捜2
年代の高い人間は来ない、と言う前提の下に造られたような勾配のキツイ階段が有る。
それを、地下へと向けて降りると、そこが地下である事を感じさせない広いフロア。
壁には、シネマサイズのスクリーンが有り、そこにはサッカーの試合が映しだされ、
試合の熱気をそのまま再現し、ゴールが決まる度に黄色い声が響く。
試合の打ち上げ、と言う名の合コンが行われているのだった。
フロアをほぼ占領してのコンパは、男性よりも女性が異常に多く、
芸能人でも来ているのか、と疑うような男女比率。
そのフロア真ん中のソファに座り、両サイドに女の子を座らせ、
得意げに反り返る総司が居た。
チームメイトと沢山の女の子に囲まれ、まるでハーレム、
総司にとってサッカーは、この時のためにやっているようなものだ。
取り巻きの女の子の中で、総司の最近のお気に入りは、メガネっ子の沙希。
店に入り、ソファに腰掛けたと同時に、隣に呼び寄せて座らせると、
周りから羨望と嫉妬の眼差しで見つめられ、沙希は顔を赤くしながらも、
「総司ってば、本当にハットトリック決めちゃうんだもん、沙希嬉しい!!」
「俺は、約束した事は破らないんだ。特に素敵なレディとした約束はね。」
「きゃぁぁ!総司ぃ」
沙希の居耳元近くで、囁くように話すと、喜びのあまり抱きついてきた。
それを見て、反対側に座って居た女の子も、負けないとばかりに抱きつく。
左右から女の子に抱きつかれ、その肩を抱き寄せニヤリとご満悦な総司。
向かいのソファには、試合で総司をアシストするチーム選手が座り、
周りを他のファンの子が取り囲んで居る。
女の子達の間からは、バーカウンターが見え、
バーテンダーがシェイカーを振り、オーダーを次々とこなしている。
そのバーカウンターに、総司の周りに居る女の子とは全く違う雰囲気の女性が、
一人静かに座って居た。
艶っぽい目と、カラダの凸凹を強調し、見せ付けるようなタイトな服、
まるで総司の周りの女の子は居ないかのように、総司だけを見つめ、
そして、その視線に総司が気づくと、高さの有るカウンター席の椅の椅子から、
組んでいたスラリと長い脚を見せ付けるように組み替えて見せた。
もちろん女好きな総司が、女性からのアピールに付かない訳が無い。
ステキな足を組み替えられ、笑みを向けられれば黙っては居られない。
「ちょっと失礼」
総司は女の子達を残しをして席を立ち、カウンターへと歩み寄ると
「美しいレディ、俺の勝利を一緒に祝ってくれませんか?」
真正面に立つ総司を斜め下のアングルから見上げて女は、
「いいわよ」
返事を返す女に、優雅な一礼をして、隣の席に総司は座った。