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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
38/87

第二次大討伐とかかか

ティアが防壁に駆け上げり『アレ』に向かい次々と矢を射るのを確認し

ナナはギルド前に土魔法で頑丈な防壁を創ってから『範囲感知』で戦況を知る。

ティアは防壁を移動しながら攻撃をしているのを確認し

聖騎士団は負傷者の搬送を始めながら体勢を整えようとしている。


「戦局は動きつつあるな。」

「あのナナさんは戦わないのですか?」


ナナの結界魔法で護られているマリアは不思議そうに話しかける。

これ程の力があるのに何故わたしを護るのか・・・

これ程の魔法を使えるのに何故に私を護るのか・・・。

そういう思いで思わず聞いてしまっていた。


ナナは苦笑しながらも静かにマリアに話す。


「神様からのお願いだからね。」

「・・・え?」

「それにティアは強いよ。そして聖騎士団も強い!」

「・・はい。」


先程負傷した聖騎士達が運ばれてきてシルバさんとマリアが回復魔法を唱えていく。

怪我を治した者は戦場へ戻り・・・再び怪我をしては治しを繰り返す。

教会の神父と修道士達は魔力枯渇してはマジックポーションを飲み

終わらない治療行為を続けていく。

ナナが私たマジックポーションは数分で飲み干していく。


「魔力枯渇で倒れる者も出てきたか・・・まずいな。」

「はぁはぁはぁ、すいません。」

「マリア様も無理をしないでください。」


魔力枯渇で倒れそうになるマリアをシルバさんが支えている。

防壁の向こうでは聖騎士達が命がけで戦っている。


ナナはマリアを護りながら戦いに参加するにはどうしたらと考え

ナナの側から離れずに弓を構える。

『範囲感知』で戦場を感じながら矢を射る。

それは遠当てとしては距離が離れていた・・・

それでもナナの矢は山鳴りの軌道で『アレ』を撃ち抜く!

距離が離れ矢の軌道と違い『アレ』は頭上からの矢の攻撃を受ける。


それを目の前で見ていた聖騎士団も何が起こったのか最初理解出来ず

上からの矢の攻撃に警戒していたのだが次々と『アレ』に矢が当たるのを見て

戦況がいい方向へ向いているのを感じ聖騎士達は攻勢を強める。


防壁上のティアも『アレ』が真上から矢の攻撃が当たるのを目にし

街中で弓を構えるナナを見つけてから「まけないよー。」とつぶやき

防壁を掛けながら次々と矢を射る!!


