第17話〜戦争再発〜
二時間ほどしてアリスがチルドの部屋に帰ってきた。
「カズ君、やっぱり迷っていたわ。ちゃんと道標になってきたから迷うことはないと思うけど……」
アリスの言葉がそこで途切れる。向こうのベッドではうつぶせになって本を読んでいるチルド。彼がうつ伏せで読んでいるときはたいてい……。
アリスはチルドに気づかれないように気配を消してベッドまで近づいた。そして、ベッドにたどり着いた瞬間――
ズドォ!!
ものすごい音と共にベッドが二つに割れた。
「チッ!」
アリスは舌打ちをして、床にへたりこんでいるチルドを睨みつけた。あれほど片付けておけと言ったのに、この男は。
「お……お早いお帰りで……」
チルドの顔はかなり引きつっていた。
「で、カズはこっちに向かってきているのか?」
「ええ、向かってきているわよ。でも、しばらく時間はかかるでしょうから……」
アリスはそう言って剣を振り上げる。
「チルド君のバカー!!」
「うおお!アリス、落ち着けぇ!」
チルドも剣を手にとって対抗するが、アリスの暴走は一行に止まなかった。
「チルド様、夕食をお持ち致しましたで」
「今日はアリス様もおられることやし、めっちゃ奮発しときましたさかい。たくさん召しあがって下さい」
アンドとロイドは自慢気に引いてきたカートの中身を見せるが、当の本人達は彼らが部屋に入ってきたことさえ気づかなかった。
「こりゃあまた派手にやっとるなぁ…」
ロイドが呆れたように床下に放ってあったエロ本を取り出した。
「こんなもんを読むチルド様もチルド様やけど、アリス様もええ年齢なんやし、こういうのにも寛大になってもらわんと。なぁ?」
「確か天界は一夫多妻制やて聞いとったけど、ちゃうかったんかな?」
「世の中には例外もおるっちゅうことやろ。アンド、巻き添えを食わんうちに帰るで」
「飯はどないするねん?」
「捨てるんはもったいないし、わしらと子供のチルド様がつれてきはった猫共とで食べるとしよう」
こうして二人の召使いは何事もなかったかのように部屋を立ち去っていった。それから数時間後……チルドとアリスはカズと再開することになる




