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隠れ家に住む冒険者。  作者: 與吉
3/87

冒険者からの

ナナは冒険者ギルドで登録を済ませると受付嬢から宿屋を教えてもらい

取りあえず7日間お願いし備えつけられたベッドへ倒れるように眠るのだった。

色々あったが世界を渡り『魔法工房』へ向かい再び世界に戻ってきた。


そして、初めて生物・・・穴兎を倒した事でナナは予想以上に消耗していた。

体力的というか精神的というか気が付かなかったのはナナだけであったが

これは記憶喪失時に記憶の一部と感情も多少失っていた。

嬉しい事や楽しい事は感じるが恐怖や痛みに関しては感情の欠如があり

それはいい意味で耐性ともいえたが悪い意味で無謀ともいえた。


神様らとの修練後でも疲れたら寝れば治ると言う

神様の言葉『RPG的に寝れば全回復』と言われ続け

ナナは寝れば完全回復出来ると言う力を手に入れた。

これはスキルや技術では無く神様からの祝福だった。


次の日は日が昇る前に目が覚めギルドから渡されたギルドカードを見つめる。


******************


ナナ (12歳)

ランクF

『弓修練』『生活魔法』『身体強化』


******************


名前とギルドランクに加えスキルも任意で3つ記載されてある。


神様曰く修得したスキルにはランクがあり面倒を避けると言う意味で

『鑑定』や『結界魔法』『回復魔法』を隠す必要があった。

普通の生活を求めるなら当たり障りのないスキルを持ち使える方がいいと・・・。


ギルド登録時も見た目と相まって目立つ事も無く何事も無くギルドに加入できた。

山村から仕事を求めて出てきた子供として猟師のせがれとして

登録後に穴兎の毛皮を納品した事で弓が得意な子供として認知して貰った。



宿屋にはお風呂とかは無くナナは『生活魔法』で身体と装備を綺麗にし

宿屋で食事を済ませ昼ご飯の弁当を受け取りギルドへ向かう。

背負い籠などは宿屋の部屋の片隅に置かせて貰う。


冒険者ギルドは早朝からクエストの奪い合いもあり

ナナはクエストボードの常備クエストを確認しギルドを後にする。


常時クエスト『穴兎の毛皮を5枚』と『薬草採取10本1束』

この2つのクエストは初心者冒険者用と言われているが

実際には冒険に憧れる冒険者には見向きもされない現状であった。

本当に初心者冒険者や負傷し怪我を負った冒険者など

ギルドで活動している冒険者からは各下のクエストという認識でしかなかった。


冒険者ギルドとしては穴兎討伐で最低限の狩りの仕方を学び

薬草採取で自分で回復する物を理解する事を期待しているのだが・・・。


ナナは冒険者ギルドで採取した物資を入れるリュックを購入し

昼ご飯の弁当を入れリュックを背負いギルドを後にする。

ギルド内の冒険者も弓を肩にかけたナナに

「無理はすんなよ!」とか「危なくなったら逃げるのも必要だぞ!」と声をかけてきたので

ナナは「はい!!」と返事をしぺこりと頭を下げ街の門へ向かう。


昨日は何気なく通ったのだが街の門は数人の門番でなければ開ける事が出来ないほど巨大であり

強固で頑丈な作りになっていた防壁もナナの背丈より高く

街の建物よりも高くそびえ立っているのが確認できた。

ナナは門番にギルドカードを作った事を報告し街の外へ出向く。


「西の森から赤目熊の目撃情報があるから気を付けるんだぞ!」

「森の奥から野犬の群れが草原で行動している情報もある気を付けな!」


ナナは「わかりました、ありがとう。」と返事をし門を通る。


この街は城壁に囲まれ入口は門1つという作りになっており

城壁の上では周囲を警戒する常駐の兵士達が草原を見つめていた。

街の名前は『ロースポーツ』周囲を草原と森に囲まれ

周辺には農村や山村が点在している小規模でありながら豊かな街である。

聖王国の片隅の田舎の街でありながら領主が領民思いで人気がある辺境都市であった。


魔物や魔獣の出現より野生動物や盗賊の存在が悩みの種であるのだが・・。

魔物や魔獣は魔素により変貌し変革したモノ