遠距離からの攻撃と近距離からの攻撃により

『アレ』は身体を砕かれ斬り刻まれ紅い身体を壊されていく。


次第に『アレ』の動きが止まり


聖騎士団が一斉に剣を構え『アレ』に斬りかかる瞬間


『アレ』の身体が破裂し・・・新たな姿になる。



それは紅く燃えがる身体


それは姿は人の形をし


それは人の姿をしながら角が生え


それは燃え上がる異形な姿をし


それは燃え上がる瞳を見開き


それは三日月のようににたりと笑いながら


それは笑いながら聖騎士団を蹂躙していく。


それが腕を払えば聖騎士が吹っ飛び


それが足を上げれば聖騎士が彼方へ吹っ飛び


聖騎士団の攻撃をものともせず歩みを止めず向かって来る。


『アレ』の変化にティアは攻撃の手を止めてしまい

同時に移動するのを忘れ・・・『アレ』の攻撃を受けてしまう。

ギリギリで魔法障壁を展開してはいたがティアは防壁から飛ばされてしまう。


ナナは『アレ』の変化に驚き

ティアが攻撃を受け倒された事を知り


カチリ


ナナの中で何かのスイッチが押された。


「はぁー、ふぅー。」


深呼吸をし自分自身の荒ぶる感情を抑え

シルバさんに支えられているマリアにしゃがみ目線を合わせながら


「マリア様、護衛依頼は叶えられそうにありません。

今から『アレ』と闘ってきます。」

「あのナナさんは『アレ』に勝てますか?」

「勝てるかよりも倒さなければいけません。

ルナテイク様への謝罪は必ずしますから護衛依頼を破棄して貰っていいですか?」

「わたしも一緒にルナテイク様に謝罪しますから

『アレ』を倒して下さい・・・お願いします。」

「頑張ります。」

「マリア様は私がお守りします。御武運を!」


シルバさんのコクリと頷き不安そうに見詰めているマリアに「大丈夫。」と言い

ナナはマリアの頭を撫でながらティアが飛ばされた方へ駆けて行く。

瞬時に『身体強化』『速度強化』を唱えティアを救出に向かう

魔法障壁越しでも衝撃を受けてしまい建物に寄りかかりながらナナを見つめている。

ナナはティアの頭を撫でながら『良く頑張った。』と言って抱きしめた。


「なんかすごく強くなった。倒せなかった。」

「あぁー、予想外に強くなった。アレは倒さなきゃダメだ。

ティアにも手伝ってもらいたいけど良いか?」

「うん、頑張る!」

「二人なら負けない!」

「うん!」


ナナはポーションをティアに飲ませてから

『魔法工房』から装備を取り出しナナは近接装備へ一新する。

ティアもまた破壊された装備を遠距離特化に一新し


ナナは『パーン!』と手を合わせてから『魔法工房』にいるルナさんに


「ごめん、護衛依頼破棄しちゃった。」

「気にしなくていいわよ。聖女候補生とナナさん達が出会うのが目的だったし

『アレ』があれほどのモノになるとは誰も予想していなかったからね。」

「とりあえず全力で『アレ』と闘うけど問題無いよね?」

「問題は無いけど・・・いいの?今戦えば滅茶苦茶目立つけど??」

「・・・何か目立たない方法があれば教えてもらたいけど・・・。」

「そうね~、そういうことなら・・・。」


次の瞬間ナナとティアに光が降り注ぎ姿を変える。

2人の装備が白い神々しい物に姿形が変化し進化し

ナナとティアがお互いの姿に「「似合わない。」」と笑いながら


ナナは輝くブーツの感触を確かめ「悪くない・・・。」

ティアは手にした弓を構えて「いい弓だ・・・。」

そして、目を合わせてから『アレ』に向かい駆けだす。



聖騎士団を蹂躙していた『アレ』は『ロースポーツ』に降り注ぐ光を凝視し

聖騎士達を放棄しながら光の方向へ歩き出す。

倒され動けずにる聖騎士もまた街に降り注ぐ光を目撃し

聖騎士達は神に祈りはじめる。

それは聖騎士のみならず『ロースポーツ』に住まう住民達にも確認され

光が降り注いだ方向へ向かい祈りはじめる。


『アレ』はナナ達の方へ真っ直ぐ向かってきているのを確認し

聖騎士達から離す事を第一に考え防壁を越え

『アレ』を目視で確認してからティアが弓を構え矢を射る!

矢は次々と『アレ』の身体を貫通していくのだが回復力が強いのか

崩れた身体は瞬時に元に戻りティアは矢を射りながら


「回復力速すぎるー。」

「それでも矢を撃ち続けて。」

「はいな!」

「少し街から離さなきゃな・・・。」


ナナは腰から剣鉈を抜き『アレ』に向かい駆け出す。

短い剣鉈は聖騎士の剣の半分の長さも無く

『アレ』はにやりと嘲笑いながらナナに腕を振りかぶる。


ナナは剣鉈に魔力を纏い『アレ』に突き刺したまま『魔纏衣まとい』を発動し

更に『身体強化』『速度強化』を二重三重に展開し

『アレ』を無理やり強制的に剣鉈を突きながら・・・突き刺しながら浅い森まで押し突き刺す。

剣鉈は『アレ』に突き刺さる直前の姿勢のままナナに押し込まれる。

燃えさかる『アレ』の身体は『魔纏衣』で耐え

浅い森まで『アレ』を押しきり『蹴撃』でぶっ飛ばす!!


ドォドドドドドォゴ!


連続で蹴りを喰らい『アレ』は体勢を崩し倒され飛ばされ

浅い森に転がりながらナナに向かい腕を振るう。

ナナは腕を受け流しながらカウンターで回転蹴りをする。

再びナナの転がされ叫びながらナナへ向かって来る。


『アレ』とナナの戦闘をティアは弓を構えながらチャンスを待っている。

ティアは弓を引き魔力を込めながら矢が崩壊するギリギリまで魔力を纏う。

ナナは『アレ』と対峙しながらティアの矢に纏う魔力を感じながら

『アレ』をふっ飛ばし転がされ体勢が崩れた瞬間に


「ティア!」

「はい!!」


ドォ!!!!


