邂逅
人生における運命というものは時として残酷である。
僕は運命というものを信じている。そうしないとやっていけない。悪いことも良いことも全部が最初から決められていて、僕らはその決められたレールを走って、定められたシナリオ通りに生きている。このレールというものは性質が悪くて、そもそも脱線が前提で作られた路線や誰かにあざ笑われるための喜劇があるのだ。これを不公平不平等だと言わずしてなんと言う?
大学受験に落ちた人間だって受かった人だって。
リストラされた人もされていない人も。
スポーツの大会で勝ち上がった人間も勝ち上がれなかった人も。
自分の作品が評価された人もされなかった人も。
皆笑って「運命だから仕方ない」と、認めればいい。
僕のように。
あれは僕がたまたまその日家に帰るのが遅くなって、近道である路地裏の暗くて狭い、街灯すら碌にない道を選んだ時のことだった。
あの時のこの選択を今から思い返してみれば結果として浅はかな選択だという結論になるのだけれど、まさに後悔先に立たずだ。どうしてそんなことがわかろうか。
この日以外にも路地裏の近道は何度も通ったことだってあったし、不審者が出ると親から注意を受けていても、自分だけは大丈夫だろう、自分に限ってそんなものに会うことはない、という根拠のない――しかし誰もが持つ自信を持っていた。
それが一番の間違いだったと言える。
誰もいない路地裏を月の光を頼りに半分ほど進んだ僕は、そこであるモノを見つけることになる。これこそまさに、運命だったのだろう――――
別に殺人鬼に会うことは。
死体の処理中の殺人鬼に会うことは。
現実として、現象として。
ごく一般的に。
ある、のだと。
コレは不幸でもなんでもなく、ただ運命だったんだから。
仕方ない。