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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
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寝ているうちにとか

ナナとティアが大岩型シェルターで疲れて眠り始めた頃

ハクトさんは屋敷へ戻り練習場での事をグランさんへ報告へ赴く。

『土魔法』の『土壁』という魔法で大岩を創り上げた事や大岩の中に居住空間を創った事

そして、大岩型シェルターを地面に沈め活用しようとしている事を詳細に話すと


「なるほど面白いのぅ、わしらはもう少し建物っぽい物を作るのかと思えば

見た目以上にというか見た目では分からん物を作りおったか。」

「その場合作るというより創ると考えた方が宜しいかと・・・。」

「何とも人の子は面白いのぉ、それはハクトから見てどうじゃ?

ナナさんの創り上げた物は使えそうか?」

「ハッキリ言えば使えます。大岩をベースにしてますが見た目も触った感じも岩でした。」

「まんま大岩という事か・・・頑丈であり強固な居住空間か・・・。

ナナさんの魔力消費はどうじゃった?土魔法で創ったという事は魔力消費は多かったじゃろう?」

「いえ、それが驚くほど少ない魔力でシェルターを完成してました。」

「魔力操作の賜物かのぉ・・・それとも魔法を使う上での想像力が凄いのか。」

「その両方だと思います。何度も魔力枯渇ギリギリまで頑張りましたし

お腹いっぱいになるまでマジックポーションを飲みはしましたが

次第に込める魔力を抑えイメージを固め・・・最終的には小屋や家といった物から

土魔法の土からの連想で大きい物を創る感じで小屋ほどの大岩をイメージしてのではないかと。」

「そういえば生前のナナさんの生家は昔ながら木と瓦の日本家屋だったのぉ。

土魔法の土のイメージで日本家屋は難しかったかのかも知れん。」

「そうかも知れません。最初は『魔法工房』にある工房を思い描いたみたいで

練習場の壁やら天井を突き抜けるほど大きい土壁を創ってましたし・・・。」

「ナナさんの中の建物のイメージはこの場の工房か・・・嬉しい様な何とやらじゃな。

それでもイメージして創りだした物の大きさが現実の大きさよりも大きいとは何故じゃ?」

「多分ですがナナさんの思う工房が思いのほか大きくデカイという事では?」

「心で描いた物の大きさをそのまま土魔法で再現しようとしたのか・・・

ある意味魔法を行使する上で大事なことではあるのじゃが・・・流石ナナさんという事かのぉ。」

「はい、流石です。」

「それでナナさん達はどうしたんじゃ?もうすぐ朝ご飯じゃろう?」

「それが朝錬の途中からティアさんが疲れて眠ってしまいまして

多分ですがナナさんも今頃一緒に寝ていると思われます。」

「初めての森で3日間過ごして次に日に新しい事を必死で覚えようとして疲れたか・・・。」

「それで今日は何もしない本当の休息日にしようかと・・・。」

「それがいいじゃろぅ、ナナさんのシェルターにはベッドも設置してあるなら

布団やクッションなどシェルター内で過ごしやすい物を運んだ方がいいかものぉ。」

「シェルター内はベッドが2つにイスが3つありました。

別途簡易ではありますがトイレも設置してあって暮らせる感じがしましたが

地面に沈んでいるという事で出入り口は天井でしたが・・・。」

「入る時は落ちる感じで・・・出る時は跳ねるのか・・・?」

「はい、梯子は無かったので・・・。」

「そこは梯子必須として改良の余地ありじゃのぉ。」

「確かに。」


屋敷の縁側でお茶を飲みながら初老2人がお茶を飲みながら

朝から『そんな話』をしているとアリスさんが来て

「もうすぐご飯ですよー。」と声をかけてきたので

「今行きますよー。」「ふぉふぉふぉ。」と

嬉しそうにお茶を飲み干し台所へ仲良く歩きだす。


「ナナさんとティアさんは疲れて朝ご飯に来れませんよ。」

「あらそうですか・・・。お腹がすいちゃいますから何か準備しますね。」

「お願いします。」

「いえいえ、私も楽しんでますから気にしないでくださいー。」


朝ご飯の話題は朝錬でナナさんが創り上げた大岩型シェルターの話題になり

さっきまでグランさんに話していた内容を再び丁寧に話し

アポロさんとルナさんが実際に見てみたいと言ったり

アリスさんが『布団を運ばなくっちゃ』と言っていた。


「練習場の真ん中に大岩が沈んでいるのでわかると思います。

大岩の出ている場所に扉があるので出入りはそこからとなります。」

「天井から入る??まんま落とし穴じゃ??」

「はい、確実に落ちます・・・。落とし穴と言うのもあながち間違いでは無いと思います。」

「入る時に落ちて・・・出る時はどうするの??上げて貰うの???」

「いえ、自分で扉まで飛ぶんです!!思いっきり気合を入れて飛べは出れます!」

「・・・欠陥住宅っぽいね。」

「・・・・欠陥シェルターや。」

「今日は休息日と考えてますからナナさん達はゆっくり休んで貰いたいですね。」

「その事をナナさんには伝えたの?」

「いえ、まだです。朝錬の途中から寝落ちの如く眠ってしまわれたので・・・。」

「それなら目が覚める前にナナさん達に『本日は休息日なり』と書いて置いた方がいいよ?