光り輝く矢が『アレ』に貫通し身体を撃ち砕き倒れる。

ナナは『アレ』から距離を取りティアの傍まで移動し

パーン!

『アレ』から目を離さずにナナとティアはハイタッチをし

ティアは再び弓を構え魔力を纏い始める。

ナナは置き上がり燃えさかる身体をティアに向け攻撃を仕掛ける。

次の瞬間ナナの結界魔法で『アレ』の攻撃を完全に無効化し

ナナもまた魔力を纏い『アレ』と対峙する。

攻撃を受け流しては反撃を繰り返し続ける。


『アレ』は身体を維持出来ぬほど蹴り抜かれ突かれる。

矢により身体を崩され壊され破壊される。



『アレ』の身体が一瞬燃え上がりナナに向かってきた。


ナナは全身を『魔纏衣』で強化し『身体強化』『速度強化』を再び唱え

高速移動しながら『蹴撃』により蹴り続ける。

縦横無尽に動きながら連続で蹴り続け蹴り抜き蹴り砕き。


『アレ』の存在そのものを蹴り砕く!


『魔纏衣』の効果なのか『蹴撃』の効果なのか

『アレ』の姿がナナの蹴りにより粉々になり消えるように消滅した。


最後にナナが蹴り抜いた時に真っ黒な石を砕いた瞬間『アレ』は消えたようだった。


真っ黒な意思が何なのかナナ達は知らなかったが


『アレ』が消えた事だけは確かな事だったので


ナナとティアはお互い笑いながら再び

パーン!

ハイタッチをし「「倒した!!」」と叫びながらその場に倒れるように座りこんだ。


『アレ』を倒したからだかナナとティアの装備が何時もの革装備に戻り

お互いに魔力の使い過ぎで魔力枯渇ギリギリに耐えながら


「マジックポーション全部渡しちゃったんだ。」

「わたしも・・・。」

「少し休めば動けるようになるかな?」

「『魔法工房』で休めばいいんだけどマリア様に報告行かなきゃいけないし

動けるようになるまでお茶でも飲むか?」

「はい。」


ナナとティアは疲れて動きたくないのだが

疲れからなのかおなかが空きのどが渇き

お茶を「ずずずず」と飲みながら串焼きを頬張る。


「はー、お茶が美味しいー。」

「焼き串もうまー。」


静かにお茶を「ずずずず」と飲み

焼き串を「もぐもぐもぐ」と食べていると

草原の方から何か近づく反応がありナナとティアが弓を構えていると

マリア様を背負ったシルバさんがナナ達を見つけ


「ナナさん無事ですか!」

「よかったー。」


シルバさんの叫び声で人がわらわらと集まりはじめたので

ナナ達が逃げようとしたところで突然マリアがナナの腰に抱きつき


「ナナさん怪我してないですか!

ティアさんも大丈夫ですか!」

「とりあえず回復魔法を唱えます。」


シルバさんがナナとティアに回復魔法を唱える。

『アレ』の攻撃を受け流していたとはいえナナとティアの身体にはキズを受けていた。

『アレ』の攻撃は斬りキズよりも火傷によりボロボロだった身体は次第に癒え

回復された身体に残ったのは消耗した魔力のみだけになった。


「マリア様もシルバさんも怪我は無いですか?

