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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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第二次大討伐とか

聖王国の聖騎士達が『ロースポーツ』に召喚され

領主館で東の森への第二次大討伐会議が開かれていた。

教会の関係書も会議に参加していたが

先日『聖女』様からの『神託』により冒険者2名の個別依頼をお願いしに向かう。


総勢2000名の聖王国の勇士達は『ロースポーツ』の防壁前に展開し

聖騎士団は陣形を組み東の森からの警戒を強めていた。

勇士の冒険者達は東の森へ偵察に出掛けては現状の把握をする事にした。

そこで『全てが喰われた残骸』しか発見出来ず・・・

そして『東の森で生物の反応無し』という異質な現状しか知る事が出来なかった。


教会関係者と商業者ギルドの面々は救護治療にする為に

ギルドの一部を臨時の治療所として活動を開始する。

東の森の大討伐失敗後にギルドでは避難する者に対する護衛依頼により

冒険者達が大量に流れギルドには何時もの3割の冒険者しか街に滞在していなかった。

護衛依頼以外には薬草採取の常時依頼はあるものの冒険者達は見向きもせずに

冒険者達は仕事も無くギルドの待合室で静かに待機していたり

宿屋の食堂で『次は自分らが討伐に行くのか・・・。』呟くのだった。


そんな中、聖王国から来た教会関係者から1つの個別依頼を受ける事になる。


「教会から冒険者ギルドにお願いがあり参上しました。

冒険者ナナとティアに護衛依頼をお願いします。」


ギルドの受付嬢は教会関係者という事で緊張しながら対応していたが

ギルドである意味有名なナナとティアへの個別依頼という事で

受付嬢はニコリと微笑み


「個別依頼としては受理出来ますが

ナナとティアの両名は数日前から『ロースポーツ』に戻ってはいないのですが?」

「え、本当に??」

「数日前に薬草を納品し・・・7日以上見かけません。」

「どこに宿泊してるかは・・・?」

「宿屋には宿泊していないみたいです。」

「それじゃどこへ行ったんでしょう??」

「東の森での騒動前は浅い森で野営をしていたみたいですが

今回の騒動でランクEのナナさん達は草原で薬草採取をしているはずなんですが・・・。」


そう言って受付嬢は首を振りながら「もしかしたら街を離れた可能性も・・・。」と

教会関係者は聖女様からの神託すら満足に叶えられない可能性に悩み


「あのそれでも個別依頼をお願いします。

ナナさん達が訪ねてきたら教会からのお願いという事でお話して下さい。」

「ナナさん達にお話を通す事は可能です。

個別依頼を受けるかどうかはギルドとしては判断しかねます。

個別依頼は強制依頼ではありませんから・・・。」

「それで結構です。お願いします。」


教会関係者は受付嬢に深々と頭を下げギルドを後にする。

受付嬢は何とも面倒な個別依頼を受理しギルド長の部屋へ相談へ向かう。

ランクEの冒険者への個別依頼と教会からのお願いとしての対応。

そして、最近ギルドに来ないナナさん達について・・・。


それ以外でも東の森への第二次大討伐での冒険者ギルドでの対応など

ギルドに残っている冒険者では明らかに実力不足なのは解りきっている

そんな彼らを東の森への討伐に強制参加させるのか・・・と

今の冒険者ギルドは何もかも足りない状況では悩む間もなく次々と問題が湧いてくる。


それから数日後、『ロースポーツ』は東の森への第二次大討伐を開始する。

最初に100名の聖騎士が東の森へ進軍していくのだが

浅い森で最初の戦闘と言えば聞こえがいいが

森の奥から水の流れる音が聞こえたと思ったら

津波の様な暗黒の大波に流され喰われ・・・攻撃も叶わぬまま聖騎士100名が命を落とした。

この戦闘は『ロースポーツ』の防壁の上から魔法で確認され

東の森での第二次大討伐は遠距離攻撃のみで行う事が決定する。


領主の館では先程の戦闘に関して次の進軍について会議を始めていた。

防壁での目撃情報で森の奥に潜むモノが個数では無く液状という事を知り

聖なる武器で対応するのではなく聖なる魔法で対応する事に決定する。

この決定により冒険者ギルドの冒険者は誰一人第二次大討伐に参加資格を失い

第二次大討伐の裏方としてのみ参加が許される形になる。


