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第27話〜挟まれた存在〜

 人間界ではあまり知られていないと思うけど、あたしたち悪魔と天使はね、この惑星(ほし)が誕生した頃からいた生き物なんだ。これがまた生まれた時から既に仲の悪い種族でね。些細なことでよく喧嘩をしていたらしいの。ぶっちゃっけて言っちゃえば、悪魔がその辺りにごみを捨てていっただとか、天使が口やかましすぎだとか。

――ナナルさん……。

 はいはい、わかってるってば。まぁ、とにかくもう何十億と、あたしらはそんなしょうもないことでいちいち喧嘩して、運が悪いときには戦争をおっぱじめていたってわけ。でもね、今から大体三千年位前に争うことをやめたんだ。もちろん、どうしてこんな些細なことで戦争をしあっていたんだろうって疑問もあったみたいだし。いまさらかよ、とか言うんじゃないわよ。それに、そのころにはだいぶお互いの文明も進歩していて、いつまでもあたしらが戦争をしていると間にはさまれて生活している人間界の連中に苦労をかけてしまうことになると気づいたからね。だから、天使界と魔界での争いはここで終わったんだけど……。

――人間との戦争……

 そう。ボーヤの言うとおり、今度は人間があたしら悪魔に挑戦状を叩きつけてきた。悪魔族が天使族と和解をしたころには、だいぶ人間界の歴史も動いていたようだしね。最も、そっちでいう……え〜と、なんだっけか、江戸町時代だっけ?

――ナナルおば様、それって室町時代のことですよね?

 そうそう、それ。人間界がその室町時代って頃の時にはうちらはもう、現代の人間界のような発達した文明になっていたからね。向こうが刀や火縄銃なんてのをパンパン使っている間に、魔界最先端の小型長距離ミサイルが飛んでいってたからね。

 結果はもう人間達の惨敗。それでも人間達はしぶとくあたしらに挑戦を挑んだ。人間ってのは結果が見えていてもしぶとく喰らいついてくる。あたしら悪魔にはまるで理解できない思考だけど、その根性だけは気に入っていたよ。

――そうなんだ。じゃあ、今の地球人をみたら幻滅したんじゃないの?

 う〜ん、そうでもないかなぁ。ボーヤの言うとおり根性はなくなったのは事実だけど、その代わりのものを手に入れてすごく満ち足りているように感じるよ。

――確かにその通りだな。昔は天使が人間の行いを監視し、非行に走ればすぐさま注意を促していたものだが、最近の者達はあまりそういうことをしなくなったな。

――でも、ニュースではよく犯罪特集とかやってるよ。

――それでも、日本の非行問題についてはずいぶんと改善されているわ。昔は人間一人に天使一人というのが当たり前だったもの。

 ボーヤの言うとおり、人間自体の非行や、犯罪問題はまだ完全になくなっていない。でも、あたしらが人間達と戦争をしていた時代や、その直後の時代はひどかったもんよ。まぁ、おかげであたしらの仕事はやりやすかったけどね。

――悪魔は人間をそそのかすっていうやつ?

うん。でも、時代が進むに連れてだんだんあたしらの誘惑に乗らない奴らも増えてきたけどね。

――………。

 まぁ、とにかくそんなこんなで今から大体千年位前に人間との戦争も終わったわけ。

 それからしばらく経って、なかなか友好関係を見せようとしない天使界と魔界のことが問題になって、うちの旦那とドライブが緊急協議を開いたのよ。あたしやメルさんも参加させられてね。あの時ちょうどいい当たりがきていた時だったのにさぁ。

――ナナル…。

 はいはい、わかってますってば。その緊急協議の結果ね、あたしらの子供達を結婚させようってことになったのよ。つまり許婚ってことね。

――い、いいなずけぇ?

 アハハ、ボーヤにはまだ気の早い話だったかな?でも、許婚って言ってもすぐに結婚させるわけじゃないんだよ。そん時は、この子らも本来の姿でもまだあんたと同じくらいの背格好だったんだし。

――はぁ……。

――つまり、悪魔の子と天使の子を結婚させることで、悪魔と天使という相入られなかった種族が仲良くできることを示そうとしたのだ。もともとわしとジャックリースとの間に関係はあったし、この子らの仲がとてもよかったこともあったしな。

まぁ、そんなわけでまだ小さかったこの子達を騙くらかして許婚の話を進めるのは非常に楽だったわ。

――騙くらかしてって……。

――ああ、いいから気にするな。

――そうだよレッド君。おば様のおかげで私はこうしてチルド君のもとにいられるわけだし……。

 まったく、昼間っからお熱いこと。そこまで相手のことを思っていてどうしてすぐに結婚に結びつかないのよ。いい年して恥ずかしいと思わない?

――それとこれとは話が別だろが。……それに、俺達は別に結婚なんかしなくても今のままのほうが楽しいしよぉ。

――それに私、結婚ってよくわからないんです。

 とまぁ、毎回こんな調子なのよ。ボーヤからも二人の友人としてなんかビシっと言ってやりなよ。

――ビシッとねぇ……それよりもおばさん、悪魔と天使のいきさつはわかったけど、人間界に来るのはどうしてかまだ話してなかったよな?

 チッ、上手く逃げやがったわね。まぁ、その説明ならすぐに終わるから話してあげるわ。その間に上手くこの二人を陥れる名台詞でも考えておいて頂戴。あたしら、て言うかあたしはこれが初めてだけど、別種族があんたらの世界にくるようになったのはつい最近のことよ。理由は人間の生活や、恋愛について触れるため。

――人間の生活や恋愛に触れる?どうしてそんなことするんだよ?悪魔には悪魔の天使には天使の恋愛の仕方があるんじゃないの?

もちろんあるわよ。でも、これから悪魔と天使が恋愛して、結婚することを考えて見なさい。どちらの風習にあわせたらいいかわからなくなるでしょ。

――あ、そうか。

 だから、間をとって人間界の生活様式や恋愛の様子を学ぶようにこの子達を送り出したのよ。

――そうだったのか。

 はい、説明終わり。さぁ、ボーヤ。ビシッと言ってやって頂戴!


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