護衛依頼を破棄してしまい何と言っていいか・・・。」

「大丈夫です。」

「ギルドの方に口止めしましたし大丈夫です。」

「ナナさんが防壁を張った事で最低限の護衛をした事になっております。」

「そうですか・・・終わったので帰りましょうか。」


身体の傷が癒えた事で歩けるようになりナナはティアを支えながら歩き始める。

ナナの腰に抱きついているマリアは再びシルバさんが背負い

4人は静かこっそりと『ロースポーツ』に帰還する。



その日のナナ達はギルドの会議室の片隅で身体を休める。





『ロースポーツ』東の森の第二次大討伐は神の使い『使徒』により討伐された。


それは聖騎士団や冒険者達が街へ降り注ぐ光を目撃し


その直後に『アレ』が倒された・・・この行為を人々は神の恩恵と噂し


教会からも『使徒』が第二次大討伐を鎮めたと発表した。

『魔法工房』の屋敷のお広間で神様達がモニターを見つめていた。

それは東の森第二次大討伐だったのだが

神様達が気になっていたのはナナさんが突然人が変わったような動きを見せた事だった。


「ティアさんが攻撃を受けてからナナさんの雰囲気が変わったみたいじゃのぉ。」

「遠距離から攻撃が好きなナナさんが剣鉈を構えて『アレ』に突っ込んだ時は焦ったが・・・。」

「相当怒ってました。」

「ナナさんの中で何かが起こった・・・。いや怒ったと言った方が正しいか。」


『魔纏衣』に『身体強化』『速度強化』の重ねがけで『アレ』に突っ込み押し切った。

そして、『蹴撃』により動きを封じティアさんの一撃か・・・。


「ナナさんもそうじゃがティアさんもわしらの予想以上に育っている様じゃが?」

「ナナさんに引っ張られる感じで育ちつつあります。」

「私の恩恵の影響もあるみたいだけど?」

「それだけでは無いじゃろう、『アレ』を撃ち抜くのも大変な事じゃ。」

「ましてナナさんは『アレ』の魔核を蹴り砕きおった。」

「そうですね。」

「魔核は神気もしくは神器のみでしか破壊出来ないはず・・・。」

「少なくともナナさんの一撃にはそれに似たモノがあったと言う訳じゃな。」

「それでどうします?ナナさんに今回の事情を説明しますか?」

「私は聖女候補生を助けて貰ったお礼をするつもりよ。」

「そうじゃのぉ。何も教えんのはダメな気もするが・・・

起きた事象とこれからについてだけは話そうと思う。」

「後は感謝とお礼も忘れちゃダメだ。」


モニターの中のナナさんとティアさんがハイタッチをしているのを見つめながら


「何だかんだで2人とも元気そうじゃのぉ。」

「いや、座りこんでるから空元気だよ・・。」

「何故かお茶の準備を始めて・・・飲み始めてるし・・・。」

「それどころか食事を始めとるのはどうしてじゃ?

普通は街へ帰って身体を休めるじゃろ普通は??」

「おなかが空いたか・・・のどが渇いたとか?」


暫らくすると草原の方からシルバとマリアがナナさん達の元へ着き

ナナさん達に回復魔法を唱え怪我を治していくのを見ながら


「無傷とはいかなんだ・・・ルナの恩恵でも『アレ』の攻撃を無効化は無理じゃった。」

「それでも通常の装備よりは丈夫なはずです。」

「『アレ』自体の攻撃に丈夫だから大丈夫と言う概念は存在しないのかも・・・

燃えさかる異形の攻撃には聞かないと言う事なんでしょうね。」

「ナナさんは『魔纏衣』とか色々二重三重で魔法を重ねていたはずなんじゃ

ルナの恩恵を加えたら神器以上に強力で強靭な護りと攻撃力があった。

それ以上に『アレ』の存在と言うか概念が強すぎただけの話じゃ。」

「最後はナナさんに蹴り砕かれたがな。」


ナナさんがティアを支えながら歩き始めたので神様達は1つ奇跡と言う名の魔法を唱えた。

聖騎士団が負傷し怪我人を搬送している間をナナさん達は静かに歩く。

それは誰の目にも気付かれず話しかけられず街へと到着しギルドへ向かう。

ナナとティアはこっそりと街へ戻るつもりだったので気にしていなかったが

シルバとマリアは聖騎士達には自分達が見えていないと言う事に気がつき

驚きながらもナナさん達の後を静かに歩くのだった。

シルバさんはナナが何か特別なスキルを使っていると勘違いし

マリアもまた神様が導いてる奇跡なんじゃと思い

4人はギルドへ静かに歩き続ける。


「ふぅ、とりあえずナナさん達が街の外から戻った事を誰の記憶に残らないはずじゃ。」

「シルバとマリアにバレテいるけど?」

「まぁ、何やら勘違いしているようじゃから問題無しじゃ!」


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