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第4話〜第一回チルド引きこもり防止作戦〜

「よう、チルド」

「こんちは、チルド君」

 昼休み、俺とアリスは一人で座っているチルドに声をかけた。チルドは一瞬、きょとんとした顔で固まっていたが、すぐに「あ…」と反応をした。

「……誰だっけ?」


 ドド――


 俺達は勢いよく机のチルドの机の前に突っ伏した。ま、まぁいつもこんな調子なんだから人の名前を覚えるわきゃないわな。

「俺はカズ。出席番号三十一番の渡辺和也だ」

「あたしは一番のアリスだよ。よろしくね、チルド君」

 俺達はまるで新学期初期のような会話をした。

「あ、うん。よろしく……」

 チルドは俺たちの顔を交互に見ながらそう言った。

「なぁ、チルド。もしよければこれから俺達とドッジボールでもしにいかないか?」

 小学生の遊びの定番と言えばこれだろう。今はどうだか知らないが俺が子供の頃はものすごくブームだった。

「ボールを投げるのって楽しいよ!」

 アリスも一生懸命にチルドを説得するが、チルドは「あぁ…」とか「う〜ん」と言った生返事ばかりで説得は平行線を保ったままで昼休みを終えてしまった。

 俺達は翌日もその翌日も説得を続けるがチルドの反応は至ってこの二種類のみだった。

 こうして、第一回チルド引きこもり防止作戦会議が開かれたわけである。



「アリス軍曹よ、敵は予想以上に手強いぞ。何か策はあるか?」

 俺達は当時はまっていた軍隊ごっこのまねをしながら会議を進めた。

「自分が思うにですね、まずは標的(ターゲット)の動向を探るべきだと思うのです」

「その理由は?」

「おそらくターゲットは授業の合間の休み時間などにはいつも開放している図書室に行っているものと思われます。そこで図書室で本を読んでいるターゲットに接触。そしてから、本を読む悲しさなどをつらつらと述べ上げ、今度は外で遊ぶことの利点を挙げるのです。ターゲットが我々の話を聞き入れてくれたのならば必ず本を読むことに疑問を感じるはずであります。そこで最後の仕上げ、我々が彼をドッジボールに誘い外で遊ぶことの楽しさを教えるのであります」

「なるほど、それは名案だ。でかしたぞ、アリス軍曹!ようし、早速ターゲットを探しに図書室へ行くぞ!」

「イエッサーであります!」

 俺に向かってかわいらしく敬礼をすると、元気よく階段を駆け下りていった。

 今思えばなんと隙だらけの作戦だろうと思う。本を読む悲しさをあげたところで、それは人それぞれだと言われればもともこもないわけである。チルドの性格から考えて、それはなかったかもしれないがな。







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