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第11話〜RPG’S Castle〜

「うっ」

 俺は部屋の中から感じる異様な寒気を感じ取った。家の中に入ったときからずっと思っていたのだが、この部屋は俺が蹴破った扉以外にも風の通り道があるようだ。

「ここか……」

 ちょうどドアの向かい側にそれはあった。そこから風に加えて……。

「音が聞こえる」

 風の音とはどこか違う音が聞こえた。

 普通の家ならばこの壁の向こう側は外である。しかし、この壁の奥からは風の音だけではなく、なにやら変な音も聞こえる。正直、これ以上おかしな目に遭いたくはなかったが、ここまできて何の報酬もなしに帰ることはできなかった。

「もし隠し扉か何かなら……」

 この家のどこかに、というかこの壁の近くにスイッチか何かがあるはず。

 俺は手探りで隙間風が吹く壁を調べた。調べていくうちに俺の手が何かに触れ、壁が開いた。本来外に出るべきはずの壁の外側にはまるでお城のような雰囲気の廊下がずっと続いていた。

「こりゃまたたいそうな趣味だな……」

 どこの城だよ、ここは……。

 まったく、チルドは本当に突っ込みどころの多い奴である。軽くRPGが入っているよ。廊下を歩きながら、俺は周りをきょろきょろと見渡す。廊下の壁の両側には均等にろうそくが立っていて、この妙な明るさが逆に不気味さを強調させた。このまま行ったらいきなり魔王とかと戦うことになりそうな気がする。いや、確かその前に魔王を守る右腕みたいなものを倒さなくてはいけないはずだ。敵(?)の本拠地だというのにずいぶんと妄想が膨らむ。しかし、この場所がそういう仕様になっているのだからそれはしょうがない話だ。

「しっかし、この廊下いつまで続くんだ?」

 もう何百メートルかは歩いているはずなのに、いつまで経っても別れ道一つ見えてこない。

お城ってこんな一直線なものだったっけ?もうちょっと優雅でこう、迷路みたいな感じがしてたんだけどなぁ。しかし、俺はふと立ち止まって考えた。

「………」

 迷路といえば、ついさっきまで迷いの森で散々迷ったばかりである。

「どうせ仕掛けがあるんなら迷路以外にして欲しいかも…」

 俺はぼそっとつぶやいた。つぶやいたところで誰も聞いていないのだが。

それにしてもこの変な城に入ってから風の音も変な音もしなくなったな。聞き間違いってことはないと思うが、こうも不自然に消えられるとなんだか不安な気持ちになる。

 廊下がずっと一直線なのも気になる。また迷路だったりしたら今度こそお手上げだ。

 迷いの森での不安が俺の鼻に募ってきた。しかし、そんな俺の鼻に、そのことを忘れさせるくらい美味しいそうな匂いが入ってきた。そういえば晩御飯はまだ食べていない。どうせチルドの家でご馳走になるんだったら、ここで食べたっていいよな。ここはチルドの家なわけだし。

 俺は勝手な理由をつけ、匂いのする方向に向かって歩いた。匂いの漂う方向は途中で右に曲がり、どうやらこの城の廊下は迷路じゃなかったことの証明もできた。これで張りきって美味しそうな匂いに集中できる。

 俺は必死に鼻を聞かせ、匂いの元を追った。しばらくすると、俺の前を歩く人影のようなものを見つけた。

 どうやらあいつらが匂いの元らしいけど、まさかあいつら自体が食べ物、なわけはないよな。いくらお腹がすいて思考が鈍っているからってそれはない。

 俺はこっそりと二人の姿が肉眼で見えるくらいの距離まで近寄った。しかし、その二人は人間ではなかった。おでこの辺りに角が生えていて、体の色はどす黒い。なんとも不格好な生き物だった。しかも何か話している。



「アリス様が久々に来てくれはったんは嬉しいけど、まさかあないなことになるなんてなぁ」

 一人が言った。

「しゃあないやろ。普段は大人しい人やけど、ああなってまうともはや止められるんはチルド様だけや」


 なんだこいつら。

 アリスとチルドって、もしかしなくてもあいつらのことだよな。俺はもう少しこいつらの話を盗み聞きしてみることにした。


「せやけど、チルド様もこりひんなぁ。わしには人間の女子(おなご)の良さがいまひとつわからん」

 一人がため息をつきながら言うともう一人も同感と言わんばかりに頷いた。

「わしもや。チルド様は人間の雑誌を買うてきてはこの女子はええ、あの女子はええ。挙句の果てには、チルド様が子供の姿の時に通っとる小学校の女子までええなんて言い出しよったで」

「仮にわしらに人間の女子の良さがわかっとったとしてもいくらなんでもあれはないわ…」

「そやな。まずないわ…」

 その後、二人は少し間を置いて揃えてこう言った。「ロリコンや」と。



 その言葉に俺はとうとう吹き出してしまった。

 それがやばいと気づいたのは角人間達に槍を突きつけられてからだった。しかし、角人間達は槍を突き出したまま、俺の姿や顔を凝視しているだけだった。




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