魔素はダンジョンの内部から溢れだすモノなので

冒険者ギルドは周辺の森でのダンジョン等は発見と同時に破壊と封鎖をし

魔素が溢れ出すのを極力防ぐ様にしていた。

森の深部は貴重な薬草や果実など冒険者にとって高報酬であったり

ランクA以上の龍種や幻想種といった化け物まで生息していた。


『ロースポーツ』の領主は周辺の森をダンジョンで穢されるのを防ぐために

冒険者ギルドと連携し森の索敵などを行っていた。

領主の私兵団と冒険者達が集団で月2回の大型討伐などは『ロースポーツ』の名物であった。

大型討伐後は討伐した獲物により収獲祭があり『ロースポーツ』では誰でも無料で肉が食えた。

各月の1日と15日が『ロースポーツ』収獲祭というのは聖王国では定番の祭りの1つだった。


草原へ出向きナナは『身体強化』『速度強化』を唱え

弓と矢を構えながら『気配察知』を使用する。

ナナは周囲500mの周囲に反応があるのを察知し移動を開始する。


『気配察知』では生物の気配を知る事が出来るので常時使用している。

本当は薬草採取もしたいが穴兎の反応が良くナナは倒しては『魔法工房』へ送り

『ロースポーツ』の周囲500m圏内の穴兎を狩り尽くしていく。

ギルドへの納品は1日5枚とし残りは『魔法工房』へ保管していく。

保管した穴兎の毛皮は後々自分で加工し細工していく予定。


昼ご飯の弁当を草原の真ん中で済ませ

ナナは『鑑定』スキルで草原を見渡していく。

絶対数は少ないが草原に生い茂る1割程度は薬草の『モモギ』と言われる物だった。

それは野草の『ヨモギ』に良く似た姿形をしており

最初こそ『鑑定』スキルを用いていたが最終的に「ヨモギヨモギ・・」と見つける事が出来た。

『モモギ』を根元から切り取り10本1束にリュックに詰め込んでいく。

薬草も10束まで採取し今日の冒険者活動を終える事になる。


「薬草を5束ギルドへ納品するとして残り5束は『魔法工房』へ。

ポーション調合の器具はギルドでも買えるかなぁ。」


『魔法工房』には調合する場所はあれがポーションを調合する道具が無い。

良い物は高いだろうしクエストをし稼がなければ!と思うナナであったが

魔法を使いっぱなしで草原を駆け周り穴兎と薬草を見つけるのに頑張りすぎたのか

夕方前には『ロースポーツ』へ帰還しギルドへ納品後・・・

やはり宿屋のベッドで寝落ちをする事になる。


現在のナナのギルドカード。


******************


ナナ (12歳)

ランクF

『弓修練』『生活魔法』『身体強化』


******************




『薬草採取』

この世界の薬草はポーションの材料となる野草の事。

調合スキルを用いる事により各種ポーションへと姿を変える。

スキルの熟練度(Lv)により優劣が決まる。

ナナが収集した薬草は『ヨモギ』に似た『モモギ』と言われる薬草。

根元から切り取り調合する。


『穴兎の毛皮』

今回の穴兎の毛皮はナナが討伐後に剥ぎ取られた毛皮である。

キズが少ないほど取引金額が高騰するが穴兎という一般的な毛皮は高騰しても微々たる物である。

穴兎は肉も人気があるが討伐後に冒険者らが食する事が多くギルドへの納品は稀である。

ナナも『魔法工房』へ送り調理済みの串焼きを草原で美味しそうに頬張っていた。

その際に串焼きに手を合わせ「神様ありがとうございます。」とお礼を言い食している。


『赤目熊』

ロースポーツ周辺に生息する中型野獣『灰熊はいくま』の変異体。

元々灰色はいいろの毛並みだった『灰熊』が一定数の人を喰らい進化した個体。

原因は不明だが鼻から頭部にかけて紅い毛並みに変化し、中型の身体も大きくなり大型の野獣変わらない巨漢に至る。

狂暴性が大きくなる代わりに、『灰熊』と変わらず身体的特徴の柔らかい毛並みにより、冒険者達にとっては取るに足らない獲物となっている。

冒険者曰く『柔らかい熊は大きくなっても変わらない。』と言われている。

本当に怖いのは攻撃が通らず何もできないモノだと。

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