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第19話〜一日の終わりは二段ベッドで〜

「アンドー、ロイドー」

 チルドはやる気なさそうな声で二人の召使いを読んだ。あのおじさん達の名前ってアンドとロイドっていうんだ。

 ……どこか安直な気がするのは気のせい?

 数分後、二人の召使いがチルドの部屋にやってきた。

「チルド様、何か御用でっか?」

「うん。カズとアリスとお泊り会する」

「左様でございますか。では、この部屋ではなんでしょうから客間を一つ空けましょう」

「ありがと、アンド、ロイド」

 チルドが言うと、アンドとロイドは丁寧に頭を下げた。

「客間はいっぱいありますさかい、どこでも好きなところを使うてください」

「わしらはこの部屋を修理しときますんで」

「わかった。二人とも、行こう」

 俺達はチルドに案内されながら適当な客間に入った。

「うわぁ、すっげぇ!これって二段ベッドって言うんだろ!」

 俺達の世界では、二段ベッドは数百年も前に安定性や快適性が悪いということで販売中止になっているのだ。

「チルドってかなり金持ちの家だったんだな」

 今の時代どこにもないこんなものを持っているんだ。当のチルドは「そうなの?」と首をかしげるだけだったが。

「カズ、迷いの森よく抜けてこれた。あそこ、普通の人間は絶対抜けてこられないはずだから」

 それって言い換えれば俺が普通じゃないって事だよな。とはいえチルドに悪気はなさそうなので俺はとりあえず相槌を打った。

「迷ったときは本当に死ぬかと思ったよ。でも、変な光が俺を迷いの森から出してくれたんだ」

「変な光?」

 アリスが聞き返してきた。

「綺麗に光っていてさ。あの光を追っていったらいつの間にか森を出ていたんだ」

「光はどうなったの?」

 アリスが興味心身になって聞く。俺は首を振って「わからない」と答えた。

「森を抜けたときにはもう光はどこにもなくてさ。でも、代わりにチルドの家の明かりが見えたんだ」

 中がこんなになっているとは知らなかったがな。

「ふ〜ん……ふぁ〜」

 アリスが小さなあくびをした。

「いろんなことがありすぎて今日は疲れちゃった。あたし、もう寝るよ」

 アリスはそう言ってちゃっかり二段ベッドの上を取った。

「カズは、もう寝る?」

 チルドが尋ねてきた。

「そうだな。俺も今日はもう寝るよ」

 迷いの森であれだけ歩き、チルドの家に来てからも散々歩き、その後で美味しい料理をたらふく食べたら、もうとても眠かった。

「カズ、二段ベッドで寝ていいよ。予備のベッドを出して寝るから」

「それは悪いよ」

 仮にもこの家の主なのに、客二人が二段ベッドを使うわけにはいかないだろう。しかし、チルドは優しく笑って俺に二段ベッドを勧めた。

 お言葉に甘えて俺は初の二段ベッドをゆったりと体感した。散々な目に遭って、なんだかすごいものも見てしまったが、一日の終わりが二段ベッドなら文句はなかった。


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