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第13話〜魔王の部屋?〜

 食事を一通り食べ終わり俺は本来の目的をまだ果たしていないことを思い出した。

「おじさん、チルドはこの城にいるんでしょ?」

「そうや」

 角人間は洗い物をしながら答えた。

「じゃあ、後で俺をチルドのところに連れていってくれない?」

 俺のその言葉に角人間達の動きが止まった。

 背中を向けているため表情は見て取れなかったが、おそらく恐怖に歪んでいる。ゆっくりとこちらに向き直り、カタカタと震えながら首を横に振った。

「チルド様に用があるんやったらわしらが取り次ごう。何の用や?」

「いやさ、チルド風邪で今日学校を休んだからさ、今日の分の授業のノートと寄せ書きを持ってきたんだ。早く元気になるようにって」

「そ、そらきっと喜びはるわ。ほならわしが…」

 と言って寄せ書きを取ろうとする角人間の手を俺は軽くはたいた。

「苦労してここまで来たんだ。チルドの顔を見て思いっきり文句の一つも言ってやらなきゃ気がすまないよ。だからこれは俺が渡す。おじさん達はチルドのいるところに案内してくれればいい」

「今それができりゃ苦労は……」

 角人間の一人が泣きそうな顔で言おうとするのをもう一人が無理矢理押さえ込んだ。

「わかった、連れていったるわ。ただし、少々機嫌が悪いかも知れんよって、あまり変なことは言わんといてな」

「あ、うん。わかったよ…」

 ほんとはあいつの目の前で大激怒してやりたかったのだが、そういう理由なら仕方ない。多少その辺りは緩めることにしよう。というか、あいつでも機嫌が悪い時があるんだな。



 角人間達に連れられ、俺はチルドの部屋に案内された……のだが。

「これって、部屋……なの?」

 どう見ても子供部屋にしては大きな扉だ。取っ手はなぜか低めの位置と高めの位置につけられている。二つつける意味なんてあるんだろうか。

「ほなら坊主、後は一人で行けるな」

 角人間達はそう言うと、俺が頷くのより先に、その場を全力ダッシュで立ち去っていった。

一体何を怯えているんだろう。風邪や病気になることで性格が豹変したりするのかな。チルドならそれもチルドありえそうな話だ。

 俺は重い扉の取っ手を両手で掴み、力いっぱい押した。

 鈍い音を出しながら、扉はゆっくりと開いていく。扉の隙間からはベッドも見えたし、ここがチルドの部屋であることには変わりなさそうだ。俺はようやく安心し、部屋の中に一気に押し入った。

「やい、チルド。おまえ、よくも……」

 そこまで言って俺の思考がまた止まる。なぜなら、そこにチルドはおらず、代わりに変な大人二人が壮絶な戦いを繰り広げていたからだ。しかも戦っているうちの一方は、迷いの森で俺を助けてくれたあの光の翼だった。何か喚きながら戦っているみたいだけど、そのせいでなんだか辺りの破壊度合いが急激に進んでいるような気がする。

 いったいこれはどういうことなんだよぉ。

 あのおじさん二人は俺に嘘の場所を案内したのか?いや、でもそんな風には見えなかった。しかし、様子がおかしかったのは事実だ。ということはやっぱり謀ったな。そうならばこの部屋に用はない。俺は戦っている二人に気づかれないようにこっそりと部屋を出ることにした。

 くそぉ、こっちが子供だからって下手に出やがって!

「ん?」 

 部屋を出ようとすると何か痛々しい視線が背中に突き刺さるような感じがした。後ろをちらりと振り返ってみると、なんとびっくり。二人は戦いの手を止め、俺のほうをじっと見やっているではないか。

 まさか、やばい、気づかれた?

 俺は自分の顔から血がひいていくのがわかった。


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