閑話とかか
今回の閑話はナナさん視点では無く
冒険者ギルド内での受付嬢やギルド長や領主様の関係者の視点で描いてみました。
後半は『魔法工房』のハクトさんら神様視点で描きます。
ナナとの話し合いを終えたギルド長はギルドの待合室に座り
「はぁー。」と深い息をし「なんとかなったのかな。」と考え
受付嬢やギルド職員へ「それじゃ、引き続き業務を頑張ってくれ。」と告げ
「領主様へは急ぎ話を通さないと・・。」
少しだけ憂鬱な表情をしながらギルド長の部屋へ戻っていく。
階段の奥へ消えたのを確認し受付嬢達は
「それにしてもギルド長の話を良しとしましたね。」
「ナナさんの事?」
「はい、話を聞かずにギルドを出ていくかと思いました。」
「話を聞いていたと思うけど食べるのに夢中でどうだったのかな?」
「美味しそうな手作り弁当でした。」
「宿屋や露店の弁当じゃなかったしナナさんが作ったのかしらー。」
「ティアさんが造ったという可能性も・・・。」
「2人が美味しそうに食べていたから第三者が調理したと考えた方が普通かな。」
「冬期間中はギルドに一切来なかったから誰かの家に寝泊まりしてるのかしら?」
「流石に持ち家では無いと思いますが・・・。」
「冬期間中に『ロースポーツ』でナナさんの目撃情報が無かったか
他の街で暮らしていた可能性もありますか。」
「それにしてもナナさんがランクEですか
浅い森での薬草採取が可能になり今まで以上に薬草を期待出来ますね。」
「私としては大猪や黒毛牛などの討伐に期待しますが?」
「最初は一角兎あたりか大蛙じゃないかなー。」
「どちらも穴兎や野犬よりも数段格上の獲物ですよ。
倒したところでギルドまで運べるかどうか・・・。」
「魔法の袋は使って無かったかしら?」
「ナナさんが背負っているリュックは魔法の袋っぽく無かったし。」
「ティアさんも持っている感じじゃなかったし。」
「冒険者ギルドでも魔法の袋は購入できるけど
次にナナさんが来た時に魔法の袋について話してみましょう。」
「「はい。」」
「上手くいけば大型の大猪や黒毛牛が定期的にギルドの納品する可能性が出ます。」
「うふふふ、お肉の需要は貴重ですし。」
「ふふふ、そうですね。焼き肉祭りで定期的に食べれますが
ギルドにも別途肉が保管出来れば嬉しい事です。」
受付嬢の中にナナ達が大猪や黒毛牛相手に負ける事は無いという確証を持ち
ギルドで購入出来る魔法の袋があれば少なくとも大猪1体を入れる事が可能で
ナナ・ティアの2人で魔法の袋2つあれば結構な量を運べるはず・・・。
受付嬢達がナナ達のランクが上がった事により
これからギルドへ納品するかもしれないという『お肉』について話しをしている頃
ギルド長はナナとの話が上手く行った事に安堵し次に領主様には
『ナナは現在ランクアップに伴い面倒な依頼をしている為に忙しい。』と
そういう旨の内容の手紙を領主様宛に送る事になる。
「一応はナナのランクアップをした事と
それに伴い依頼で会う事は無理という内容にしてみたが・・・
これでダメなら領主様の関係者がどうにかするだろう。
ギルドとしては会いたくないと言われれば断る事にしよう。」
その後、領主様関係者がギルドへ来てはナナに会いたいと相談されても
「忙しくて面会はギルド内となりますが?」と答えると
「そうですか・・・、それならナナさんに個別依頼をお願いしたいのだが。」と聞かれえ
「一応はナナさんに聞いてみますが、ランクEでの個別依頼はギルドとしては・・・。」
ギルド職員はナナが個別依頼を何度か断っている事もあり
ランクEでの個別依頼をギルドとして認めていないという印象を相手に促す。
それを言われた領主様の関係者は「それならどうする?」とか「別の案件でいくか?」
などとこそこそと話しを始めたのでギルド職員は「では、そういう事で・・・。」と
静かに席を立ち通常業務へと戻る事になる。
領主様の関係者は何とかナナとの繋がりを持ちたいと思っているのだが
実際のナナと言えば『ロースポーツ』で活動しているはずなのに
ナナがどこの宿屋に泊っているとか
実際に冒険者をしているのかを知る者は少なかった。
決闘騒ぎでナナの実力が知れ渡ったのだが
ギルド内の一部の者だけがナナの実力を認めていた。
薬草採取から丁寧な仕事をしている事
穴兎や野犬の毛皮の納品でも丁寧な品物にギルド職員も報酬額上乗せし
実際に個別依頼をお願いし断られもしたが
それ以降もギルドへの薬草や毛皮の納品を一定数納めていた。
領主様の関係者は何度か『ロースポーツ』でナナ達を尾行していたが
冒険者ギルドと草原を行ったり来たりして気が付けば見失い
昨日もまた草原で薬草採取をしていたと思ったら
突然駆けだし穴兎を倒し始めていた・・・。
尾行をしていた者の話では魔法で強化したはずなのに追いつけず
見失う事は無かったが散々走らされ夕方になったそうだ。
「気が付けば冒険者ギルドにいて・・・どこかへ帰っていく。
ギルド職員の話では普通の冒険者としか教えて貰えなかったけど
半日も魔法で強化した状態で動き穴兎や野犬を倒せるものなのか・・・。」
「それで領主様にはどう報告する?」
「ランクアップの事はギルド長の手紙に書かれてあったし
ランクEの事は報告しても大丈夫だな。」
「この『面倒な依頼』についてはどうする?