いつも通り冒険者をするとしたら目が覚めて向こうへ行くと思うからさー。」

「それは気がつきませんでした。食事の途中ですが今から行ってきます。」


ハクトさんが食事を一旦中止し訓練場へ走っていく。

5分後「はぁはぁはぁ・・・。」と息も切れ切れの状態で戻って来て


「まだ2人ともぐっすり眠っていたので『今日は休息日なり』と書いたメモを置いてきました。」

「そうそれなら問題なのぉ。疲れたのを気付かずに活動しても怪我の元じゃし

何より無理をして身体を壊してはダメじゃ・・・それだけは肝に銘じてな。」

「は、気を付けます。」

「わかりました。」


グランさんの一言にハクトさんとアリスさんが深々と頭を下げ

今以上にナナさんの事を気遣う事になる。それは過保護と言われるまでに・・・。



「それにしても大岩型のシェルターか実際い見てはいないのだが

実際にナナさんの考えているように『魔法工房』から取り出したり仕舞えたりは可能なのか?」

「大岩型のシェルターを1つのアイテムと捉えた場合問題無く活用出来ると思われます。」

「使わない時は工房の裏に置いておくか練習場の片隅に置いておくか・・・。」

「もしくはナナさん達が実際に棲み処として使うかとか?」

「普通使いするには悩ましい創りですし・・・何より地面に沈むので窓も無いし

空気の入れ替えが天井の扉付近にある小さな穴のみなので

すぐにでも換気口の設置や排気口を創る必要があるんですがね・・・。」

「そこも要改良じゃのぉ・・・。」

「はい、忘れずに改良改造いたします。」


浅い森では結界魔法と落し穴に革紐とで二重三重に周囲を警戒していたのだが

結界魔法を維持するという事でナナ1人が寝不足になるという事態になった。

その分休憩を増やし薬草採取をしたはずだったが

ティアもまた初めての薬草採取や周囲からの反応の多さに精神的に疲れが出て

森を抜け『魔法工房』に着いた時には結構ギリギリの状態であった。

本来であれば3~4人の冒険者で活動出来ればいいのであるが

ナナは元々1人で活動していたしティアも人見知りで知り合いがいない状態

新たにパーティー増員とはナナ達は考えてもおらず

グランさん達はナナ達が大きく育てば単独で浅い森くらいは軽々と冒険できると考えていた。


「ナナさん達の攻撃力はランクEとしては最高峰なはずなんじゃがのぉ。」

「それでも初めての事が続けば疲れますし・・・。」

「何重にも警戒をし安全管理もしっかりしてますから大丈夫だと思います。」

「実際に浅い森では戦闘が無く・・・それがナナさんの警戒Lvを上げている要因に?」

「可能性はあります。落とし穴が確実に効果があるのか・・・。

革紐で一角兎の足止めが出来るのか・・・。

結界魔法が大猪の突進に耐えれる事が出来るのか・・・。

過剰に周囲を警戒し色々考え魔法を行使しています。」

「それはティアさんも同じです。周囲の丈の長い草木に革紐を結び簡易柵を作ります。

休憩中や採取中も同じく邪魔な草木を刈りとり革紐を張ります。

それはやはり初めての場所で知らない獲物を過剰に警戒するからだと思いますし

一度でもあの場所で戦う事があれば気も紛れると思いますが・・・。」

「ナナさんの結界魔法の硬度はどれ程のものなのじゃ?」

「結界魔法は全ての攻撃を防ぎます。

ナナさんの潜在的な魔力を考えれば大猪程度では問題無しです。

浅い森は勿論ですが『ロースポーツ』周辺でナナさんの結界を砕く者はいないでしょう。」

「その事をナナさんは理解しているのか?」

「いえ、結界魔法を頑丈な魔法障壁としか思っていない節がありますが

込められた魔力で完璧に攻撃を防ぐ魔法と教えしているので問題は無いかと。」

「言葉通りの意味でいるのだとしたら大丈夫じゃな。」

「はい。」


ハクトさんから技術や知識を教えて貰ってはいるが実際に実戦で使えるかはナナ次第

体感し体験し身体で理解して初めて知る事がある。

『魔法工房』はナナ達に教えはするが無理強いする事はしなかった。

満足いくまで修練を繰り返していくだけであった。


ナナさん達が目を覚まし『本日は休息日なり』というメモを見て再び眠りにつく。

ハクトさんの手書きの『梯子の設置だけ必須!』というメモを見て慌てて出入り口に梯子を設置し

ナナ達の休息日はゆっくりと過ぎ去っていく。

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