実際に解体が苦手な冒険者も多数いる状態なので

ギルドでは解体を教えるといいますか・・・

ギルド内での解体をクエストとして発注しているほどですが

あまり人が集まらない不人気のクエストになってます。」

「あの薬草採取の薬草は『モモギ』ですか?」

「はい、まずは基本の薬草を覚えて貰おうと言う事で

『モモギ』を10本1束で収集して貰います。

『ロースポーツ』周辺でも探せば結構の数揃える事が可能ですしね。」

「それでナナさんはどちらを希望なさいますか?」

「とりあえず草原の状態を確認してから考えます。

穴兎が多ければ穴兎を・・・薬草が豊富なら薬草を集めようと思います。」

「冒険者で一番大切な事は自惚れない事・・・無理をしない事にあります。

まずは1カ月無事に過ごして下さい。」

「はい、あの名前を教えてもらっても・・・?」

「そういえば名乗っていませんでしたね。

当ギルドの受付担当をしております『マリア』と言います。」

「改めてナナと言います。

今後ともお願いします。

あの・・・最後にお勧めの宿屋を教えてもらいたいのですが・・・。」

「それでしたら当ギルド隣の宿屋をお勧めします。

ギルド直営の宿屋という事で食事の量も多く人気もあります。

問題があるとすれば宿屋の食堂が夜には酒場と姿を変え

深夜まで騒がしいと言う事でしょうか・・・。それでよければ・・・どうですか?」

「ギルドの隣ですか。ありがとうございます。

食事の量が多いのは嬉しいので今から向かいます。」


そう言いナナさんは隣の宿屋へ向かっていく。


最近酒場ばかり繁盛して宿泊者が減少し

ギルド職員が寮替わりで使用しているので少しは宿屋として恰好が付くかな?


しかし、水晶の輝きから見てもナナさんのスキルの種類とLvは期待できそう。

少なくともギルドカードに記載するほど修得したスキルが豊富という訳か・・・

優秀な冒険者はギルドとしても嬉しいんだけど無謀な冒険で命を落とすのだけは止めてもらいたいな。


『ロースポーツ』冒険者ギルド受付担当 『マリア』

10代後半の見た目に背中まで伸びる銀髪と150cmという小柄な女性。



*************************************************



『ロースポーツ』でランクAパーティー『双頭龍ダブルドラゴン


片手剣と小型盾を使う軽装のオードリー

短髪で200cmを越える大柄な壮年の男性、複数の片手剣と小型盾を駆使して戦う。

片手剣は数種類の魔法剣を保持している事と片手剣は消耗品と考えている。


弓と片手剣を使い軽装のエムリ

魔物のトレントの枝から加工した弓を装備し

属性の矢を数十本所有に大型の矢筒を魔法の袋に保管している。


戦斧を使い重装備のガラハン

180cmで筋肉質の男性。フルへイスの兜を装備し

仲間内にだけが兜を外した姿を目にする。

戦斧も武器屋で特注で製作した物で『力こそ全て!』の感がえの元

一撃必殺を信条に戦斧を振るう。

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