2人で採取とか
初めてのパーティーを組んだナナは冒険者ギルド武器屋へ行き・・・。
ティアの所持金では何も買えない事に「まずは稼ぐか。」とティアと相談し
手頃な武器を諦め採取ナイフという小ぶりのナイフを購入する。
「その採取ナイフがあれば薬草採取は大丈夫だとして・・・
採取した薬草を結ぶ紐と薬草を運ぶ袋を買おうか。」
「はい。」
武器屋の次に道具屋で必要な物を購入し最後に宿屋で昼ご飯用の入手し
太陽が結構高くなった頃2人は草原へと向かう。
『ロースポーツ』周辺の草原では少なからずの冒険者達が薬草採取をしているのが見える。
それと同じく穴兎や野犬を追いかけている冒険者も・・・見えるが
走り疲れて倒れている者や逆に野犬に追われている冒険者も・・・ちらほら見受けられる。
そんな草原の現状をティアはびっくりした顔で見ているが
「まぁ、初めての内は野犬討伐は避けた方がいいぞ。
初心者らしく薬草採取を覚えようか?」
「はい、お願いします。」
ナナは採取に薬草採取のやり方を教える前に注意する事を1つ1つ教えていく。
「この薬草採取は冒険者ギルドでは常時依頼クエストとしてあるはずだけど
朝一番に冒険者ギルドで必ず確認する事を忘れないようにしてね。」
「薬草採取の依頼の確認・・・わかりました。」
「『ロースポーツ』では薬草採取の依頼は1つだけあるから
間違えて違う薬草を収集しないように気を付けてね。」
「薬草の見分け方は?」
「そうだね、それは実際にやりながら教えようか。」
「はい。」
「それと最後に1人で薬草採取する場合は常に周囲を警戒する事
2~3人で薬草採取する場合でも1人は周囲の警戒を忘れない事。
草原では野犬に襲われる可能性もあるし・・・春先では獣たちが血気盛んに襲うしな。」
「あの1人で薬草採取は結構危ないのでは?」
「んー、危ないな。だからパーティーを組むんだし
只なパーティーを組む場合は依頼報酬を人数で分けるから・・・
結構頑張って依頼をする必要があるぞ。」
「わたしは1人で冒険者になったし・・・
この街に知り合いはいません・・・。」
「まぁ、なんだ。自分も1年近く1人で冒険者としてやって来れたし
1人で冒険者をするのがダメという訳じゃないからな。」
「わかりました。」
実際にナナとティアは草原で薬草採取を始める。
採取する薬草をティアに教えたり良く似た薬草との違いを丁寧に教え
そして、丁寧に採取し最初の10本1束を袋に入れ
「それの1束では宿屋に一泊する程の報酬にならないから
最低でも3束あれば一泊と2食分の食費になる。
5束あれば一泊と5食分の食費を稼ぐ事が出来る。」
「それでは最低2~3束あれば宿屋に泊れて食事の心配をしなくていい?」
「心配をしなくていいと言うか冒険者として暮らす事は最低限出来る範囲かな。
それでは冬期間中に所持金が尽きて困る事態になるな。
薬草採取は日長一日頑張れば5束以上は採取可能だし
それに毎日草原で採取すれば薬草の分布場所を覚えるだろう?」
「そうなんですか?」
「この採取作業も薬草を見極めて採取しているから『鑑定』スキルを修得可能性があるし
周囲を警戒しているから『周辺感知』を修得する可能性もある。
ティアは戦闘系のスキルは修得済みなのか?」
「それは片手剣とか短剣とかのスキルという事ですか?」
「あぁ、剣修練とか弓修練とかだね。」
「えーと、子供の頃から猟師のおじいちゃんと一緒に山に篭っていたから
『弓修練』Lv1と『生活魔法』は修得してます。
解体も穴兎・・・野犬に山鳥はやった事あります。」
「弓修練に解体が出来るなら少しは安心出来るかな。
山に篭っていたなら『周辺感知』を覚えるのは結構すぐかもしれないね。」
「あの『ロースポーツ』に来てから弓を触っていないんですけど・・・。」
「そういえば弓は・・・装備して無いね?」
「革の上下やブーツを買いそろえたら・・・弓矢を買う事が出来ませんでした。」
「んー、一緒に行動するんだから弓は無くてもいいか・・・。
10日後には弓矢が買えるほど頑張ろうか!」
「はい!」
この日は薬草6束に野犬4匹を倒しパーティーとしては宿屋での宿泊分の報酬を手にする。
野犬はティアに向かって襲いかかってきたので弓矢でサクッと止めを刺し
薬草採取をしているティアを横目にナナが解体をした。
「採取初日にしては十分な量を確保できたな。
野犬の毛皮も4枚あるしランクFの冒険者として許容範囲かな。」
「・・・そうなんですか?」
「あぁ、薬草採取の場合・・・10本1束で報酬額が決まっているけど
薬草の状態が悪い場合は報酬額が下がるからなぁ。
毛皮の方も同じく状態によって報酬額が下がるな。
最悪毛皮の納品を断られる可能性もある。」
「丁寧に採取して・・・丁寧に解体する。
集中すると周囲の警戒を忘れそうだし難しいですね。」
「要は慣れだよ慣れ。毎日のように草原で活動すれば慣れるはず。
今のまま休まず薬草採取をしていけば『鑑定』や『範囲感知』は修得するはず
自分が頑張れば頑張る分だけ強くなれる・・・だから頑張れ!」
「・・・はい、頑張ります!」
ナナとティアは『ロースポーツ』の外壁の近くで採取していたので
帰還するのも早いのだが外壁自体距離が長い上に出入り可能な門が1つ
初心者冒険者としては街の外壁が見える範囲で行動した方が心なしか安心する。
『ロースポーツ』の外壁は最長で2kmあることから
ナナ達も外壁に沿って歩いているのだが門までの距離がありすぎる。
30分歩き続けても門が見えず・・・それから1時間歩き『ロースポーツ』へ帰還する。
帰還中も薬草を見かけては採取し最終的に薬草は10本8束に野犬の毛皮10枚となる。
「帰り道でも薬草採取すれば結構な数を確保できたな。」
「はい、いっぱいです。」
「ティアは冒険者になって何をしたいんだ?」
「んー、普通に暮らす事かな。」
「そかそか、それなら一緒だ。」
「ナナさんも普通に暮らしたいんですか?」
「冒険者になれば仕事に困らないしな・・・
無理して冒険者ランクを上げる必要も考えてないしな。」
「そういうものなのか・・・。」
「あぁー、無理しても大変なだけだしな。
そういえば宿屋はどうする?同じ宿屋でいいなら紹介するけど?」
「一応はギルド直営の宿屋に泊ろうかと・・。」
「それなら同じ宿屋だな。宿泊費は安いし食事量が多い。
初心者冒険者から・・・中堅冒険者まで宿泊しているな。
パーティーで活動するから同じ部屋の方がいいのかな?」
「どっちでもいいけど?」
「まぁ、宿屋は食事と就寝だけの施設と考えれば同じ部屋の方が効率好いか。」
「んー?」
宿屋の方は泊れないとしても『魔法工房』で寝泊まりすればいいか。
晩ご飯後にティアを連れていけば大丈夫かな・・・。
まずは冒険者ギルドへ行って薬草と毛皮を納品っと。
ティア 12歳
『生活魔法』
『弓修練』Lv1