これはギルドサイドから依頼中だから会えないという事だろ?」
「強硬な態度で接しても断られる気がするし・・・。」
「現にギルドでそういう態度で接したギルド職員が1人消されたらしい。」
「自然な感じで会える機会があればいいんだが。」
「こればかりはなぁ・・・。」
領主様へどう報告すればいいのかギルドの片隅で領主様の関係者達が終わらない会議をしていた。
『魔法工房』ではナナさんが大猪を倒す為に『結界魔法』の強化を考え
今朝も結界を砕くほどの攻撃をしていた。
ハクトは大猪の倒し方としてナナが結界で動きを止めティアが弓矢で止めを指す!
そういう戦術をしていたのだが別の戦術も考えていた。
本来格上というか巨大な獲物に対しては罠を用い動きを止め遠距離から攻撃をする。
ナナさんは『土魔法』Lv5のはずだから別の魔法を使ってみるか・・・。
「大猪の前方に土魔法で落し穴を設置するのも面白いか・・・。
少なくとも前足の動きを封じれば前屈みで倒れるから
後は確実に止めを刺せば無傷で倒せるかな?」
落とし穴は設置型にした方が面白いかもしれない
50cmの深さでも大猪の体勢を崩れるかもしれないしな。
「それとも革紐でも張れば転ばせるか?
いや、大猪の重量では革紐如きでは転ばせるは無理があるか。」
実際に大猪に向かっていくのはナナ達なのだが
一緒に倒す方法を考え修練をする事が出来る。
これはグランさんやアポロさんがゲームの中でやっている事だが
自分はナナさんを通じて戦術と戦略を考えている。
「これはゲームと違った面白味がありますなぁ。
せめてナナさん達が怪我無く戦い続ける事が出来るように鍛えあげなければ!」
ナナとティアのサポートはハクトさんとアリスさんが率先して行う事になっている。
ハクトさんが戦い方を教え鍛えあげる事に対し
アリスさんは食事や調合などサポートを優先して行っている。
グランさんやアポロさん、ルナさんの3人は相談役の様に
アドバイスを主に行い知りたい情報を教えはするが
それに対して習得への道はハクトさんが行ったり
アリスさんから実際にお教えする事になっていた。
「ナナさんは教えた事を理解し修得していくのぉ。
考え方が柔らかいからか覚えるのが早すぎる気がする。」
「そうかなぁ、潜在的にナナが今実際にやっている事は
ナナさんの所持しているゲームに似ているからゲーム感覚で強くなっているのかな?」
「それは無いと思いますよ。
強くなっているというより反復運動を苦無く行えるからでは無いかしら。」
「さながらLv99を目指す勇者の様な感じかのぉ・・・。」
「Lv99を目指してメタル○ライムを倒す様なものか?」
「・・・少し違う気もしますがナナさんは実際に強くなっている感覚を肌で感じているのかも。」
「ナナさんの前世では頑張った分だけ強くなったのを感じる事は難しかったたらのぉ。」
今のナナさんが楽しそうに朝の修練をし
面白そうに草原を駆けている姿を見るとグランさん達は嬉しく思い
2度目の人生を謳歌するのを見て微笑ましく思っていた。