第二次大討伐の再開は浅い森からの聖魔法によるもので

聖騎士は聖魔法『聖弾』や『聖矢』などで攻撃を繰り返し

少しずつではあるが東の森を解放していく。


「魔力回復は怠るな!」

「聖魔法で浄化すれば『あれ』の進行を防げるぞ!」


『あれ』を消し去り周辺を浄化し聖騎士団は東の森を進軍する。

威力過多の聖弾や聖矢を連続で放ち『あれ』を消滅させ

広域範囲魔法『聖光陣』で広域の大地を浄化していく。

浄化した大地には『聖水』を振り撒き『あれ』への結界を構築していく。


『聖水』は教会が専属で調合し神への祈りにより作りだす一品だった。

その中でも『聖女』の聖水の効果は数段強力であり

聖騎士団の聖騎士にも僅かではあるが所持していた。

魔に振りかけても良し自身に振りかけて聖属性の護りを強める。

今も『ロースポーツ』では教会関係者達が『聖水』を次々と作りだし

聖騎士達が戦う前線へ追加で使われ東の森への解放へ向かう。


黒い大波は聖騎士達の攻撃を避けるように『深部』へ流れ渦巻く。

大波という名の『あれ』を東の森の『深部』へ追いやり

聖騎士団は全戦力を持って攻撃をする為に盾を構え剣を掲げ『深部』へ進む。

教会関係者も『深部』への『聖水』の提供の為に一緒に向かう事になるのだが

聖女候補生の護衛が決まらず彼女だけがギルドの一室に待機となる。


聖王国からの一団は商業者ギルド関係者と聖女候補生を残し

全戦力を持って東の森の深部へ攻撃を仕掛ける。

深部の黒い大波を魔法障壁で囲み聖騎士団は聖魔法の広域範囲攻撃を繰り返し

薄暗い森の奥が眩い光の魔法で真っ白に照らされ次第に『あれ』が消滅していく。



深部の真ん中で『あれ』の消滅を確認した・・・


その瞬間



『あれ』が消えた空間に暗闇が現れる。


深い暗い暗闇が光ったかと思ったら紅い人型が姿を現す。



『あれ』が消滅し新たな『アレ』が現れた・・・姿形から先程のモノとは違うと思うが

『アレ』から発している雰囲気は聖なるモノでは無く悪しき雰囲気しか感じられぬ。


「聖騎士団全力をもって『アレ』を撃ち滅ぼせ!」

「「「「「おぉ!!」」」」


聖騎士団からの一斉攻撃を受け紅い人型の『アレ』は姿勢を崩し

聖騎士の「やったか?」という呟きが聞えたと思った瞬間に

『アレ』は手を振り下げ聖魔法を斬り裂き聖騎士団をふっ飛ばす!

一瞬の何が起こったのか解らなかったが魔法そのものを斬り裂き聖騎士をふっ飛ばしす。

現実を理解するが追い付けないまま『アレ』の攻撃が続く。


勇士の冒険者達が教会関係者を護衛しながら後退していく。

聖騎士団は殿を務めつつ『アレ』に攻撃をしては護りを固める。


「攻撃を休むな!足止めでも良い『アレ』を食い止めろ!」

「「「「「おぅ!!!」」

「『アレ』の攻撃は受け流せ!盾を構えろ腰を落とせ!!」

「「「「おぅさ!!」」


ふっ飛ばされた聖騎士達を冒険者達が回収し回復する。

致命傷以外は回復可能という事で冒険者達は聖騎士を背負い走りだす。

攻撃は聖騎士団が担当し冒険者達は完全な裏方として戦場を駆け巡る。


東の森は教会関係者が100m単位で結界を展開していたのだが

紅い人型の『アレ』は結界を砕き喰らい静かに確実に『ロースポーツ』を目指す。

移動速度が遅く聖騎士団は距離を取りつつ体勢を整えようとするが

『アレ』に対しての決定打に欠ける事から

聖騎士団は終わらない攻撃をしながら戦闘を続ける。


回復魔法とポーションにより寝ずに移動し翌日には浅い森を越える。

教会関係者や冒険者達は『ロースポーツ』に辿り着き

聖騎士団は盾を構え剣を『アレ』に向けながら


「ここが正念場!!」

「「「「おぅ!」」」

「全力をもって全ても倒さん!」

「「「おぅさ!」」」


聖騎士団は剣に魔力を纏う。

微かに輝き光る剣を構えながら聖騎士達は『アレ』に戦いを挑む。

攻撃をする者、攻撃を受け流す者、『アレ』の体勢を崩す者。

この戦いで初めて聖騎士団は剣を振りまわしているが

『アレ』は無造作に剣を弾き盾を砕き聖騎士を蹂躙していく。


怪我をした者は後ろに下げては交代して攻撃を繰り返す。


終わらない戦闘は『アレ』からの一撃で状況が一変する。



『アレ』の攻撃が聖騎士団をふっ飛ばし『ロースポーツ』の防壁を破壊し

戦況は誰の目にも全滅しかないと言う状況になってきた。




その状況を変えたのは『ロースポーツ』からの一本の矢によるものだった。

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